あとは「口実」のみ。トランプが呟く朝鮮戦争カウントダウン

kitano20170804
 

先日掲載の「北朝鮮のミサイル、全米が射程圏内に。真夏に聞こえてきた軍靴の音」で、北朝鮮のミサイルの脅威がもはや韓国や日本に留まらずアメリカのものともなり、トランプ大統領が本気で焦り始めていることをお伝えしました。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では著者の北野幸伯さんが、「第2次朝鮮戦争」に傾きつつあるトランプ大統領のアメリカ国内での立場と今後予測される動きについてわかりやすく解説しています。

アメリカ国民とトランプは、「朝鮮戦争やむなし!」に傾いている

皆さんご存知のように、北朝鮮は7月28日、2度目のICBM発射実験を行いました。

北朝鮮、「ICBM発射実験成功 米本土全域が射程に」

AFP=時事 7/29(土)10:10配信

 

【AFP=時事】北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)は29日、同国の大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験が成功し、金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長が米本土全域を射程に収めたと述べたと伝えた。

米本土全域を射程に収めた

これ「ハッタリ」かと思いきや、アメリカの専門家たちも「どうやら本当らしい」と言っています。

アナリストらは、今回のミサイルは射程約1万キロで、米本土もその範囲に入るとみている。米科学者団体「憂慮する科学者同盟(Union of Concerned Scientists)」の兵器専門家、デービッド・ライト(David Wright)氏は自身のブログで「現時点の情報によれば、今日の北朝鮮によるミサイル実験は米西海岸、そして多くの米主要都市に容易に届いていた可能性がある」との見方を示した。
(同上)

ライト氏によるとロサンゼルス(Los Angeles)、デンバー(Denver)、シカゴ(Chicago)は十分射程に入るとみられ、ボストン(Boston)やニューヨーク(New York)にも届くかもしれないという。
(同上)

ニューヨークをはじめとする主要都市が射程に入っている。これは、本当に深刻な脅威です。それで私は、RPE7月31日号「北朝鮮のミサイル、全米が射程圏内に。真夏に聞こえてきた軍靴の音」で、こんなことを書きました。

あなたが、ドラルド・トランプだったとしましょう。彼から見ると、金正恩は、「クレイジーな独裁者で、アメリカにケンカを売っている」ように見えるでしょう。つい最近まで、「ICBM実験が、レッドライン」と見られていた。しかし、金は7月4日、「ICBM実験」を実施した。これは、「ハワイ、アラスカに届く」といわれた。専門家は、「5年もするとアメリカ本土全体を攻撃できる能力を獲得するかもしれません」などといっていた。ところが、「ニューヨークに届く可能性のあるICBM」の実験が行われたのは、5年後どころか、なんと25日後だった。

 

トランプは考えるでしょう。「このペースだと、1年後はどうなるんだ?」「5年後はどうなるんだ?」と。「北は、米全土を核攻撃できるICBMを、数十発もつことは確実だよな」と考える。つまり、「先延ばしすればするほど、事態は悪くなると。

 

今戦争をはじめればどうでしょうか? 「日本や韓国は、攻撃されるだろう。特に、韓国人は『最低100万人死ぬ』といわれている。今ならアメリカは、無傷だろう。しかし、2~3年後なら、アメリカも無傷ではすまない。やるなら今が最後のチャンスだ…」。こんな風に考えるかもしれません。

どうもトランプさんそっちの方に考えが傾いているようです。

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