敵は「岸田政権の動きの鈍さ」か?楽天モバイルの今後を占う屋内対策

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楽天モバイルの矢澤俊介新社長が、地方での新規契約が伸びていると発言。要因として、更新されたKDDIのローミングエリア情報が示すように、全都道府県で楽天回線への切り替えが概ね順調に進み、使い放題のメリットを享受できる人が増えていることがあるようです。メルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』著者でケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さんは、社長の言葉どおり2023年中に屋外のローミングを終了できるかはさて置き、重要なのは屋内対策と指摘。プラチナバンドの獲得には岸田政権の動きの鈍さが障害になる可能性があると伝えています。

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楽天モバイル、2023年中にも屋外ローミング終了を狙う

楽天モバイルのKDDI 4G LTEローミングエリア情報が更新された。4月1日以降、岩手県、山形県、山梨県、和歌山県、島根県、高知県、長崎県、鹿児島県でもローミングが順次終了することが明らかになった。これにより、日本の全47都道府県で順次、楽天回線に切り替えていくことになる。

楽天モバイルの矢澤俊介新社長によれば「いま、楽天モバイルは地方での新規契約が伸びている」という。ローミングエリアだった地方においてはローミングで使えるのは5GBという制限があり、これで2178円(20GBまでの扱いとなるので)では割高感があった。しかし、楽天モバイルの自前回線エリアに切り替えることで、使い放題のメリットが得られるようになり、ユーザーが一気に増えるというわけだ。

楽天モバイルでは地方だけでなく、公共交通機関のローミング打ち切りにも注力している。東京メトロにおいては4月1日以降、渋谷~表参道間、青山一丁目~永田町間も楽天回線に切り替わる。これにより、今後もローミングを継続する駅は人形町駅、渋谷駅、茅場町駅、目黒駅、八丁堀駅などに絞られていく。また、東海道新幹線においても全66トンネルのうち、46トンネルは楽天回線に切り替える予定だとしている。

矢澤俊介社長は「一刻も早くカバレッジを広げて、KDDIのローミングを切らせていただく。契約は数年残っているが、来年度中には屋外の契約は切りたい。屋内、商業施設、ビルなどは工事に時間がかかり、しばらくローミングは継続するが、屋外は来年度中はゼロにするつもりだ」と語る。

ただ、2021年度中に楽天回線エリアに完全に切り替わるはずだった千葉県と神奈川県においては2022年4月以降も一部、ローミングエリアが継続することが明らかになった。楽天モバイルの計画通りには進んでいない可能性がある。

矢澤社長の「2023年中には屋外のローミングを打ち切りたい」という発言について、KDDI関係者は「そうはいっても、今後、しばらくはローミング提供は続くのではないか。なかなか厳しいと思う」と語る。KDDIから見れば楽天モバイルは、接続料を支払ってくれる「大事なお客様」であり、すぐにローミングを辞めてもらっては困るのだ。

楽天モバイルでは、400名の営業チームがフェムトアンテナを毎日、200~300台、設置して回っているらしいが、屋内対策には限界があるし、いつまで経ってもローミングに頼るわけにもいかない。

楽天モバイルとしてはプラチナバンドの獲得に動き出しているようだが、岸田政権はどのように判断するのか。これが菅政権時代であれば、スピーディに話が進んだのだろうが、岸田政権は検討だけで終わってしまうことも考えられる。菅義偉氏の復活が待ち望まれるのではないだろうか。

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image by:Koshiro K/Shutterstock.com

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日経トレンディ編集記者として、ケータイやホテル、クルマ、ヒット商品を取材。2003年に独立後、ケータイ業界を中心に執筆活動を行う。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。日進月歩のケータイの世界だが、このメルマガ一誌に情報はすべて入っている。

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