中国サイドの「カードはまだ持っている」宣言の不気味
例えば、1番目の「ドローンと関連部品・技術の対米輸出規制強化」だ。そもそも中国製ドローンの輸入を止めたのはアメリカ側である。つまりダメージを受けたのは中国のドローンメーカーだったはずだ。
だが、実態は部品や技術の面では、依然として中国に大きく依存していることが、この中国の措置から見えてくるのだ。
こうした矛盾した現象は、やはりFCCが輸入禁止にした中国製ロボットの事情でも同じようだ。
米誌『MITテクノロジーレビュー』はそのことを、8月4日の記事で報じている。タイトルは、「中国製ロボットを締め出す米国、その研究は中国製で回っている」だ。つまりアメリカのロボット開発は「中国」を排除しては進められないのが現実なのだ。
4番目の「輸入業務用プリンター・複写機に対する国家安全保障調査」は、日本を含む欧米先進国が多用してきた「安全保障」カードだ。これを根拠もなく切るやり口を、そのまま返したやり方だ。
印刷・複写機器は、表面上はオフィス用品だが、その背後にどれだけの「巧妙な仕掛け」が隠されているかは誰にもわからないという理屈がつけられたのは象徴的だ。
5番目でリストに上った企業・団体の具体名は、アプライドDNAサイエンシズ、ストラタム・リザーバー、テラドローン、レスポンシブル・ビジネス・アライアンス(RBA=業界団体)、ヴィテック・グループ、ヒューマンライツ・イン・チャイナ(人権団体)である。
これら6社・団体がターゲットになった理由は、「中国で利益を得ているにも関わらず中国に不利な動きをした」ためで、もう大目に見ることはないという宣言だ。2番目に挙げたCCC認証の米国側認証機関への委託停止にも共通する動きだ。
中国メディア『中国新聞ネット』の「三里河」が発信する記事「中国、5本の矢を一斉に放ち米国に報復」(8月6日)では、今回の対抗措置の意味を以下のように解説する。
<(アメリカ)がドローンでやってくるなら、こちらもドローンで対応する。新疆関連リストでやってくるなら、こちらもその協力者を制裁する。認証を使って制限するなら、こちらは認証を停止する。われわれは準備のない戦いはいないし、際限のない戦いもしない。必要な時には決して躊躇せず、しかも余裕を残している。(中略)その意味は明確で、「カードはまだ持っている」だ。>
ホルムズ海峡ではミサイルの枯渇が深刻だが、対中交渉ではカードが明らかに足りていない。
(『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』2026年8月9日号より。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をご登録下さい)
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