タカタも米国にハメられた?リコール問題に残る不可解な事実

 

アメリカ車はタカタ製をほとんど使っていなかった

実はこの問題にも、重要な「背景」があるのです。

タカタは、世界の3大エアバック・メーカーの一つですが、タカタの製品を採用しているのは、日本車とドイツなどのヨーロッパ車がほとんどです。アメリカ車はフォードのごく一部の車種だけがタカタ製を使用しているだけです。

タカタのリコール問題は、タカタを使用している各自動車メーカーにも波及します。そもそも、自動車メーカーは、自動車の全性能に責任を持たなくてはならず、エアバックに欠陥があった場合、それは自動車メーカーの責任ということになるのです。

だから、タカタ問題が大きくなればなるほど、日本車メーカーやドイツ車メーカーはダメージを受けます。

アメリカ車はほとんどダメージを受けず、漁夫の利を得ることができます。

そういう状況があったのです。

この問題が巨大化、長期化するに従い、各自動車メーカーは、タカタ離れを検討するようになり、タカタは問題解決のために、ついに2015年5月、全米3400万台のリコールに踏み切ります。

そして、2015年11月には、アメリカ運輸省道路交通安全局(NHTSA)とタカタは、同意指令に合意しました。同意指令の内容は、「エアバックを爆発させる火薬に、今後、硝酸アンモニウムは使用しない」というものでした。

硝酸アンモニウムは、湿気に弱く、経年劣化による暴発が起きやすいという指摘がされていました。エアバックの大手の中では、唯一タカタだけが使用しています。この硝酸アンモニウムを今後は使用しない、ということにしたのです。

つまりは、アメリカ運輸省道路交通安全局(NHTSA)としては、原因を硝酸アンモニウムということにし、タカタの製品に欠陥があったという形に持っていったのです。

タカタは「欠陥認定はしない」としつつ、あまりに長引くリコール問題の打開策として、この同意指令に合意しました。

現在、タカタは、1兆円にも上るとみられるリコール費用のために、経営破たんに陥り、アメリカでは破産法の申請も検討しているとされています。またアメリカ系の投資ファンドに買収されるのではないか、という話もあります。

いずれにしろ、もはやタカタは自力での再建は無理となってしまったのです。

image by: Shutterstock.com

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