AIに愛はあるんか?人間だけが「言語」を獲得できた“3つの能力”の絶妙なバランス

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AIの驚異的な進化により、「人間にしかできないこと」とは何かを改めて問われているとも言える現代社会。識者はこのような時代をどう見ているのでしょうか。今回のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』では健康社会学者の河合薫さんが、米科学誌『サイエンス』に発表された人間の言語に関する論考を紹介。さらに「自分の知識を他人に伝えたい」という欲求等に触れながら、「AIにはない人間の力」について考察しています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです

プロフィール河合薫かわいかおる
健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。

AI時代だからこその「人間の力」

人間を人間たらしめる最たるものである「言語」。これは生物が持つ3つの能力が、たまたま人間にだけ絶妙なバランスで重なり合って生まれた奇跡的な成果である──。

そんな興味深い論考が、世界の研究者10人によって米科学誌『サイエンス』に発表されました。

これまでも「人間は、言葉を話す前にまず歌っていたのではないか」という「歌が先(音楽起源説)」の議論に、個人的にはかなり興味をもっていたのですが、本論考の答えは「歌が先」のようなのです。

それを科学的に証明する形で明かされたのが、人間だけにある「3つの力」です。

1つ目の能力とは「音をまねて再現する力」で、親や仲間の声を模倣してコミュニケーションを図る力のこと。クジラや多くの鳥類にも見られますが、人間に最も近い霊長類にはほとんど見られません。

そこに2つ目の能力である「規則創発」が加わります。これは最初は雑多だった音と意味の結びつきが、人々の間で使われ伝わるうちに、人間の認知や記憶の限界に合わせて自然と扱いやすい形へと整理され、そこに「規則(文法)」が立ち上がってくる現象です。

例えば、手話教育の整っていなかったニカラグアのろう学校では、子どもたちが互いに身ぶりを組み合わせる中で、誰に教わるともなく独自の新しい手話の文法体系を作り上げていくプロセスが確認されているそうです。

そして、これら2つの能力の土台となり、両者を力強く結びつけた3つ目の能力が「社会協調」です。これは群れを作り、互いの攻撃性を抑えて協力して暮らす力で、この協調性により脳神経が発達し、学習や記憶力が促進され、発声学習や規則創発の柔軟な進化が後ろ盾されたと考えられています。

多くの動物も鳴き声や身ぶりで意思疎通を図りますが、人間の言語が決定的に異なるのは、この社会協調の高さから「自分が持つ知識を他人に伝えたい」という欲求が非常に強い点にあるとか。

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