採用予定者が休日に誰と過ごしているのか。
どのような家庭環境で育ったのか。
本人や家族が、どのような悩みを抱えているのか。
それらが採用する職務と関係のないものであれば、企業側が知る必要はありません。
探偵側も、興味本位で調査を広げたり、報告書のページ数を増やすためにプライバシーを暴いたりするべきではないと思っています。
調べられるものを全部調べて、「こんなことまでわかりました!」と報告すれば、探偵としてはすごそうに見えるかもしれません。
しかし、こういった本来の目的に必要のない情報まで依頼者に渡してしまえば、それが先入観や偏見を生み、本来とは違う判断につながる可能性もあります。
一度知ってしまった情報を、「今のは忘れてください」と言って、完全になかったことにするのは難しいですからね。
だからこそ、僕たちは調査を始める前に「この調査で、何を確認したいのか」「その情報を、どのような判断に使うのか」という目的を明確にしておく必要があります。
そして、目的を達成できる範囲まで調査したら、それ以上は踏み込まない。
仮に追加で調べられる可能性があったとしても、必要性がなければやらない。
僕は、この「できるけれど、やらない」という判断も、探偵の重要な仕事の一つだと考えています。
(実はこの考え方に明確に辿り着いたのは、探偵を10年やってからですが。。。)
探偵というと、隠された事実を徹底的に暴く仕事だと思われがちです。
もちろん、問題を解決するために、深く踏み込まなければならない場面はあります。
ただ、何でもかんでも暴けばいいわけではありません。
調査対象者にも生活があり、誰にでも知られたくないことや、守られるべき領域がある。
依頼者の「もっと知りたい」という気持ちに、どこまでも応えることが正しいとは限りません。
調査の技術を持っているからこそ、その技術をどこまで使うのかを慎重に判断する。
「何を明らかにしたか」だけではなく、「何を明らかにしなかったか」。
案外、そういうところに、その探偵事務所の倫理観が表れるのではないでしょうか。
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