ビットコインは先週末に15%の下落を見せました。その原因を探ると、1987年10月のブラックマンデーとまったく同じ構造をしていることがわかります。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)
※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2021年4月20日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。
ビットコイン急落、一瞬で100万円が吹き飛んだ
多くの方がご存じの通り、前週末にビットコインは突然、大きな下落を果たすことになりました。
15%程度の下落ですから、決済が重視される法定通貨ではよほどのことがない限り、本来はここまでの下落はありません。
しかしビットコインの場合、決済実需がないうえに、市場参加者のほとんどが上昇を見て買いの保有をするという流動性のない相場を形成しています。
ですから、ひとたび下落となると、そのスピードはかなり早くなります。
また、下落率は15%であっても、その絶対価格は100万円を超える額になりますから、尋常ではないわけで、ビットコインの投資に懐疑的な方々はほら見たことかと思われたのではないでしょうか。
ブラックマンデーを彷彿とさせる下げだった
今回の下落の理由を探っていきますと、どうも1987年10月のブラックマンデーにおける市場参加者センチメントの急激な変化を彷彿とさせる状況が起きたことが見えてきます。
1987年10月のいわゆるブラックマンデーの暴落については、これまで様々な理由が語られてきました。
結局のところ、この直前段階にジョージ・ソロスが大量に株を売ったとの噂がウォールストリートにまん延。
そして、多くの投資家が一気に売りに回ったところに、スタートし始めたばかりのコンピュータ売買が輪をかけるような売りを出して、史上はじめてのフラッシュ・クラッシュを示現した。
というのが、もっとも確度の高い定説となっています。
Next: なぜ暴落? 構造はブラックマンデーの「噂のスキーム」にそっくり
今回のビットコイン下落も、構造はブラックマンデーの「噂のスキーム」にそっくり
今回のビットコインの下落では、まずコインベースの上場というイベントに巻き込まれて大きく上昇した直後に、米国財務省が仮想通貨を利用したマネーロンダリングを厳しく取り締まる可能性があるといったウソか本当かわからない情報がネットを駆け巡りました。
まず、これが多くの個人投資家が売りの出口へ殺到する原因となったのは、どうやら間違いがないようです。
まさに市場のセンチメントの劇的変化ということで、さらには中国ウイグル地区でのマイニングの停電なども、市場変化を加速させる要因として機能してしまったようです。
当メルマガでも何度かご紹介しているとおり、ビットコインについてはレバレッジをかけて仮想通貨FXで取り引きする個人投資家が非常に多く存在します。
それが故に、相場が大きく下げるといとも簡単に強制決済のレベルにひっかかり、同時に個人投資家が強制ロスカットを食らってポジションをほぼ同時間に清算することになるのも、過剰な相場の下落に大きく寄与しているようです。
実際、先週末の下落では、たった1時間だけで17億2,000万ドル相当のロングポジションが清算される状況となり、1日ではおよそ100億ドル相当、人数にして92万7,000人ものトレーダーのポジションが自律的、強制的に清算されたということですから、それは100万円くらい下がってもなんらおかしくはない状況です。
直近ではスワップ狙いで、市場参加者のほとんどがロングのポジションしかもっていない「トルコリラ円」が下落すると、とてつもない大幅なクラッシュを起こします。
それとほぼ同じように、ロングしか持たないビットコインFXのユーザーが大挙してロスカットに陥ることが、今回のようなフラッシュ・クラッシュ的大幅下落を示現させるネガティブな原動力になったことはほぼ間違いない状況です。
相場暴落は市場参加者のセンチメント急変が引き起こすもの
足元の相場、とくに米株市場などを見ていますと、いつバブルが崩壊するのか、また何が引き金になるのかが非常に気になるところです。
上述のビットコインの例を考えますと、市場参加者のセンチメントが変わり、買いから売りに殺到するような動きがではじめると、AIやアルゴリズムの無闇な増幅を経て、必要以上に大きな売りの流れになることは容易に理解できるところです。
つまり明確に大きな下落要因が市場に示現してドカーンと下がるわけではなく、つまらないことがきっかけで市場参加者が一斉にリスクを感じる時が、もっと危ないということになることがよくわかります。
Next: 暴落の原因は些細なこと。いつだって起こりうる
暴落の原因は些細なこと。いつだって起こりうる
ということは、暴落などということは日常的にいつでも起きる可能性があるわけです。
あまりにもやり過ぎな相場状況に陥った時には、どこで暴落が起きるかわからないことを、十分に事前認識しておく必要があることを感じさせられる次第です。
個人の裁量トレーダーが感じるやり過ぎ・高すぎ感といった印象は、実は暴落にはかなり重要な働きをする直観であることをよく覚えておきたいところです。
「もうはまだなり、まだはもうなり」などという言葉が相場の世界では使われることになりますが、やがて「もうはもうなり」がやってくることだけは間違いありません。
それがいつになるのかが、相場の永遠な課題です。
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『今市太郎の戦略的FX投資』(2021年4月20日号)より抜粋
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