銀行はもういらない。経済の歴史をひっくり返す「仮想通貨」の破壊力

 

デジタルコインの世界では、アーリーアダプターはコインを次世代の通貨や証券資産として認識し始めている。彼らの先々を見据えた展望が、現金はもとより、株式や不動産などの資産をコインへ移し替える方へと動かしている。

これとは別に、株式やFXのデイトレ、オンラインカジノ同様、日々または短期売買で出入りを繰り返す参加者も少なからずいる。

彼らは一つの重要な先駆的層ではあるものの、特にコインに対する長期展望を持つわけではないことから、先導的なコインアダプターとまでは呼べそうにない。彼らの取引にとり、たまたまコインが便利だったのであって、特にそれがコインである必要はなさそうである。

コインが通貨界で存在感を示すようになると、その通貨は中央権威を持たず、仲介業を営む銀行も必要としない。当然その分、顧客である民間の資金調達コストは低く抑えられる

利子という概念に変化が起こり、通貨の在り方を根底から変えてしまうかもしれない。デフレ要因ではあるが、もともとインフレを必要するのは「利子社会」が前提であって、その前提で利ザヤを得てきた銀行やクレジットカード会社なども新時代への適応を迫られそうである。

ただ、通貨・金融権威の影響力は各国において絶大である。それは、ビジネスや医療、学会の権威とは比較ならない。余程大きな事件が起こらない限り、コインがすぐに通貨や証券などと肩を並べるに至ることは考え難いのも事実である。

その道のりは平坦ではないが、デジタルコインが主要国の通貨界、証券界に起こし得るパラダイムの変化は、人類史上、最大級のイベントであることだけは間違いなさそうである。

image by: Shutterstock

『グローバル時代、こんな見方も...』

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グローバル時代、必要なのは広く正しい世界観。そんな視点に立って私なりに見た今の日本の問題点を、日本らしさの復活を願い、滞在先の豪州より発していきたいと思います。

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