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昨春の相場暴落から1年、フラッシュクラッシュ再来はあるか? 発生の仕組みと対策=今市太郎

昨年2020年3月9日に起きた米ドル円の「フラッシュクラッシュ」からまもなく1年です。同様のことが起きると示唆しているわけではありませんが、なぜ起きるのかという点と、次のフラッシュクラッシュへの備えの重要性について解説します。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)

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※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2021年3月5日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。

2020年3月9日「フラッシュクラッシュ」から1年

昨年2020年3月9日、アジア・オセアニアタイムの始まりから大きく窓を開けて下落していたドル円は東京タイムに多少の買戻し窓埋めが進みましたが、その後101.183円にまで瞬間に下落することとなりました。

実際に相場を見ていましたが、本当にあっという間に下落することとなり、まさにフラッシュクラッシュを目の当たりにする出来事でした。

ただ、個人的に驚いたのはこの下落ではなく、その後あっという間にもとのレベルにまで値が戻り、その後3月後半に向けてなんと112円手前までドル円が買い戻されることになったことでした。

米ドル/円 週足(SBI証券提供)

市場のドル保有需要が猛烈な高まりをみせてドル円も上昇したというのがその理由となったわけですが、新型コロナの感染拡大問題で暴落したドル円が短時間で逆に買いあげの対象になってしまったのはさすがに違和感たっぷりで、個人投資家をはじめ多くの市場参加者が戻り売りで踏みあげられて散々な目にあったのは記憶に新しいところです。

今回取り上げたいのは、この踏み上げの部分ではなく、あくまでフラッシュクラッシュがなぜ起きるのかという点について考えたいと思います。

厳密には急落から急騰するのがフラッシュクラッシュ

フラッシュクラッシュの厳密な定義としては、超短時間に突然相場が急落し、その後に急騰する現象のことを言うようです。

目にもとまらぬ速さで起きるものの、レバレッジをかけた取り引きなどはこれによりいきなり強制ロスカットや損切にひっかかり、とてつもない損失を被ることになるわけです。

もちろん急騰して急落することもこれに該当するようですが、実際の相場でいいますと、ここ数年のフラッシュクラッシュはそうした動きではないものも含まれるようになっています。

Next: 人為的に引き起こされるケースも。1年前の再来はあるか?



人為的に引き起こされるものもある

このフラッシュクラッシュは、極めて人為的に行われるケースも市場では確認されています。

<スイス中銀が引き起こしたフラッシュクラッシュ>

ひとつは2015年1月15日にスイス中銀がそれまで永続的に対ユーロで介入すると公言していたものを、「介入原資がなくなったのでやめることにしました」と発表したことで起きたフラッシュクラッシュです。

こんなことを言えば多くの市場参加者が飛びつくのはわかり切った話で、ある意味では確信犯的なものであったといえます。

このときには国内ではアルパリが事業を撤退することにまでなり、たまたまポジションをもっていて爆益になった人もかなりの時間をかけてようやく決済されるといった非常事態に陥ることになります。

故意に引き起こしたことではないと言う人もいますが、結果が見えているなかでこうした発言を中央銀行が行ったのは、ほとんど故意といってもかまわないのではないでしょうか。

<トルコリラ円をきっかけにしたフラッシュクラッシュ>

また2019年1月3日に起きたのは完全に作為的なクラッシュで、正月三が日の箱根駅伝競走の復路がスタートする30分前くらいに、まずはトルコリラ円が大きく下げ、ドル円も連動してフラッシュクラッシュが起きてしまったようです。

この場合は、何者かが正月の誰も取り引きしないような時間帯を狙って作為的に下落を作り出したようで、一定以上の大きな売りが持ち込まれることで相場は大きく下落し、それにほかのアルゴリズムがリアルに反応して暴落の幅を大きく広げる形になりました。

こちらの場合は108.900円辺りだったドル円が本当に瞬間的に104.766円レベルまで4円13銭程度まで下落していますから、クロス円なども被害は大きく、一瞬で証拠金を失った方も多いと思います。

これはスイス中銀のケースよりも完全に確信犯で、この時間帯にやってやろうと思った首謀者がいるはずです。

昨年3月9日はある意味自然に起きた暴落か

さて、昨年の3月9日東京タイムでのドル円の大幅下落は、すでに週明けのアジアタイムから窓が開いており、東京タイムに入ってから仲値も終わった11時頃にいきなり104.211円あたりの寄り付きから、その後いきなり101.592円までの下落を示現することとなりました。

その値幅は2円ちょっとでしたが、当時リアルにチャートを見てましたところ、滝のようにするする相場が下落することとなりました。

あえて仲値をはずして大玉を持ち込んで来た向きがいたのかもしれませんが、その動きにやはりアルゴが追随して、比較的大きな下落を示現することになったのでしょう。

実際にはその後のNYタイムでさらに下値を模索する動きになりましたから、暴落して暴騰するフラッシュクラッシュとはかなり異なるものになったことは事実です。

Next: シートベルトは必須。いつ起こっても不思議ではない



いつ起こっても不思議ではない

ご紹介したフラッシュクラッシュは幸か不幸か、私は生でチャートの前でその光景を見ることになりましたが、ポジションをもっていて利益が出たのは2019年の正月だけで、あとの2回はまさに指をくわえてなすすべもなくチャートを眺めることとなりました。

こうしたフラッシュクラッシュでは、よほどポジションに近いところにストップロスを入れておきませんと、結局、スプレッドが大幅に広がってまともに損切ができなくなることがほとんどとなります。

とくに国内でディーリングデスクを置いて顧客と反対売買することや顧客の損失こそが利益となっているビジネスをしている業者は、作為的にスプレッドを1円~2円単位で広げてきますから、強制ロスカットにさえ引っかからない場合も続出します。

今回あえてご紹介しているフラッシュクラッシュは、別に近々に同じことが起きるという注意喚起ではありません。

あくまで昨年から1年経過しているので、あえてまた意識しておかれることがいいのではという意味ですから、3月に同様のことが起きると示唆しているわけではありません。

ただ、絶対に起きないとも言えないのもまた事実で、常に心のどこかで意識しておかなくてはならないものと言えます。

とくにストップロスをどういれて安全対策をするかは、非常に重要な問題です。この機会に、再度自己点検をされておくことをお勧めします。

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  • 3月5日ロンドンタイムショートコメント(3/5)
  • 昨春相場暴落から1年~改めてフラッシュクラッシュの仕組みを考える(3/5)
  • 3月4日ロンドンタイムショートコメント(3/4)
  • ヒンデンブルグオーメン14か月ぶり点灯に市場がざわめく理由とは(3/4)
  • 3月3日ロンドンタイムショートコメント(3/3)
  • レイダリオが見立てる足元相場のバブル度(3/3)
  • 3月2日ロンドンタイムショートコメント(3/2)
  • 10年ものJGBの金利は既に日銀のYCC開始前のレベルに上がっている(3/2)
  • 3月1日ロンドンタイムショートコメント(3/1)
  • 3月第一週相場分析(3/1)

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image by:Tom Wang / Shutterstock.com

今市太郎の戦略的FX投資』(2021年3月5日号)より抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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