会社の規模だけではビジネスの成否は決まらない…。そんな、勇気づけられるようなエピソードが今回の無料メルマガ『ビジネス真実践』に記されています。かつて大手企業から顧客を根こそぎ奪われ社員数3人にまで落ち込んだ会社は、どのようにしてお客さんを取り戻すことに成功したのでしょうか。その一部始終を、メルマガ著者で人気コンサルタントの中久保浩平さんが紹介しています。
小さな会社も大手に勝てる
文具・事務用品をはじめ、OA機器などの卸販売、小売業を営んでいるA社は社長含め社員数3名と、とても小さな会社ながらも地域にとても溶け込んでいて、お客様からとても愛されています。社長曰く、「意識してやっていないけど、結果そうなっている」とのこと。
しかしながらさかのぼること十数年前。この会社では大手の通販戦略のあおりをまともに受けていました。それまで抱えていた顧客を根こそぎ持っていかれていたのです。特に大得意先を持っていかれたのが大きく当然、売上は激減。当時20名いた社員はみな辞めざるを得ないこととなりいつ倒産してもおかしくない状態が続きました。
それでも社長は歯を食いしばり、地道に仕事をこなしていきました。そんな状態が数ヶ月、1年、1年半、2年…と経つに連れ以前の顧客がポツポツとこの小さな会社の元に戻ってきたのです。しかも、「これからはA社さんだけにするよ」という言葉まで付いて。
社長は、この事態を冷静に把握することが出来ませんでした。そこで、戻ってきた顧客に聞いてみたそうです。
「なぜ大手との取引を辞めて、うちともう一度取引しようと思ったんですか?」
すると、
「確かに大手通販で依頼すると価格が安くていいんですが、やっぱり、安いだけじゃ…、ということに気づいたんです」
社長「えっ、どういうことですか?」
「Aさんは、うちの勝手を知ってるし、ちょっとした頼みもにも嫌な顔1つしない。何より、気が利くじゃないですか。今更ながら、そのことに気づいたんですよ。今までごめんなさい」
大手通販の場合、商品を依頼しても配達されるのみ。その場で分からないことがあれば、カスタマーサポートセンターへ。
しかし、A社は、商品を配達するだけでなく例えば、OA機器を配達したなら、その場でバラシ、接続から設定、基本的な操作方法まで懇切丁寧に教えます。商品の数は星の数ほどあり、取り扱うメーカーも様々。もちろん、全てを理解しているわけではありません。しかし、その場で説明書を見ながら、あーでもない、こーでもないと…。やるのです。
また、直接売上に結びつかないような頼み、例えば、事務所の部屋の模様替えの相談も聞ける範囲で聞き、慣れない作業で図面を書いてまで、アドバイスしています。
昔も今も変わらず、ずっとこの姿勢を貫いてきました。つまり、こうした「仕事の姿勢」を顧客は、目の当たりにしていたわけです。
今までこのようなA社と取引してきた顧客は、商品を配達してくるだけの通販に不満を感じたのでしょう。ですから、顧客が戻ってきたのは当然の結果とも言えるわけです。