「隠し部屋」で細身のタバコをくゆらす高市早苗の孤独。“大衆的人気”と”内部評価”の乖離が示す政権運営の危うさ

 

「トップが何でも自分でやってしまう」という危うさ

文春の記事は、今井氏とのやりとりが中心ではない。高市氏の私生活にまで踏み込み、過労による健康不安を浮かび上がらせている。たとえば、総理としての激務をこなして夜、公邸に戻っても、11時までは夫の介護。それから寝て午前2時か3時には起きるという生活ぶりだ。

保守派論客からは、悪質なイメージ操作だと騒ぎ立てる声も出ているが、見方を変えれば、“スーパーレディ”礼賛記事のようにも受け取れる。実際、ここまで頑張る人は滅多にいない。

だが、トップが何でも自分でやってしまう危うさも考えておかねばならない。日米首脳会談のために渡米したさい、何を話すかについて高市首相は自分で考え、側近の力は借りなかったそうである。「だから上手くまとまったのよ」と胸を張ったらしいが、それを聞いたら、総理の“振付”を任務と心得る官邸官僚は立つ瀬がない。

保守層を中心に絶大な人気を誇り、支持率は高止まりしたまま。高市首相は衆院選で圧勝し、強い政治権力の確立をめざして勢いよく走り出したように見えた。しかし、霞が関でも永田町でも評判はいまひとつ。みんな何が不満なのかと思うが、つまるところは首相の「独りよがり」が原因なのだろう。

高市首相に対する「大衆的人気」と「内部評価」の乖離は、彼女がめざすリーダーシップのあり方と、永田町・霞が関で長年培われてきた「統治の作法」が真っ向から衝突していることに起因している。

この国の政治文化においては、「スキ」や「ヌケ」のあるリーダーが、周囲の助力を引き出すことで求心力を維持してきた面がある。「貸し借り」や「頼られ、頼る」というウェットな人間関係を基盤にしているからだ。ところが、政策通を自負する高市首相は、細部まで自分で把握し、実行しようとする。

「私が自分で考えたから、トランプ大統領との会談がうまくいった」という高市氏の言い方は、周囲の政治家を「俺たちは不要なのか」という気分に落ち込ませるもとになっただろう。徹夜して想定問答を作った官僚も然りだ。永田町や霞が関に渦巻く不満の本質は、高市首相が党や官僚を信じていないと組織側が感じ取っていることにある。

朝日新聞(4月14日)は以下のように、高市首相に対する党内の空気を伝えている。

依然として党内では「何を考えているかわからない」(ベテラン議員)と疑心暗鬼が広がっている。首相は党幹部への根回しや相談をほとんどせず、党とのコミュニケーションが乏しいことが背景にある。「意に背けばクビが飛ぶ」との恐怖心を漏らす議員もいる。衆院選後、国会の慣例を重んじる浜田靖一衆院議院運営委員長が交代となったほか、一時は梶山弘志国会対策委員長の交代論も広がった。

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