人手不足と労働人口の減少が深刻化する中、日本企業の「定年」に対する考え方が大きく変わり始めています。これまで多くの企業では、一定の年齢に達すると役職を離れ、定年後は再雇用によって賃金や雇用条件が変わるという仕組みが一般的でした。しかし近年は、年齢だけを理由に一律にキャリアの区切りを設けるのではなく、本人の能力や意欲、成果に応じて働き続けられる制度へと見直す企業が増えています。『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』では、著者で健康社会学者の河合薫さんが、定年制度を見直す企業の動きを手がかりに、日本社会から年齢による一律の線引きはなくなっていくのか、そして働く人の「出番寿命」はどこまで伸びていくのかを考えます。
消える定年、「出番寿命」はどこまで伸びる?
やっと、本当にやっと、日本からエイジズム(年齢差別)がなくなるかも? という動きが大企業を席巻しています。
中でも8月18日に報じられた、塩野義製薬の定年廃止は、大きな話題を呼びました。
報道によれば、現在は60歳定年制で、定年後は65歳まで再雇用で働ける制度を、来年度から廃止。65歳まで現状の雇用形態を維持し、65歳以降は、本人の意思や業務の成果を考慮した上で、原則1年ごとに継続を判断するそうです。
特筆すべきは、賃金減をやめたこと。新制度では70歳や80歳を過ぎても、現状の水準のまま働き続けられるとか。
もちろんそれだけの結果が不可欠ですが会社側としては、経験豊富なベテランのノウハウや技術力を継承し、競争力の高い製品の開発につなげたいそうです。
一方で、給与水準を落とさずに長く働けることから、退職一時金は廃止されます。
また、ANAでは、定年年齢を現行の60歳から65歳に引き上げ、60歳以上も正社員として扱います。賃金減は現行のままですが、一時金を増やすとともに各種手当も支給します。
他にも、日立製作所、YKK、大和ハウス工業、カルビーなどでも、シニア雇用を見直し、より長く働ける制度に変わる方針が示されました。









