スポーツ動画配信サービス「DAZN」が、2月14日から税込3000円の月額プランを3700円に値上げすると発表。昨年同時期に1925円を3000円に大幅値上げしていて、2年で2倍近い値上げに、シーズン開幕間近のJリーグファンが悲鳴をあげています。DAZNでF1中継を快適に楽しんできたというメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』著者で、ケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さんは、今回の値上げによって各スポーツのコアなファンしか残らなくなることを心配。GAFAMなど独占的立場を利用した“弱いものいじめ”に目を光らせる総務省から、ひと言あってもいいと漏らしています。
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DAZNがまさかの700円も値上げ──投資から回収のフェーズに突入か
Jリーグやプロ野球、F1などの配信を手がけるDAZNが料金改定を発表した。従来の3000円から3700円に値上げとなる。
これを受けて、NTTドコモもいますぐに申し込めば3000円、2022年4月17日までに契約してれば1925円となるが、2023年2月14日以降の契約では3700円となってしまう。また、KDDIも「使い放題MAX 5G/4G DAZNパック」が8338円から9768円、「使い放題MAX 5G ALL STARパック」が9988円から1万428円となる。povoも「DAZN使い放題パック」が760円から925円に改定される。
DAZNの値上げに関しては、昨年の値上げに続いて、2回目だ。前回の値上げでユーザー離れが起きなかったのか、かなり強気に出ている感がある。ただ、今回の値上げで、他社のサービスに移行しようとなるかといえば、結構、微妙だ。
個人的にはF1を見たくてDAZNを契約しているが、見逃し配信やおっかけ再生など、ストリーミングサービスとしては申し分のない機能性に満足している。F1は深夜にスタートすることが多く、日曜の夜に寝落ちしてしまい、深夜に突然、目が覚めて、最初からレースを観るというのに、DAZNの使い勝手は最高すぎるのだ。また、実況や解説もわかりやすくて、結構、気に入っている。
F1に関してはかつてフジテレビが地上波で放送、F1ブームを巻き起こしたものの、いつしか、日曜深夜にやっていた地上波での放送がなくなり、CSのみでの放送となった。ネットでフジテレビの配信を楽しむには、スカパー!のオンデマンドサービスを経由するしかない。
ちなみに、F1は現在、アメリカを中心に世界的に人気が過熱している。実はNetflixがシーズンを通してドライバーやチームの動きを追ったドキュメント番組を5年にわたって配信。これがドライバー同士の対立構造を煽ったりなどの過剰な演出でドラマチックに描かれているため、若者を中心に人気が出ているのだ。
DAZNはプロ野球やJリーグ、F1など幅広い種類のスポーツを配信しているからこそ、「F1ファンがサッカーを観る」とか「サッカーファンが野球を観る」といったファン層の拡大に寄与するプラットフォームとなっている。しかし、月額料金が上がるとなると、コアなファンしか残らず、他のスポーツをふらっと観るユーザーが少なくなってしまうのではないか。
総務省はGAFAMに対して「デジタルプラットフォーマーとして弱いモノいじめをしていないか」と目を光らせているが、DAZNに対しては何か言いたいことはないのだろうか。
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