中島聡が指摘、ロボット兵器が禁止されても脅威は変わらぬ理由

ロボット兵器 自律型 中島聡
 

「ロボット兵器が戦争に使われる」…まるで映画の中だけのような話が現実になりつつあるようです。では、人を殺すために開発されたロボット兵器を実際の戦争に投入すると、戦死者は今まで以上に増えることになるのでしょうか。メルマガ『週刊 Life is beautiful』の著者で世界的プログラマーの中島聡さんは、「テロリストたちが自動運転の自動車やロボットを改造して兵器として使う時代も遠くない」と指摘しています。

【Q】:ロボット兵器が投入されると、戦争全体の戦死者は減ると思いますか? 増えると思いますか?

【A】:IS(イスラム国)のような小さな国や組織では増え、逆に先進国の戦死者は減ると思います。

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● Tesla CEO Elon Musk joins other experts in asking United Nations to ban killer robots

Elon Muskを含むAIの専門家たちが、国連に対し、「殺人ロボット」を「化学兵器」と同じく禁止すべきだとの意見書を提出した、という報道です。

一度「殺人ロボット」が開発されてしまえば、それが独裁者やテロリストたちに悪用されるだろうことは明らかだ、というのが彼らの主張です。

もっともな意見であり、私も大賛成ですが、「そんなロボットの開発をどうやって阻止するのか」はとても難しい課題です。

「化学兵器」であれば、主要な国々が兵器への使用を止めれば、(新たな化学兵器の開発に必要な)研究開発費が提供されなくなるので、開発そのものが下火になります。

しかし、「殺人ロボット」の場合、その実現に必要なAIやロボティックスのテクノロジーは、産業用途のものと全く同じなのが大きな問題です。たとえ、国連が「殺人ロボット」を禁止したとしても、AIやロボティックスの進歩は止められないのです。

すでに今ですら、ホビー向けのドローン(無人飛行機)を「自爆ドローン」に改造することは難しくないので、テロリストたちが自動運転の自動車ロボットを改造して兵器として使う時代も遠くないと思います。

image by: Shutterstock.com

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マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。IT業界から日本の原発問題まで、感情論を排した冷静な筆致で綴られるメルマガは必読。

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【著者】 中島聡 【月額】 初月無料!月額880円(税込) 【発行周期】 毎週 火曜日(年末年始を除く) 発行予定

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