実はそう遠くないうちに我々の身に降りかかる「悲劇」
それは今年に入って激化している中国政府による対イスラエル非難の拡大にも見ることが出来ます。
ネタニエフ首相の逮捕を求めるICC勧告の遵守を強く求めたり、対イスラエル貿易を停止してみたりしてポジションを取り、イスラエル政府の対ガザ非人道行為をクローズアップして非難することで、国際社会から中国に向けられる新疆ウイグル自治区での弾圧や香港での民主化運動の弾圧に対する非難から目をそらしたいという自分事が透けて見えてきます。
特に国家主席就任以来、何ら目立った成果を挙げることが出来ていない習近平国家主席のレガシーを作るために、台湾の併合はマストですし、国際社会におけるパワーハウスの地位の確立、そして諸外国からの圧力にも負けずに宿願を達成する中国というイメージの確立は、習近平国家主席体制の基盤強化に向けて不可欠との方針があるため、中国は今、上手に国際情勢の混乱を活かして、イメージアップに努めようとしています。
イスラエルの蛮行に対してICC勧告を尊重するコメントを出しつつも、ICCに自国の問題に対する口出しをさせることは絶対にないですし、中国には人権問題は存在しないとの立場は堅持しつつ、ひたすらにアメリカの攻撃の矛先を可能な限り避けようとして、いかなる対中非難も受け入れることは無いという、これもまた自分事に徹した大きな矛盾を抱えています。
このところ、アメリカによるイランへの再攻撃の可能性の“高まり”と、イラン核問題を巡る協議での緊張の高まりが同時進行で進んでいますが、トランプ大統領が“核兵器をイランに持たせない”という目的を主張し、“イランの宗教指導者による支配を終わらせる必要性を強調”つつも、結局、攻撃の脅しと外交協議から何を達成したいのかが見えてこない中、米・イラン双方が納得のいく結果を話し合いから導き出すことは至難の業といえ、結局、他国のことにあれこれケチをつけて、自らの成果のアピール材料にしてしまう、アメリカの極限まで行く自己中心的な言動という暴挙が、世界各地で紛争を引き起こし、それらを連鎖させ、悲劇を増大させる理由になっていると考えるのですが、どうでしょうか?
このような状況に対して、私たちはどうしても自分事として捉えて行動を起こす気にならず、誰かの自分事を叶えるために都合よく切り取られた“事実”を鵜呑みにして、思考を支配され、結果として、遠いどこかで起きている悲劇に対して何もできないか、何もしないという日常に慣れてしまう事態に陥っているように感じます。
その“悲劇”が、実はそう遠くないうちに自らの身に降りかかり、その時には後悔先に立たずという状況が迫り来ていることに気付くことができないことに気付けないまま。
ジュネーブで行われる協議になぜか急に呼ばれたのですが、いつになく気が重い私です。
今週の国際情勢の裏側のコラムでした。
(メルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』2026年2月27日号より一部抜粋。全文をお読みになりたい方は初月無料のお試し購読をご登録下さい)
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