川口市のクルド人問題の実像
言葉が通じて、日本国内の基本的なルールを理解している人たちの間でも、移住するとなるとこれだけの障壁があるのだから、外国からの移住となると、他にも様々な問題が発生する。今、問題になっている川口市のクルド人問題は特殊な例で、一般化はできないが、ざっと問題点を述べてみたい。どこの世界にも過激な原理主義者がいて、クルド人を全員追い出せと主張する人がいるが、在日クルド人は2000人から3000人でその半数以上は川口市周辺に住む在留資格保持者で、飲食店や解体業に従事している。残りの半数近くは難民申請中か仮放免(非正規滞在者だが、入管施設への収容を一時的に見送られている状態)の人だ。
1990年代にトルコではクルド人に対する弾圧が激化して、多くのクルド人が海外に移住した。その中には川口市に移住して解体業に従事し、正規の在留資格を取得した者もおり、その人を頼って多くのクルド人が川口市周辺に集まったのが、クルド人が川口市周辺に多い原因だとされる。しかし、現在、川口市在住の外国人は約5万人で(中国人が2万5000人以上で最多)、クルド人は実はマイノリティなのだ。
難民認定率1%以下という異常
クルド人がトルコで迫害されているというのはほぼ世界の常識で、難民認定率はカナダ95%、アメリカ87%、イギリス79%、オーストラリア73%であるのに対し、日本は1%以下でほぼゼロ(難民申請者数は1000人以上と推定される)と悲惨な状況で、国連から改善を勧告されているが、日本の当局は聞く耳を持たないようである。背景にはトルコ政府が、クルド人にも選挙権があり、難民には当たらないと主張しているので、トルコ政府に忖度している日本が難民申請を受理しないという政治的背景がある。
確かにクルド人にも選挙権があって、2015年の選挙ではクルド系の政党が伸びたが、その後で、トルコ政府はクルド人への弾圧を強めたので、トルコでクルド人がトルコ人と平等な政治的立場を有しているということはない。もう一つの問題は日本とトルコは互いに査証免除措置をとっているので、90日以内の短期滞在ならビザなしで入国できることである。ビザなしで入国して、難民申請が通らず、不法滞在になるケースが多いのだ。一番簡単な解決法は、瑕疵がない限り、難民認定の申請を受理することだ。そうなれば就労が可能になって、トラブルが減るだろう。
クルド人問題は特殊なケースだが、これを敷衍化して、なんであれ外国人労働者のバッシングに利用しようという原理主義者(というよりもヘイト主義者か)が跋扈しているので、政府主導で合法的に労働者を導入しても、様々な問題が起こることには変わりはない。問題は多岐にわたるけれども、一番大きな問題は移住してくる人の人数だ———(『池田清彦のやせ我慢日記』2026年6月12日号より一部抜粋。続きはご登録の上お楽しみください、初月無料です)
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