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血税73億円垂れ流し「五輪観客用アプリ」なぜ開催中止を想定せず?菅内閣は国民を完全に舐めている=原彰宏

コロナ接触確認アプリ「COCOA」の不具合と再委託が問題になりましたが、次は「東京オリ・パラ観客向けアプリ」の開発費が73億円と発覚して物議を醸しています。もし無観客開催となれば、選手1万5,000人のために、この開発費をかけることになります。(『らぽーる・マガジン』原彰宏)

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※本記事は、『らぽーる・マガジン』 2021年2月8日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

平井大臣「不具合は永久になくならない」

新型コロナウイルス感染者との接触を通知するスマートフォン用アプリ「COCOA(ココア)」の不具合について、平井卓也デジタル改革担当相は19日の閣議後会見で「不具合というのは永久になくなりませんので、この手のアプリは『今後何もない』ということはないと最初から言っておきます」と述べました。

デジタル庁の大臣でありIT担当大臣のこの発言は、ちょっといかがなものか思ってしまいますね。

国内向け接触確認アプリは、厚生労働省ホームページでは以下のように説明されています。

利用者ご本人の同意を前提に、スマートフォンの近接通信機能(ブルートゥース)を利用して、お互いに分からないようプライバシーを確保して、新型コロナウイルス感染症の陽性者と接触した可能性について、通知を受けることができます。

出典:接触確認アプリ利用者向けQ&A – 厚生労働省

「COVID-19 Contact Confirming Application」のそれぞれの単語の頭文字を取って「COCOA」となったようです。

どうやらCOCOAでは、一部の端末で通知がされない不具合が相次ぎ、18日から修正版が配布されているようです。

平井大臣は会見で、COCOAを所管する厚生労働省と、平井大臣のもとの内閣官房IT総合戦略室で連携チームを近く発足させ、今後の運営にあたると説明しました。

「今後の不具合に関してはこちらで責任を持つ。次に何か不具合が起きたら、私が記者会見しなきゃいけないという状況になる」と述べたとのことです。

何を言っているのでしょうね。

また、昨年11月からネット上で不具合が指摘されながら、厚労省が把握するのに約2カ月かかったことを受けて、連携チームでは、有識者や民間技術者と情報交換する仕組みも検討すると表明しています。

「今回のような事案への対応などを経験値として、(9月に予定する)デジタル庁の設置準備にも活かしていきたい」と語ったとのことですが、これってどういうことでしょう。

COCOA開発受注企業が事業費94%を3社に再委託

このCOCOA不具合と、開発段階での再委託との関係が取り沙汰されています。

COCOA開発において、厚生労働省の委託先の企業が別の3社に、契約金額の94%で事業を再委託していたそうです。

厚生労働省は再委託比率を「原則2分の1未満」とする規定を設けてはいるのですが、今回の再委託は、それを大きく超える比率となっています。

厚生労働省の調査や監督が及ぶ元請け企業の役割が小さく、そのことにより、COCOA不具合の原因把握が難航しているとのことです。なんだかなぁ~と思ってしまいますね。

業務の流れはこうです。

厚生労働省は、COCOAの開発事業を3億9,036万円で、東京にある「パーソルプロセス&テクノロジー」に随意契約で委託しました。

随意契約とは、競争入札によらずに任意で決定した相手と契約を結ぶものです。

「パーソルプロセス&テクノロジー」は、合計3億6,842万円を使って、以下の企業に再委託しています。

・日本マイクロソフト(工程管理、技術支援):9,416万円
・エムティーアイ(保守開発):1億9,093万円
・フィクサー(保守、監視、HER-SYS連携開発):9,333万円

「パーソルプロセス&テクノロジー」に残るのは2,194万円です。

これは、再委託比率を「原則2分の1未満」とする規定に反することになります。

さらに「エムティーアイ」は、以下に再委託をしています。

・イー・ガーディアン(利用者サポート):3,788万円
・ディザイアード(保守開発):406万円

これは、厚生労働省から見れば再々委託となります。

「パーソルプロセス&テクノロジー」は、感染者情報を共有するシステム「HER-SYS(ハーシス)」の委託先でもあり、その業務と連携するためCOCOAも受注しています。

「パーソルプロセス&テクノロジー」では、「HER-SYS(ハーシス)」も、再委託比率は契約金額の93%に上り、COCOAと同様に再委託先の企業が事業の大半を担う構図となっています。

Next: 観客向けアプリ開発費は約73億円、どうしてこうなった?



観客向けアプリ開発費は約73億円

さらに東京五輪・パラリンピックの観客向けのアプリを開発しているようです。

「オリンピック・パラリンピック観客等向けアプリ(仮称)」(オリ観アプリ)というもののようで、感染防止を目的として、今年1月から開発が始まったようです。

海外からのアスリートや大会関係者、観客ら120万人の利用を想定しているというのですが、どうやら東京五輪・パラリンピックの無観客開催は眼中にはないようです。

その費用はなんと約73億円!

菅総理は、国会質疑でその費用の大きさを「知らなかった」と答弁しています。

COCOA開発費用は約3億9,000万円、今度のアプリ開発費は、COCOAの約18倍にもなっています。

「オリ観アプリ」があればワクチンも14日間待機も免除?

問題は、「オリ観アプリ」が、外国人観客の14日間待機免除を前提とするものになっているようです。ワクチン接種も義務付けられないようです。

どうやら政府としては、入国客にワクチン接種を義務づけず、アプリで済ます動きがあるのです。

一体どういうことでしょう。

厚生労働省からも、「アプリの機能が不十分なら、五輪後に感染爆発を招く。誰が責任を取るのか……」という懸念の声が伝わってくるとのことです。

同じ言葉を繰り返しますが、一体どういうことなのでしょう。

「オリ観アプリ」は、海外からダウンロードできるのか、スマホを持っていない人はどうするのかなど、運用方法を詰め切れていないそうです。

まさに、政権の五輪ありきの姿勢が見て取れます。

無観客開催の可能性は考慮されていない

「オリ観アプリ」の想定対象者は120万(観光客80万人+選手団や関係者40万人)となっていますが、橋本聖子担当大臣の答弁では、選手は1万5,000人だそうです。

もし無観客開催となれば、選手1万5,000人のために、73億円もの開発費をかけたことになります。

菅首相は17日の衆院予算委員会で「五輪以外の場面での活用も視野に入れて開発を進めたい」と答弁しました。

しかし、立憲民主党の尾辻かな子議員に「仕様書や契約書に書いていない」と突っ込まれていました。

Next: 「スガノアプリ」との揶揄も。本当に五輪を開催できるレベルなのか?



本当に東京五輪を開催できるレベルなのか?

繰り返しますが、政府としてはこの「オリ観アプリ」は、訪日観光客や選手たちの健康管理を目的として開発するようで、その管理を十分に行う、追跡も行うことから、入国14日間の隔離もワクチン接種も行わない方向のようなのです。

日本は安全、コロナ感染は大丈夫ということをアピールするためなのでしょうか。

政府による五輪開催にあまりの前のめりな姿勢が見て取れます。

日刊ゲンダイデジタル版では、この「オリ観アプリ」は“スガノアプリ”と揶揄していますね。

いやぁ、COCOAといい、オリ観アプリといい、この国のデジタル技術は大丈夫なのか。本当にこれで東京オリンピック・パラリンピックを開催しても良いのでしょうか。

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らぽーる・マガジン』(2021年2月8日号)より
※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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