トランプこそが元凶?世界中の紛争を連鎖させ悲劇を増大させるアメリカの自己中心的な乱暴狼藉

 

あらゆる和平プロセスをかき回す悪循環を作り出している欧州

そして、アラブ諸国との非常にデリケートな緊張を感じつつ、アブラハム合意で作り上げた経済的な繋がりを通じた和解の可能性と、脅威の排除という負の側面との葛藤も顕著になり、最近では「イスラエルによる行動が地域からテロの芽を摘み、和平をもたらすベスト・ショット」とまで言い、大イスラエル主義の実現まで持ち出して、イスラエルの行動を正当化しようとしていますが、これもまた“地域のため”とは口先だけで、あくまでも自分事に過ぎないことが透けて見えてきます。

イスラエルによる非人道的な行い、そしてホロコーストを今度は自分たちが繰り返している状況や、ロシアによるウクライナへの侵攻、そしてスーダンやコンゴ民主共和国、ミャンマーなどで繰り広げられる内戦やstrugglesに対して国際社会は非難を浴びせかけているものの、直接的にコミットして蛮行を止めさせる行為を取ろうとはせず、あくまでも「~すべき」というべき論に終始し、結果として何も起こらないという、非常にフラストレーションの溜まる状況を作り出しているように見えます。

それは欧州各国の姿勢に特に顕著に見える気がします。

まずイスラエル絡みの悲劇については、イスラエルとの外交関係の中断や国際的な舞台へのイスラエルの出席のボイコット、ICCによる対ネタニエフ首相逮捕要請などへの支持表明などを行いつつも、自国の領空をネタニエフ首相が通過することは黙認して逮捕権を行使せず、大使の召還なども行っていません。

実際には安全を考慮して、イスラエル行きのフライトをキャンセルするものの、ドイツのように対イスラエル輸出入を中断したかと思えば、目立たないように復活させて、結果として法による支配よりも、ドイツ経済界の利害を優先した“自分事”として行動を取り、それがまたイスラエルへの締め付けを有名無実化していると思われます。

ウクライナ問題については、地続きでのロシアからの脅威という死活問題が存在すると思われますが、ロシアとの直接対決と関係の断絶までは踏み切ることができず、火の粉が自国に降ってくることが無いように、非常にデリケートなラインで軍事的な対峙は避け、あくまでもウクライナをロシアに対する盾として用い、戦う道具は与えつつも、ウクライナとともに戦うことは決してありませんし、今後も恐らくないと考えます。

アメリカに後れを取り、中国とインドに国際情勢のリーダーの立場を脅かされている欧州は、ここぞとばかりに景気のいいことを叫び、正論を振りかざして、まるで自身を国際平和の代弁者のように見せようとしていますが、各国内での内政上のいざこざや経済的なスランプなどが極右勢力の台頭を許してしまった結果、口先で叫んでいるような行動を取ることが出来ていません。

最近の例では、フォンデアライデン委員長がゼレンスキー大統領に約束したはずの欧州からの支援は、EUの全会一致の法則の縛りゆえに、ハンガリー(親ロ)に阻まれ、結局、EUとしてウクライナを支える仕組みは張りぼてに過ぎないことが露呈する事態になってしまっていますし、自国がリーダーシップを取りたいトルコ(ちなみに非欧州)とのシリア難民の扱いを巡る駆け引きに翻弄されて、NATOフロントでも目立ったリーダーシップを発揮させてもらえない事態に陥っています(もちろん、トランプ大統領の欧州に対する揺さぶりの影響も大です)。

欧州は正論を振りかざし、なぜか上から目線で地域外の国々にレクチャーする姿勢を今でも変えることが出来ず、実際にはまともに相手にされていませんが、“取り残されることを極度に嫌う”心理ゆえに、どこにでも首を突っ込み、結果として和平プロセスをかき回すという悪循環を作り出しているように見えます。

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