コロナワクチンの卸値は機密事項のはずが、ツイッターでEUの契約金額が漏れるという事件がありました。今回はワクチンビジネスの顧客は誰か、またお金の流れについて解説します。(『房広治の「Nothing to lose! 失う物は何も無い。」』房広治)
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ワクチンビジネスにお金を払うのは誰?
今回はワクチンのお勉強です。ブルーオーシャン産業のワクチンメーカーの最大顧客(お金の出し手)は、いったい誰でしょうか?
答えは、「各国政府」です。
公衆衛生が目的なので、当たり前ですね。でも、アフリカやミャンマーなどへ渡航するにあたってワクチン接種をするときに、日本では、民間の病院で高いお金を払って打ってもらうなど、渡航者用のマーケットも大きくなっています。
そのため、国が主にお金を出していることを忘れがちです。これが1つのポイントになります。
日本政府も参戦、ワクチン購入のお金の流れとは
最近の報道を見ていると、CEPI、GAVI、COVAXなどなど、似たような横文字がコロナ関連でいろいろ出てきます。ここで整理をしておきましょう。
CEPIは、The Coalition for Epidemic Preparedness Innovations の略で、2017年にエピデミックを起こさないようにするためにつくられた、ワクチンの開発に支援金を補助する団体です。
Gavi・Global Alliance は、スイスジュネーブに2000年に設立された世界の Public Private Partnership で最も成功した部類の組織です。元々は Global Alliance for Vaccines and Immunization という長い名前でした。
「Global Alliance(地球規模の同盟)」という言葉からもわかるように、ワクチンの重要性を理解した英国政府が、2016年から2020年の間に必要となった$93億ドルのうちの25%を支援。さらに、アメリカ、ノルウェー、Gates Foundation(ビル&メリンダ・ゲイツ財団)が続いて、この4つが大口の寄付者となっています。
これに日本政府も支援することを決めました。6月2日に行われた日本開催のCOVAXで、新たにワクチン支援のために24億ドルを集める必要があるため、日本が8億ドルを拠出すると発表したわけです。
※参考:Gavi COVAX Advance Market Commitment Summit(2021年6月2日配信)
Gaviは、1990年に Children’s Vaccine Initiative としてスタートしていましたが、ゲイツ氏などが近代的な経営手法を採り入れ、とても効率が良くなったと言われています。
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秘密のはずのワクチン価格はどこから漏れ出したのか
昨年末、ワクチン1回分が225円~1,860円との情報が出ていました。ベルギーの大臣がツイッターで漏らしたとのことです。
※参考:EUのワクチン価格「暴露」 1回分225~1860円―ベルギー閣外相 – 時事ドットコム(2020年12月19日配信)
間抜けな話ですが、秘守義務を負っている予算担当の大臣が、EUの契約した6社とのワクチンの契約価格を30分だけツイッターに掲載。それをベルギーの新聞が画像として残していたようです。
EUの契約を見ると、アストラゼネカ製が1.78ユーロ(約225円)で最安値になっています。これは、オックスフォード大学が権利をアストラゼネカに売る時に、最初の1年間(最初のパンデミックの間)は利益を出さない価格で供給することという契約を結んだためです。
一番高かったのはモデルナ製の18ドル(約2,000円)で、ファイザー製は12ユーロ(約1,520円)だったようです。
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『房広治の「Nothing to lose! 失う物は何も無い。」』(2021年6月4日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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