5.自律とは何か
ここで言う自律とは、組織を離れることではない。独立して働くことでもない。
自律とは、自分の頭で考え、自分の判断で動き、自分の責任で何かを作り出す姿勢のことだ。
組織の中にいながら自律している人間はいる。与えられた仕事の中に自分の問いを持ち、その答えを探し続けている人間だ。逆に、肩書きだけは自由業でも、他者の期待に全面的に依存して動いている人間もいる。
AIの登場は、この自律の有無を、かつてなく鮮明に可視化する。
なぜなら、AIは補助はするが、方向は示さないからだ。何を作るか、なぜ作るか、誰のために作るかを決めるのは、依然として人間でなければならない。AIにその問いを投げることはできない。正確に言えば、投げることはできるが、AIが返す答えは、あなたの答えではない。
自分の答えを持っている人間にとって、AIは強力な工房だ。自分の答えを持っていない人間にとって、AIは自分のなさを映す鏡になる。
6.新しい工房主として
私はこう考えるようになった。
私は今、新しい形の工房を持つ経営者だ。AIという優秀なアシスタントを抱え、自分の構想を形にする環境が、かつてなく整っている。四十年間鍛えてきた眼と判断力が、ここで生きる。
この感覚は、自由だ。
道具は進化する。筆から活版印刷へ、タイプライターからワープロへ、そしてAIへ。その都度、道具に使われる人間と、道具を使いこなす人間に分かれてきた。
使いこなす側にいるために必要なのは、技術への習熟だけではない。自分が何を作りたいか、なぜ作るのかという問いを、自分の中に持ち続けることだ。
その問いを持つ者にとって、AIは史上最強の工房になる。
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■編集後記「締めの都々逸」
「仕事を自分で 作れるならば AIは強い 味方だぜ」
AIを味方につけられる人は、自分で仕事を作れる人です。どんどん仕事を作って、どんどんこなせば、AIに仕事奪われるどころか、儲かる一方です。でも、仕事を作れない人は、AIと仕事を奪い合うことになります。AIと同じ土俵で戦ってはいけません。勝てるわけがない。
これ、中国工場と国内メーカーの関係に似ていますよね。同じ土俵に立つのではなく、強い存在を使えばいいのです。(坂口昌章)
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