カナダ・ケベック州に住む15歳の少年ウィリアム・ガッドリー(William Gadoury)くんが、約1700年ものあいだ発見されなかったマヤ文明の古代都市を発見したことが世界中で話題になっていました。しかし、それがただのトウモロコシ畑だったという説が浮上しています。
15歳の少年が発見したのは、「古代都市」か「トウモロコシ畑」か?
ご存知のように、マヤ文明とはメキシコ南東部、ユカタン半島、グアテマラ、ホンジュラス西端部、エルサルバドル西端などのマヤ地域を中心として栄えた文明です。
以前からこの中米の古代文明に興味を持っていたというウィリアムくん。
3年前から「マヤ文明の古代都市は星座の並びに沿って配置されている」という仮説を立て、独自に研究をおこなってきました。
研究を進めていく中で、22の星座の星が117のマヤの都市と一致していることを発見。
そして、1つの都市だけが欠けていることに気づいたそうです。
Bravo William Gadoury, 4e secondaire à l’Académie Antoine-Manseau de #Joliette https://t.co/WLrEQQeUBk #Assnat pic.twitter.com/5anc24laDK
— CAQ_Joliette (@CAQ_Joliette) 2016年5月8日
そこで、その「忘れ去られた古代都市」を探すべく、彼はカナダ宇宙庁から提供してもらった衛星画像とグーグル・アースを使って、欠けていたオリオン座の3つ目の場所を突き止めました。
その場所とはメキシコのユカタン半島でした。
彼はこの都市に、火の口(Mouth of Fire)を意味する“K’aak Chi”という名をつけました。
image by: CSA/JAXA/Google
英インディペンデントによると、この地帯は植物が密集しているため、調査することが困難な場所ですが、衛星スキャンによって突き出した地形を捉えたことにより発見したということです。
また、同紙のインタビューに答えたニューブランズウィック大学のアルマンド・ラ・ロスキュー(Armand La Rocque)氏によると、衛星写真が捉えたものはピラミッドである可能性が高いとのこと。
このピラミッドは86メートルほどの高さに及ぶと予測されています。このほかにも約30軒の建物が確認されているようです。
この「失われた都市」は、A.D.300年〜700年頃に栄え、マヤ文明では最大の都市の1つではないかとも言われています。
しかし、ここにきて話は急展開をむかえました。
英テレグラフによると、何人かの考古学者たちが、これは巨大なピラミッドではなく、「ただのトウモロコシ畑」だという説を主張しているというのです。
中でも、大きな議論を呼んでいるのが、テキサス大学オースティン校の教授デビッド・スチュアート(David Stuart)氏が自身のフェイスブックに投稿した発言。(※現在このページは閲覧できなくなっています)
「新たな説は間違っています。私はこの件について無視しようとしましたが、ちゃんと、発言しなければいけないと感じています。(報道されている古代都市の発見に関する)一連の出来事は、めちゃくちゃなものです。ネットで拡散するジャンク・サイエンスのひどい一例だ。古代のマヤ文明は彼らの都市を星座に沿って形成してはいない。そのようなパターンはロールシャッハ・テスト(投影法に分類される性格検査の代表的な方法)のようなもの。遺跡はどこにでもあるし、星もおなじ。グーグル・アースで発見された長方形の地形は、古い旧作中のトウモロコシ畑、あるいは焼き畑(ミルパ)だよ」
この他にも、ウィリアムくんの発見に異論を唱える学者が出てきています。
ただし、衛星写真に写る場所はジャングル地帯で、そう簡単に調査できる場所ではなく、「古代都市」なのか「トウモロコシ畑」なのか、どちらが正しいのか真相は闇の中。
ちなみに、現時点でウィリアムくんはこの反論についてはコメントを出していないそうです。
みなさんはどう思いますか?
Image by: © Canadian Space Agency.
Source by: カナダ宇宙庁 , 英インディペンデント, BBC, 英テレグラフ, National Post ,英テレグラフ
文/MAG2 NEWS編集部