カットサラダを「ただ切っただけ」と思う人は仕事ができない

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無料メルマガ『ビジネス発想源』の著者・弘中勝さん曰く、経営やマーケティングには元々の「センス」がある程度必要なんだだそうです。そうは言っても抽象的すぎてよくわからないというあなた。今回の記事には、そんな方のために「広い視野で連想する力」を磨く方法が記されています。

広く連想できる力

ずっと料理をしてきた人の中には、どうしてあんなにも「カットサラダ」が売れるのかが不思議でならない、という人も多いでしょう。

キャベツがだいたい1玉200円だとして、その4分の1ぐらいの量しかないものがただバラけてあるだけで200円ぐらいで売っている。千切りならまだ技術代もあるかもしれないが、ただバラバラってしているだけで、よくこんなものを買う人がいるな、と思ってしまうわけです。

でも、「こんなのが売れる意味が分からない」と言っている人が多い中で、「買いたい人もいるだろうと気付ける人が、そこにビジネスチャンスを作って儲けるわけです。そこに気付けるかどうかが、経営者やマーケティング担当者としての素質やセンスと言えるでしょう。

それに気づけない人の特徴は、「そこしか見えていない」ということです。

例えば、カットキャベツの話で、「キャベツ1玉の4分の1の量しかないのにャベツ1玉と同じぐらいの値段がする」などという人には、そこにキャベツという物体しか見えていません。「キャベツを包丁で切れば数十秒で済むことなのに、それだけのことに値段が付いている」などと考える人には、キャベツを切るという行為しか見えていないのです。そこだけの範囲しか見えてないんですね。

では、そこにビジネスチャンスを作れる人は、どうやってその価値を見出せるのか。それは、そこだけの範囲だけではなく、もっと周囲のことが見えているということです。

例えば、キャベツがカットされていたら、1玉を保管するよりも、冷蔵庫に占めるスペースが少なくて済む。他に包丁を必要としない料理ばかりの時には包丁を取り出さなくて済む。キャベツを切った時に出る小さなかけらがないのでキッチンを拭く回数が少なくて済む。キャベツを切っている時にいきなり赤ちゃんが泣き出したら、パッと対応できるようになる。キャベツを切る時間が浮いたことで、もう一品別のものを作ることができる。

そのように、キャベツそのものやキャベツを切ること以外の物や生活の時間などを連想できることで、「これには価値があるな」と気がつけるわけです。

こういうことに気がつけない人が商品開発をすると、ユーザーは小さな不満を蓄積することになります。

例えば「ハサミでお開け下さい」なんて平気で書いてて、「いやいや、なんでハサミがいつも手元にあると思うの?」とユーザーが思っていることに気がつけない。そして、そういうことに気がつけないでいると、ハサミを使わなくても簡単に手で開けられる、というものすごく単純な工夫を取り入れた後発企業が「すごく使いやすい。よく分かってる」と、一気に信頼を集めてマーケットを奪っていくのです。

そこだけの範囲しか見えなくてもよかった時代は、もうとっくの昔に過ぎています。商品やサービスを出したら、ユーザーがその商品やサービスを使う環境や背景を広く連想できるセンスが必要です。

【今日の発想源実践】(実践期限:1日間)

  • 自社の商品やサービスを利用するお客様を1人、モデルキャラクターとして年齢・性別・職業・性格などその人物像を作ってノートに書いてみる。
  • その人物が自社の商品やサービスを利用する時間帯の前後1時間の様子を、日記風にまとめてみる。

image by: Shutterstock

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