ロシアによるウクライナ軍事侵攻に対し、あまりに無力な様を見せる国連。その機能不全が指摘されて久しい安保理ですが、プーチン大統領の蛮行のような常任理事国の暴走を止める方法は、もはや存在しないのでしょうか。今回の無料メルマガ『モロッコの南の町から』では現地在住約30年の日本人著者が、これまで国連に抱いていた誤解を記すとともに、国際連盟への反省から生まれたはずの国連がその運営面において何ら改善されていない現状を批判。さらに国連を機能させるために打つべき手について考察しています。
他国の権利を踏みにじるプーチン
私はこれまで世界には、国連で承認された、それぞれの独立国があり、その独立国の会議が国連と思っていた。世界の平和と安定を保つため国連で会議が行われていると思っていた。
国連に参加するには、国連で決めた取り決めを、それぞれの国が守ることを義務付けられていると思っていた。
5か国の安全保障理事会常任理事国があり、各国は取り決めの拒否権を持っており、1か国でも取り決めに反対する国があれば取り決めは作れないのである。
現在のウクライナ戦争で当事者のロシアが常任理事国であるため、国連はウクライナ戦争に対してロシアに不利な取り決めを作ることが出来ないのである。
国連は要するに常任理事国が起こす戦争に対しては無力なのであります。第二次世界大戦を防ぐことが出来なかった反省で国際連盟を止めて国際連合を作ったわけですが、少しも改善されていないのであります。誰だ責任者は。
ヨーロッパ連合は1つの国であり、連合に含まれる各国は独立しているが、連合が決める取り決めを守らなければならなののであります。安全保障、経済の保護が大きな仕事のように思います。
ヨーロッパ連合と国連はどう違うのだろう。ヨーロッパ連合は統一された通貨を持っており、それぞれの国の国境をほぼ廃止しているように見える。合衆国のように見えるのである。
それに比べ国連は独自の通貨は持っていないし、国境を廃止していない。あくまでも世界の平和と安定を目標にした、それぞれの国の連合組織なのだろう。
決して世界が一つの国になったわけではないが、経済システムはグローバル化しており、経済的には一つの国のように働いているような気がします。
それぞれの国にはそれぞれの政治体制があります。民主政治や共産主義の名を借りた独裁政治等があるように思います。これらの国々が連帯して世界の平和と安定のために活動していかなければならないが、何を共通項として結び付くのだろうか。
共産主義は民主主義ではないが、一応民主政治実現のための一つの方法と無理に考えれば、民主主義を共通項に出来る。人道も共通項に出来るだろう。目指すは自由と平等の世界である。
ということで現在も、国連はそのように運営されていたと思うのですが、このウクライナ戦争だ。
プーチンさんは自国の権利だけを主張してウクライナなど他国の権利を踏みにじっているのであります。常任理事国の特権を廃止しないと、うまく機能しないようです。
これまでの歴史になかった国連という組織を作ったのだから、この組織がうまく機能して世界の平和と安定が実現出来るよう世界中の国々、人々が協力して組織を運営していかなければならないと思います。
しかし、それぞれの人たち、それぞれの国には、それぞれの思惑があり、これを良い方向に向けて行くことは本当に大変な仕事ですね。対人恐怖症、対人不信感を持つ私には難しい仕事です。
(無料メルマガ『モロッコの南の町から』2022年5月17日号)
image by: lev radin / Shutterstock.com