まるで違う美徳の基準。家族を自慢する外国人と、家族を謙遜する日本人

 

マリア(仮名)という若い女の子がいます。彼女はまさにスペイン的なアンダルシアの出身で、今はここバルセロナで働いています。最初にこの街で見つけた仕事は、マーケティングの事務職、朝から晩までオフィスでコンピュータとにらめっこの生活でした。

数ヶ月も経つとそこを辞め、コロッと一転して客商売に転向しました。まずマーケットでジュース類の販売、それを2~3ヶ月で辞めると今度はバールでちょっと働いた後、なんと有名なカジノでルーレットなどのディーラーの修行を始めたのです。緊張した面持ちで、リッチなお客さん相手に初仕事をしていた彼女の顔が印象的でした。

ところがその約1年後にはまた職種を変え、レストランのバーでカクテルを作るバーテンダーの勉強を始めました。分厚い教科書を手にオベンキョーの毎日で、ホントにびっくりの行動力です。とても私たちにはデケマヘン。ついこの間は新しいカクテルを学ぶため、遠く日本にまで行って来たのですから。

その上ビックリなのは、彼女の親たちです。

彼女の仕事が変わるたび夫婦共々バルセロナにやって来て、それがどんな仕事だろうと新しい職場を訪れては、感激の面持ちで嬉しそうに自慢するのです。「ウチの娘って、ホントよく頑張ってるでしょ!」「さすが私たちの子供よねっ!!」

日本だったら多分こういう娘さんは、親にとっては頭痛の種。気まぐれで、腰の落ち着かない、忍耐力の無い困ったチャン。なんとか定職に就いて、安定した生活を築いて欲しいと願うことでしょう。何故ならそれは周囲に対する「恥」でもあるからです。

でも、ここは全く違うのです。

それどころか、彼女の情熱と行動力を誉め称え、高らかにエールを送るのであります。

ね、ウチの娘可愛いでしょ! よくやってるよね!最高でショッ??

さあ、あなたは「恥と自慢」、どっちを選びますか??

image by:Shutterstock

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