菅首相に任せるな。コロナ対策は自治体が“迷惑防止条例”で規制せよ

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3回目の緊急事態宣言が発出された4都府県では、休業や時短要請などで人流の抑制を図っていますが、思うようにはできていないようです。前回記事で、菅首相にロックダウンを強く求めた軍事アナリストで危機管理の専門家でもある小川和久さん。今回のメルマガ『NEWSを疑え!』では、政府が動かないなら迷惑防止条例を活用して対策をと、地方自治体に対し提言します。小川さんは新型コロナ防疫に成功した台湾を例に、条例でも可能な懲役刑や100万円以下の罰金を課してでも感染拡大につながる行動を制限すべきと訴えています。

コロナ対策に迷惑防止条例を使う

25日から5月11日まで、東京、大阪、京都、兵庫に緊急事態宣言が出されましたが、対象業種が休業要請に悲鳴を上げる一方、巷には「またか」という投げやりかつ事態を甘く見た声も多く、国民が一丸となってコロナを克服していこうという雰囲気は生まれていません。これはいっこうに戦略的な取り組みを打ち出すことができず、ワクチン接種率でも先進国中最低といった政権のリーダーシップの欠如に対する国民の失望感の表れでもあります。

本当に残念なことですが、エッセンシャルワーカー以外の人の流れを遮断し、感染拡大の根を断つような措置を断行する気概は、現在の政権には存在しないようです。しかし、そうも言っていられません。問題は国民の生命の問題であり、経済国家の存立の問題でもあるからです。ここはひとつ、政府が重い腰を上げるまでの間でもよいから、地方自治体の側でも対策を講じてはどうかと思います。

例えばマスク着用や許可証なしの外出、屋外での飲食などは、地方自治体の迷惑防止条例で規制できるのではないでしょうか。東京都の迷惑防止条例(公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例)は、「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等を防止し、もつて都民生活の平穏を保持することを目的とする」と謳っています。そして、世の中の変化に対応して盗撮やストーカー行為などの規制について条例を改正しています。

危険行為についても、神奈川県、佐賀県などは海水浴場に関して「人の身体に危険を及ぼすおそれがある遊具を使用すること」を禁止しています。こうした考え方をもとにすると、マスクの不着用や許可証なしの外出、屋外での飲食などは、感染拡大につながる点で、公衆に生命の危険を及ぼす行為とみなすことができます。

感染拡大の抑止に成功している台湾を例に挙げておきましょう。意外なことに、台湾ではワクチン接種が3月下旬に始まったばかりです。そんなにワクチン接種が遅くても、感染拡大抑止がうまく行っているのは、感染防止対策への違反に対する罰則(罰金)が厳しいからでもあります。台湾の罰金については360万円、110万円のケースが報道されています。

都道府県の迷惑防止条例でも1年以下の懲役(常習者)や100万円以下の罰金が定められています。この角度から感染拡大抑止を図ることは、ワクチン接種が遅れている日本としては、是非とも取り組むべきではないかと思います。申し上げるまでもなく、感染拡大につながることがわかっていながら行われる行為は、故意犯でもあるのです。その点を見過ごしてはなりません。

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