【人質事件】とても悲しい…でも日本のイスラム教徒への寛容さが世界に伝わった。

りばてぃ© Gerhard Bittner - Fotolia.com
 

物事を多面的に考える

『メルマガ「ニューヨークの遊び方」』 Vol.125より一部抜粋

イスラム過激派組織「イスラム国」が、人質にとっていた後藤健二さんを殺害したとする新たな映像をインターネット上で公開し、日本国内はもちろん、世界中で大ニュースになっている。

非道で残忍で、極めて悲しく暗いニュース。

イスラム国関係者以外の世界中の人々が、亡くなられた後藤さんに、心からのご冥福をお祈りしている状況だ。

また当然、イスラム国を非難する声は、それこそイスラム教徒の方々からも「教えに反する」と、世界中で巻き起こっている。

こういうニュースは、いくらでも悲しく暗く報じられるし、実際、マスコミの多くが、そう報じているような印象だ。

しかし、

『物事を多面的に考える』

ということで、この出来事を改めて考えてみると、今、起こっているのは、悲観的なことばかりじゃないような気もしてくる。

例えば、この一件のお陰で、日本や日本人がどれほどイスラム教徒に対して親和的かが、改めて広く世界中に伝えられることになった。

前回のこのメルマガや、ブログの方でも取り上げたが、例えば、在日イスラム団体(イスラミックセンター・ジャパン)が、イスラム国へアラビア語や英語も含めたメッセージをインターネット上で発信し、それが広まったりしている。。

とても重要なので、再掲しておこう。

イスラミックセンター・ジャパンは以下の5つの理由を示して、人質を即座に且つ無条件で解放するよう強く要求した:

◆日本は、イスラエル紛争時にパレスチナ支援する等相対的に公正

◆日本がパレスチナに対する最大の援助国

◆日本のイスラム教徒は平穏無事に暮らしている

◆日本政府はイスラム教徒の宗教活動に干渉しない

◆日本は、イスラム国を含めいかなる国にも宣戦布告しない世界唯一の国

また、

「日本人2人の人質を殺すことで、日本人のイスラムに対するイメージ、そして日本に住んでいるイスラム教徒に、とても大きな影響を与える。

このような影響に対して、我々は全能のアッラーの前で、イスラム国が責任を負うべきだ。

日本人の人質を殺すことについて、いかなる弁解の余地もなく、正当性もない。」

と厳しく非難している。

〔ご参考〕
在日イスラム団体からイスラム国へのメッセージ A message from Islamic Center Japan to ISIS

こんな感じで、アラビア語や英語で「日本人は敵じゃない」とか、「何やってんだイスラム国」といった声が、世界へ発信されている。

その他、インターネット上では、後藤さんの開放を求める「I AM KENJI」という運動も世界各地でグローバルに繰り広げられていた。

〔ご参考〕
I AM KENJI

今回、後藤健二さんが殺害されたことは、誰がどう考えたって、どんな言い訳とか言い逃れのできない、とても悲しい出来事だ。

でも、あまりに悲しい出来事であるがゆえ、世界中の人々の心を動かし、いかに日本がイスラム教徒に親和的かという情報が、さらに世界中に拡散されることになる。

同じような悲劇を繰り返したくないと考えているのは、もはや日本人だけじゃないのだ。

むしろ、今回の一件で、世界的なイメージ悪化を懸念するイスラム教圏の国々や信者の方々は、すでに今回の一件について、各所で様々な活動や発言を行っており、そうした中で、いかに日本がイスラム教徒に親和的かという情報も、大々的に広めてくれている。

これまで、イスラム系のテロ組織に日本人が殺害されたことはなかったので、当たり前って言えば、まぁ、そうなのだろうけど、歴史上これほどまでに、いかに日本がイスラム教徒に親和的かという情報が、英語、アラビア語を交えて世界中に広まったことは、なかっただろう。

とてつもない広報効果と言える。

多面的に考えてみると、悲しく暗いニュースにすら、それがあったからこそ生じてきた未来への希望のようなものは、何かしら潜んでいるというわけだ。

そう、どんな絶望的な状況でも、未来への希望は、何かしら潜んでいるのだ。

 

『メルマガ「ニューヨークの遊び方」』 Vol.125より一部抜粋
著者/りばてぃ
ニューヨークの大学卒業後、現地で就職、独立。マーケティング会社ファウンダー。ニューヨーク在住。
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