2025年上半期、中国では高速道路における自動運転支援(NOA:Navigate on Autopilot)が17%という搭載率に到達しました。日刊で中国の自動車業界情報を配信するメルマガ『CHINA CASE』では今回、その背景にある中国特有のアプローチと手放し運転の普及の現状に迫ります。
中国の手放し運転、高速道路で普及加速、都市部で先進層に受容
中国自動車情報メディア「蓋世汽車(Gasgoo)」は2025年10月2日、中国の乗用車新車販売において、ADAS(先進運転システム)がどの程度普及しているのかのデータを発表した。
対象は2025年上半期(1-6月)の半年間。主要な機能が6割以上搭載される中で、一際目を引くのがNOA(Navigate on Autopilot)だ。
高速道路におけるNOAは日本や欧米などでも似た機能はだいぶ普及しているものの、中国のNOAは基本的にはエンドtoエンド(E2E)型のAIによる一気通貫の処理。
今回、この高速NOAが、いわゆるイノベーター理論における初期段階を脱する17%の搭載率を示した。
また、より難易度の高い都市部内でのNOAについても3%に達している。
3%と17%の意味
高速NOAが17%、都市NOAが3%というのはまだ低い印象を受けるが、イノベーター理論の観点から言えば画期の一つ。
先進的な製品や技術が市場に受け入れられるまでを定量的に把握するイノベーター理論では、この3%と17%は重要な指標になる。
17%に達すると、その製品や技術は今後、急速に一般化することを示す。
3%に達すると、それまでは超先進層だけに受け入れられていたものが、先進層全般に受け入れられることを意味する。
「まず実装してユーザーに触れさせ、改善を重ねる」という中国らしいアプローチを体現している。
中国市場のスピード感
この背景には、中国市場特有の「スピードと重層展開」がある。
安全支援から警告機能、そして高度運転支援までを一気にラインナップ化し、ユーザー層を広くカバーすることで、短期間で利用者を増やし、そのデータを用いて技術改善を加速させている。
特にNOAのようなE2E機能は走行データが質を決めるため、この「先に市場に出し、ユーザーを巻き込みながら改良する」姿勢は、中国ならではの強みだといえる。
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