日本のマスコミの海外報道
『メルマガ「ニューヨークの遊び方」』 Vol.126より一部抜粋
日本のマスコミの海外報道には、大きな問題がある。
まず、そもそも日本のマスコミの海外のニュースは、もっぱら、事件や事故ばっかりだ。
新聞の国際面などを見れば、その状況は、一目瞭然。
インターネット上の新聞社のサイトや、Yahooニュースなどを見ても、「国際」とか「海外」と書かれたコーナーには(それすらないところもある)、いつもたいてい事件や事故ばっかり、しかも、極端な例が多い。
これはひどい。
そこまで日本のマスコミは、「大変だ、危険だ」と騒ぎたいのか。
海外の事件や事故なら、本当の大変さや危険性も分かりにくいから、嘘やデマカセもばれにくいと思ってるのかもしれない。
今週もYahooニュースのトップに、
『NY地下鉄にペスト菌や炭疽菌=ごく微量、健康に脅威なし─米調査』
というニュースが掲載されていた。
なんじゃそりゃ?と思って見てみると:
NY地下鉄にペスト菌や炭疽菌=ごく微量、健康に脅威なし─米調査
【ニューヨークAFP=時事】
米最大都市ニューヨークの地下鉄駅で行われた細菌に関する調査の結果がこのほど公表され、生物テロにも使われる炭疽(たんそ)菌やペスト菌といった危険な病原菌の痕跡が、ごく微量ながら検出された。(中略)
ただ、これらの病原菌は人の健康を脅かすレベルではなく、調査が始まった2013年6月以降、ニューヨークでペストの発生症例は報告されていない。
・・・と、どうでもいい内容だった。
「健康に脅威なし」なら、もうニュースにしなくていいじゃんって話だ。
なんでこの内容でYahooニュースのトップ記事になるの?
Yahooニュースのトップ記事に選ばれるなんて、なかなかできることじゃない一大事なはず、なんだけど、何コレ?
百歩譲って、この出来事をニュースにするなら、地下鉄の駅で大規模な細菌の調査をするほど、
『今のニューヨークは、衛生管理を徹底している』
という主旨の記事だろう。それだったら、まぁ、まだ分かる。
これに関連して補足しとくと、先日お伝えした英国経済専門誌『エコノミスト』の調査部門、The Economist’s Intelligence Unitが、1月26日に発表した「世界の安全な都市指標」(Safe Cities Index 2015)の中に含まれる「食の安全」部門で、ニューヨークは世界第1位。
世界中からいろんな人々が集まるニューヨークでは、危ないものもいろいろ入ってくる可能性があるため、世界の他のどの都市よりも、「食の安全」のための衛生管理が行き届いている。
地下鉄の駅での細菌調査も、たぶん、ニューヨークの厳しい衛生管理の延長線で、行なわれるようになったものかもしれない。
このような関連情報も含めて伝えてくれるのなら、まだニュースにする価値もあると思うんだけど、日本のマスコミの報道からは、そういう発想はほとんど感じられない。