トランプの暴走など些細な話。すべてのアメリカ国民が不幸になりかねない「メガIPO」という大問題

 

「7月まで景気も株価も崩れてはダメ」という絶対条件

ということは、次のような条件が出てきます。

「メガIPOの3社に資金が集中することで、事前から他の株が暴落するのは困る」

「メガIPOの初値が上がらないと、資金が集まらないので上場前の市場が好調でないと困る」

「メガIPO直後に、上場したばかりの株が暴落するようだと、以降の企業運営に支障が出るし、投資家も証券業界もダメージが大きいので、メガIPO以降の株価が安定しなくてはならない」

といった条件です。スケールはずっと小さいですが、80年代の日本のNTT上場の際に言われたような悲観論や楽観論が猛烈なスケールで起きていくということです。ということは、

「今、4月で、これから5月、6月、7月と景気も株価も崩れては絶対ダメ」

という条件があるということが言えます。これは絶対条件です。仮に景気が崩れて、株価が下がれば、メガIPOは失敗するからです。その場合には、証券業界も、そして米国経済も何もかも、そして国民全員が不幸になるかもしれません。

もう一度申し上げますが、最低1,000億ドル、できれば1,700億ドルぐらいを調達して、時価総額480兆円という「価値」を作らねばならないのです。これは猛烈なインパクトのある話です。

この場合に、3つのシナリオが考えられます。

  1. イラン情勢は一進一退のまま、メガIPOを迎える
  2. イラン情勢が悪化し、政治が不透明になり、市場環境が悪化する中でメガIPOを迎える
  3. 政治の不透明感が改善して、イラン情勢もアメリカ側としては解決の方向となり、原油価格もインフレも落ち着き、市場も強気な中でメガIPOを迎える

というシナリオです。どう考えても、2.では困るわけです。また 1.の状態では、やはりマックスの27兆円調達というのには届かないでしょう。そうではなくて、やはり市場としては 3.が期待されるわけです。

政権がこの強い、非常に強い金融界のニーズを理解するのか、また理解した場合に現在の事態にどんな「出口戦略」があるのか、そう考えると、先ほどの5点というのは全く印象が異なってきます。

以前のアメリカは、原油とテロを理由に中東に関与してきていました。現在のアメリカは違います。明らかに国益としては、AI開発を掲げる3社の大規模同時上場という巨大な挑戦を成功できるかに、かかっているのだと思います。

もう一度申し上げますが、そのタイミングは今年の6月から7月です。時間は残されていません。これからの金融界の動き、政治の動き、そしてイラン情勢というのは、水面下で深くリンクして推移してゆくと考えた方が良さそうです。

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東京都生まれ。東京大学文学部卒業、コロンビア大学大学院卒。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を寄稿。米国と日本を行き来する冷泉さんだからこその鋭い記事が人気のメルマガは第1~第4火曜日配信。

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