コロナワクチンの卸値は機密事項のはずが、ツイッターでEUの契約金額が漏れるという事件がありました。今回はワクチンビジネスの顧客は誰か、またお金の流れについて解説します。(『房広治の「Nothing to lose! 失う物は何も無い。」』房広治)
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※本記事は有料メルマガ『房広治の「Nothing to lose! 失う物は何も無い。」』2021年6月4日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。
ワクチンビジネスにお金を払うのは誰?
今回はワクチンのお勉強です。ブルーオーシャン産業のワクチンメーカーの最大顧客(お金の出し手)は、いったい誰でしょうか?
答えは、「各国政府」です。
公衆衛生が目的なので、当たり前ですね。でも、アフリカやミャンマーなどへ渡航するにあたってワクチン接種をするときに、日本では、民間の病院で高いお金を払って打ってもらうなど、渡航者用のマーケットも大きくなっています。
そのため、国が主にお金を出していることを忘れがちです。これが1つのポイントになります。
日本政府も参戦、ワクチン購入のお金の流れとは
最近の報道を見ていると、CEPI、GAVI、COVAXなどなど、似たような横文字がコロナ関連でいろいろ出てきます。ここで整理をしておきましょう。
CEPIは、The Coalition for Epidemic Preparedness Innovations の略で、2017年にエピデミックを起こさないようにするためにつくられた、ワクチンの開発に支援金を補助する団体です。
Gavi・Global Alliance は、スイスジュネーブに2000年に設立された世界の Public Private Partnership で最も成功した部類の組織です。元々は Global Alliance for Vaccines and Immunization という長い名前でした。
「Global Alliance(地球規模の同盟)」という言葉からもわかるように、ワクチンの重要性を理解した英国政府が、2016年から2020年の間に必要となった$93億ドルのうちの25%を支援。さらに、アメリカ、ノルウェー、Gates Foundation(ビル&メリンダ・ゲイツ財団)が続いて、この4つが大口の寄付者となっています。
これに日本政府も支援することを決めました。6月2日に行われた日本開催のCOVAXで、新たにワクチン支援のために24億ドルを集める必要があるため、日本が8億ドルを拠出すると発表したわけです。
※参考:Gavi COVAX Advance Market Commitment Summit(2021年6月2日配信)
Gaviは、1990年に Children’s Vaccine Initiative としてスタートしていましたが、ゲイツ氏などが近代的な経営手法を採り入れ、とても効率が良くなったと言われています。
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