もう中東に用はない。シェール革命で米が捨てた「火薬庫」の運命

 

シェール革命が世界を変えた

シェール革命がどう世界を変えたのか、復習しておきましょう。オバマさんが大統領になったのは、「100年に1度の大不況」が最悪だった2009年。彼は当時、「グリーン・ニューディール」と言っていました。つまり、環境に優しいエネルギーを普及し、同時に経済も活性化させようと。これも確かに進みましたが、「革命」というほどではありませんでした。

しかし、ラッキーボーイのオバマさん時代、「シェール革命」が爆発的スピードで進展します。そして、アメリカ、今では原油生産量世界1位なのです。ちなみに2位はサウジアラビア、3位ロシア。アメリカは、天然ガス生産量でも世界一。2位はロシア、3位はイランです。アメリカは、オバマさんの時代に、「エネルギー超大国になった。このことは、世界をどう変えたのでしょうか?

アメリカは、(資源がたっぷりある)中東への関心を失ったのです。ブッシュ(子)が大統領になった2001年。「アメリカの原油は、2016年までに枯渇する」と報告されていました。それで、アメリカがイラクを攻めたのは、「石油利権をゲットするため」と言われていた。これ、「トンデモ」でも「陰謀論」でもありません。FRBのグリーンスパンさんは、「誰でも知ってる事実」と断言しています。

ところがシェール革命で、「アメリカに石油・ガスが、山ほどある」ことになった。それで、オバマは、「もう中東は必要ない!」と考えた。結果、アメリカとサウジアラビアイスラエルの関係はとても悪くなりました。逆に、アメリカと(サウジ、イスラエルと敵対する)イランの関係は良くなり、「核合意」に至った。

現在のトランプさんは逆でサウジアラビアイスラエルと良好な関係にあります。しかし、それは、「トランプとネタニヤフ首相は個人的に親しい」とか、「娘イヴァンカの夫のクシュナーさんはユダヤ人」とか、「個人的感情」に基づいたもの。「中東の資源が絶対必要だから」という、かつての「国益とはレベルが全然違うのです。

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