2001年1月26日、私は東京高等検察庁の原田明夫検事長に招かれて、検察官に対して「日本は法治国家か」というタイトルで講演しました。当時、1999年11月末の幼い姉妹が亡くなった東名高速飲酒運転事故を受けて、飲酒運転への厳罰を求める声が高まっていました。
飲酒運転は、飲めば正常な感覚に影響が出ることは証明されており、典型的な故意犯として扱うことができます。それなのに、重大事故が起きても厳罰化が進まないのは法治国家としておかしい、と私は指摘した訳です。
その5ヵ月後に道路交通法改正案が、10ヵ月後には刑法改正案が全会一致で国会を通過し、最高刑を15年とする危険運転致死傷罪が刑法に新設されました。検察トップの検事総長に就任した原田さんが尽力した結果であることは言うまでもありません。
法律や条令は不磨の大典ではありません。必要な条文は加えるし、必要がなくなったら削除すればよいのです。いまの日本で言えば、まずはコロナの感染拡大抑止に向けて都道府県条例から必要な改正を行い、法律改正につなげていきたいものです。(小川和久)
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