なぜいわしを食べるのか?
昔から臭いのきついものや尖ったものを厄払いに用います。鬼の嫌いなものは「臭い鰯(いわし)の頭」と「トゲが鋭い柊(ひいらぎ)」です。京都では今でも鰯の頭を焼いて柊の枝に刺し、家の戸口に置いて鬼の侵入を防ぐという風習があります。最近ではだいぶこの光景も減ったようですが、いわしの塩焼きが節分の食卓に上がる家庭もあるそうです。
そして、京都の寺社仏閣で行われるのが「追儺式(おにやらい)」です。邪気を追い払うために、節分には古くから豆まきの行事が行われてきました。平安初期、宇多天皇の時代に鞍馬山の鬼が出て来て都を荒らしたと伝えられています。すぐさま鬼の穴を封じ、大豆で鬼の目を打ちつぶし、災厄を逃れたと言います。この時の故事伝説が鬼の始まりだとされているようです。豆は語呂合わせで「魔目(豆・まめ)」を鬼の目に投げつけて鬼を滅する。また「魔滅」に通じ、鬼に豆をぶつけることにより、「魔」を「滅する」ことになります。いずれにせよ邪気を払い、1年の無病息災を願うという意味があるのです。
豆をまき、まかれた豆を自分の年齢(数え年)の数だけ食べる。また、自分の年の数の1つ多く食べると、体が丈夫になり、風邪をひかないとも言います。鬼は虎の毛皮を身にまとい、表面に突起のある金棒を持った大男です。肌の色によって「赤鬼」「青鬼」「緑鬼」などと呼ばれます。鬼は牛の角を持ち、虎の牙と爪を持ち、虎の毛皮を身に付けています。
鬼が入り込むとされる鬼門は北東の方角です。北東の方角は丑寅(うしとら)です。だから、鬼は牛と虎の合いの子の様な姿をしているのです。それに勇敢に立ち向かい鬼門を守護するのは猿です。これは裏鬼門の方角南西は・未申(ひつじさる)だからです。鬼門の正反対にいる猿が「難をサル」状態にするために鬼門を守護しているのです。だから京都御所の北東方向の「猿が辻」に猿を置いて都を守っているのです。
御所の猿が辻、延暦寺の鎮守社・日吉神社、赤山禅院、幸神社(さいのかみのやしろ)は御所の北東の線上に存在します。このいずれの場所にも烏帽子を被り御幣を担いだ猿が安置され今も都を守護しています。これこそが京の都を1,200年以上守ってきた最高のセキュリティーシステムなのです。
※ 詳しくは「京の都を守護する最強のセキュリティーシステム(メルマガ「おもしろい京都案内」第4号)」をご覧下さい。
image by: Wikimedia Commons
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