「何かを手に入れたいと思う欲望より、苦痛から逃れたいという欲の方が人を成長させることができる」とするのは、無料メルマガ『ビジネス真実践』の著者で戦略コンサルタントの中久保浩平さん。苦難を目の前にした人が「逃げるだけではなく、それを力に変える方法」があるというのですが、それは一体どのようなものでしょうか?
苦痛から逃れたい欲を力にする
「人は目の前の苦痛から逃れる欲の方が、欲望より大きい」
そうあることに気づかされたのは、社会に出て、コンサルタントという仕事をはじめて、しばらくしてからのことでした。これは、数々のご相談を受けてきた中でその生々しい相談内容を聞きながらヒシヒシと感じ、そう思うようになったのです。
たとえば、目の前に借金がドーーンとあって、ニッチもサッチも行かなくなる。そうすると、毎日頭を抱え、何をしてても借金を返す事ばかりに意識が行ってしまいます。借金から開放されたい…と。これが、苦痛から逃れたいという欲。
それとは別に、あ~どこか海外にでも旅行したいなぁとか、可愛い彼女が欲しいなぁ~、金持ちになりたいなぁ~、なんて思い巡らせる。これは、生まれもった人間の欲望。同じ“欲”であってもその性質はまるで違うモノです。
要は、苦痛から開放されたい欲というのは、叶えたいとか、達成したいとかという欲望より、生々しいもので重たいものです。そういった「苦痛から逃れたい欲」が前へ突き進む推進力となります。自分に得体の知れない大きさ、重さの負荷がかかっている状態だからです。
負荷がかかっている状態で、物事を進めたり、解決策を講じたりしていくと、自分自身が思っている以上、考えている以上の答えを導き出し、苦痛を開放するだけでなく、それ以上の享受を得ることだって可能になってきます。要は、真剣度合いの次元が格段に違うので、それに付随して思考の数、発想の数、行動量などが、変わってくるのです。
「何かを手に入れたい」というのではなく、「何かから逃れたい」ということに対して真っ向から挑もうとすればするだけ、その力というのは知らず知らずのうちに養われていきます。