世界が米国を見限る今、トランプに抱きついた高市首相「媚米外交」はナゼこれほど恥ずかしいのか?

 

日本を反中国に駆り立てる米「安保マフィア」

 このような高市の「媚米」姿勢は、米国の「知日派」と言えば聞こえがいいが、実質は日米安保の軛に日本を縛り付け、中国が今にも攻めてくるかの偽情報を振り撒いて米国製の高額兵器を買わせることを商売にしている「安保マフィア」にとっても好都合なものである。リチャード・アーミテージ元国務副長官が昨年亡くなった後ではその主座となったマイケル・グリーン=ジョージタウン大学戦略国際問題研究センター(CSIS)副理事長はこう述べている(フォリン・アフェアズ4月号)。

●高市の戦略は「アメリカか、中堅国との連携強化か」という偽りの二者択一を強いるものではない。

●むしろ、アメリカを中核に、アジアやヨーロッパへ広がる経済・安全保障のパートナーシップの広範な連合を築かなければならないという認識に基づいている。これが、中国の威圧に対抗する上で唯一の実行可能なアプローチだろう。

●彼女の目標は、アメリカとの安全保障関係をさらに強化することを軸に、より好ましい地域的パワーバランスを取り戻すことにある。そのビジョンは、揺るがされた世界秩序に直面する責任ある国家にとって、もっとも現実的な今後の道筋を示している。……

彼らにとって一番恐ろしいのは、日本までもが離米的なミドルパワー連合の仲間入りをすることであり、高市の下では日本はそちらに傾くことはないという安堵感が、最初の2行に滲んでいる。その上で、従来通り米国を盟主として日本から(インドを経て)欧州にまで繋がる「中国包囲網」を強化する上で、高市が先兵の役割を果たすことを強く期待している。

旧態依然の冷戦思考を超えて

 しかし、そのような旧態依然の冷戦的発想だけが日本の生きる道という訳ではない。例えば田中均は1月27日付毎日新聞夕刊「米大統領の『ドンロー主義』/東アジアへの安全保障薄く」で次のように述べている。

●トランプ政権が「米国第一」を唱え、国際協調主義や国際法尊重姿勢をかなぐり捨て、「ドンロー主義」に傾斜している今日、世界はどう対応するのか苦吟している。

●それでも米国に追随していくのか、米国への依存を減らそうとするのか。……欧州やアジア諸国の多くは米国への依存をできるだけ減らそうとしている。日本はどうなのか。

●過去数十年、日本は米国と共にインド太平洋戦略やQUADの戦略協議など中国を牽制する仕組みを推進してきたが、このような地域構想については考え直す必要がある。

●同盟国と共に中国を制するという発想はもうトランプ政権下の米国には希薄であり、日本がこれにしがみつくのはいささか滑稽だ。

●法の支配と自由を掲げた「インド太平洋」戦略は事実上中国を牽制する戦略であったが、トランプ大統領の米国はこのような戦略から離れている。日本は「インド太平洋」から、中国との協力も念頭に置いた「アジア太平洋」の外交努力に回帰すべきではないか。……

賛成である。この視点からすると、高市の振る舞いは戦略的にも滑稽ということになる。

(メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2026年3月23日号より一部抜粋・文中敬称略。ご興味をお持ちの方はご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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早稲田大学文学部卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。現在は半農半ジャーナリストとしてとして活動中。メルマガを読めば日本の置かれている立場が一目瞭然、今なすべきことが見えてくる。

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