恐怖の「沈黙応対術」
これまでも、金貸しの交渉術を書いてきた中で、金貸しがあえて沈黙する場面を何度かご紹介してきました。
これは、テクニックの一つだというだけで、特に詳しい説明もしてきませんでしたが、今回は、なぜ沈黙しているのかについて、より詳しく説明していきたいと思います。
いつものように、事例を出してお話しましょう。
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火の車Aさん:「あの、聞いてもらえてますか?」
金貸しBさん:「・・・(沈黙)・・・。」(ジロリ)
火の車Aさん:「(汗)あの、今後の返済についてご相談にきたのですが・・・。実は、当社の資金繰りがかなり悪化していまして、できれば返済額を減らして頂けないでしょうか・・。」
金貸しBさん:「・・・(沈黙)・・・。」
火の車Aさん:「あの、すみません、聞いて下さってますか?」
金貸しBさん:「・・・(沈黙)・・・。」
火の車Aさん:「そ、それで、返済額なんですが・・」
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このような状況では、火の車Aさんの額から冷汗が噴き出してくるのではないでしょうか。心の中では、
(金貸しBさんは話を聞いてくれているのだろうか? いや、返事をしてくれないところを見ると、怒っているのかもしれない・・。どうしよう・・。やはりまずかったか・・。)
などと、想像を始めるのです。
それでも途中で話をやめるわけにもいきません。しどろもどろになりながら説明を続けることになります。
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火の車Aさん:「で、できればしばらくの間、元金の支払いを0円にさせてもらい、利息だけお支払いするという形にさせて頂きたいのですが・・。あのう・・、それでなんとかお願いできないでしょうか?」
金貸しBさん:「・・・(沈黙)・・・。」
火の車Aさん:「あ、あのう、もし難しいようでしたら、出直してきますが・・・。」
金貸しBさん:「・・・(沈黙)・・・。」
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金貸しBさんは、相手を見つめながら黙って話を聞いているだけです。怒っているのか、納得しているのか、火の車Aさんには金貸しBさんの考えていることがわからず、不安に苛まれていきます。
しかし、当の金貸しBさんは、納得しようが、不満であろうが、相手の説明が終わるまではただ黙って聞いていようと決めているだけです。それには二つの理由があります。