トランプ政権がICC赤根智子所長を名指しで制裁。それでも高市早苗が“半身でスルー”するしかない“日米同盟だのみニッポン”の悲しき制約

 

黙って巨額の拠出金を出し続けるのが精一杯の高市首相

この2つの問題、中間選挙向けの「劇場政治」ということと、後継者に擬せられている一人であるルビオに途切れることのない「踏み絵」を踏ませるということ、これは米政権にとってかなり重要な問題です。末期豊臣政権の対明戦争だとか、利休や秀次への措置などと同じ話で、止められない暗黒のエネルギーが動機になっている性格のものと考えたほうが良いと思います。

ですから、高市氏は慎重の上にも慎重になるのは仕方がありません。しかもタイミングは9月2日のVJデー(日本の降伏文書調印日)の直前です。下手に虎の尾を踏んだら、露中の対日戦勝記念セレモニーにアメリカが同調する的な、意味不明の事態が起きないとも限りません。そうなれば、日米同盟は根本から動揺してしまいます。

そう考えると、高市氏が「法治などというインテリの概念を振りかざして赤根氏を支援するような難しい話は、私の支持者向けではないわ」的なオトボケを匂わせながら、当面の事態を半身でスルーしているのには合理性はあるのです。

面倒なロジックで申し訳ないのですが、赤根所長判事が毅然として制裁に対抗するのは当然だと思います。法治という思想を地球社会で代表する、少なくとも機能させようとする最高の国際機関を守ろうというのは巨大な意義があります。その赤根氏が日本と日本人の支持を求めるのも当然だと思います。

では、高市氏にそうした赤根氏に対して積極的な支持をする自由があるのかというと、残念ながら制約があるのです。いやいや、イタリアのメローニさんはしっかり反論しているじゃないか、という声もあるのは承知していますが、EUの一員であるイタリアと、日米同盟しかない日本とは全く立ち位置が異なります。しかも、そのアメリカとの関係を危うくしてまでICCを支える発言をするのは、非常に難しいのです。

黙って巨額の拠出金を出し続けるのが精一杯で、今このタイミングで高市氏に言えることは極めて限られているのは間違いありません。そして、プロ中のプロである赤根氏はそのことを理解していると思います。

※本記事は有料メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』2026年8月25日号の抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。メイン・コンテンツ「USAレポート」の「外交問題の核心について考える」、人気連載「フラッシュバック81」もすぐに読めます。

この記事の著者・冷泉彰彦さんのメルマガ

初月無料で読む


初月無料購読ですぐ読める!8月配信済みバックナンバー

※ 2026年8月中に初月無料の定期購読手続きを完了すると、8月分のメルマガがすぐにすべて届きます。
  • 【Vol.653】冷泉彰彦のプリンストン通信 『外交問題の核心について考える』(8/25)
  • 【Vol.652】冷泉彰彦のプリンストン通信 『終戦を巡る論点を再確認する』(8/18)
  • 【Vol.651】冷泉彰彦のプリンストン通信 『円買い協調介入、米側の動機』(8/11)
  • 【Vol.650】冷泉彰彦のプリンストン通信 『震度7はブラックボックスなのか』(8/4)

いますぐ初月無料購読!

image by: International Criminal Court

冷泉彰彦この著者の記事一覧

東京都生まれ。東京大学文学部卒業、コロンビア大学大学院卒。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を寄稿。米国と日本を行き来する冷泉さんだからこその鋭い記事が人気のメルマガは第1~第4火曜日配信。

有料メルマガ好評配信中

  初月無料で読んでみる  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 冷泉彰彦のプリンストン通信 』

【著者】 冷泉彰彦 【月額】 初月無料!月額880円(税込) 【発行周期】 第1~第4火曜日発行予定

print
いま読まれてます

  • トランプ政権がICC赤根智子所長を名指しで制裁。それでも高市早苗が“半身でスルー”するしかない“日米同盟だのみニッポン”の悲しき制約
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け