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中国で拡大する育児市場、今後は「3人目出産容認」へ。親の年齢で消費動向に差、日本の子育てに影響も?

中国の「一人っ子政策」は2010年代に撤廃され、国内全夫婦が2人目の子供を授かることができるようになりました。さらにここに来て少子高齢化が急速に進んでいることから、3人目の奨励政策を検討する動きが出ています。今回は、中国で拡大を続ける「赤ちゃん消費」のトレンドを解説します。(『『中国ビジネス自由研究所~中国株・中国ネタで儲ける~』

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プロフィール:中国ビジネス自由研究所
世界第2位の経済大国である中国は、地理的にも近く、少子高齢化社会の日本が無視できない巨大マーケット、ビジネス・投資で儲けるうえで有望なマーケットです。皆さんのビジネスや資産にプラスの影響を与えられるメルマガを発行。著者は過去、大手投資会社にて、中国人投資家向けの投資アドバイザーとして従事。中国へ2度留学(①中国語語留学、②経営学修士MBA留学)、中国政府公認 中国語HSK6級・HSKK(口述試験)高級合格

中国「お母さん・赤ちゃん市場」の消費トレンド

今回は、お母さん・赤ちゃん市場について見ていきたいと思います。

皆さんご存知の通り、日本は超少子高齢化社会ですが、中国においても少子高齢化が進んでいます。一方で、中国の急速な経済成長と共に、お母さん・赤ちゃん市場においても、消費トレンド等に変化が見られます。

中国は政策的にも、過去には人口増加に歯止めをかけたいと考え「一人っ子政策」が導入されましたが、2010年代に撤廃。国内全夫婦が2人目の子供を授かることができるようになり、最近では、少子高齢化が急速に進んでいることから、3人目の奨励政策を検討するという動きになっています。

新生児の減少に歯止め。中国の出生を取り巻く環境は?

中国の出生数は年々低下しています。中国の統計を取りまとめている国家統計局によると、中国の出生率は低下傾向を続けており、人口出生率は1,000人あたり10人に近づいています。

2019年中国新生児規模は1,465万人(2016年では1,786万人)、人口あたりで換算した人口出生率は10.48/1,000という数字になっています。

第2子の出産に伴い、新生児に占める第2子の割合が大幅に増加し、新生児の減少傾向に一定の歯止めがかかりました。

<政策>

第2子の出産が自由化され、一部の地域では出産を奨励するために補助金政策が導入されました。

また、お母さんと赤ちゃんに対する安全保護を強化するため、安全行動計画が導入されており、「中国健康2030」の計画では、家族が科学的に妊娠して健康な命を育てることを積極的に指導しています。

<経済>

母子手帳など、お母さんと赤ちゃんに関する製品が注目を集めています。全体的には、消費水準の向上と可処分所得の増加に伴う市場の全体的な向上が、ママ・アンド・ポップ市場の発展に寄与しています。

<社会>

科学的な根拠に基づいた子育て、質の高い子育てを志向するお母さんが増えており、子育てに求められる基準がグレードアップしています。

<テクノロジー>

テクノロジーの深化により、お母さんを対象とした、ライブストリーミングや有料相談など、コンテンツ形態が多様化・充実化しています。

今後、5G・ビッグデータ・AI技術などの活用により、より効率的で洗練化されたサービスが世に生み出される可能性があります。

次に、お母さん&赤ちゃん関連商品・サービス市場の市場規模について見ていきましょう。2020年には、3.25兆元(約55兆円)と試算されており、成長率こそ鈍化傾向にあるものの、規模の面では、毎年拡大を続けています。

Next: 中国のお母さんにはどんな特徴がある?年代ごとに異なる消費動向



中国のお母さんにはどんな特徴がある?

お母さんが所属する家族形態は、大きく分けて2つあります。

(1)同居(もしくは近所に)両親がいる
(2)核家族(夫と子どものみ)

それぞれについて見ていきたいと思います。

<「(1)同居(もしくは近所に)両親がいる」お母さんの割合・特徴は?>

・規模:国内に約2.1億人
・年齢:全体の63%が、30歳以下
・学歴:全体の82%が、大学卒業以上
・子どもの数:全体の68%が1人の子ども
・子どもの年齢:全体の64%が3歳以下

<「(2)核家族(夫と子どものみ)」お母さんの割合・特徴は?>

・年齢:全体の71%が25~35歳
・学歴:全体の81%が、大学卒業以上
・職業:全体の73%が、ホワイトカラー
・収入:全体の71%が、家庭の収入が1万元以上

次に、お母さんの年齢を以下に分けて、より細かく見ていきたいと思います。

(1)1995年以降生まれのお母さん
(2)1990年以降生まれのお母さん
(3)1985年以降生まれのお母さん
(4)1980年以降生まれのお母さん

以下は、よく見られる傾向です。

<(1)1995年以降生まれのお母さん>

・構成比:全体の13%
・家庭収入:8,000~10,000元/月
・子どもの数:1人目で、子育て経験中
・趣味:テーブルゲーム、KTV、レジャー等
・親世代のサポート:最も手厚い

<(2)1990年以降生まれのお母さん>

・構成比:全体の37%
・家庭収入:8,000~15,000元/月
・子どもの数:1人目で、子育て慣れてきている
・趣味:ショッピング、グルメ、音楽、芸術等

<(3)1985年以降生まれのお母さん>

・構成比:全体の34%
・家庭収入:10,000~20,000元/月
・子どもの数:2人目で、子育て慣れてきている
・趣味:旅行、運動等

<(4)1980年以降生まれのお母さん>

・構成比:全体の16%
・家庭収入:15,000~30,000元/月
・子どもの数:2人目で、子育て慣れてきている
・趣味:テレビを見る等

<赤ちゃんのお世話する割合は?>

また、次に赤ちゃんケアの割合をみると、

1位:お母さん88%
2位:お父さん49%
3位:おじいちゃんおばあちゃん43%
4位:ベビーシッター37%

というデータとなっており、日本に比べ、お母さん以外の子育て参画の割合が大きいことが分かります。

地域別で考えると、北京、上海、深センといった一級都市では、特に、お母さん以外の子育て参加割合が高く、これは、都市部ではお母さんも働きに出て、生活を支えている割合が大きいことにも起因するのではないか、と思われます。

また、役割分担の傾向もあり、これは日本においても同様だと思いますが、料理や家事はお母さん、運動や郊外へ遊びに行くなどはお父さん、おじいちゃん・おばあちゃんは、料理や家事をするお母さんをサポートするといった役割分担が見られます。

Next: 中国の子育て費用は?父母の負担率に「差」



子育て費用

次に、子育てに関する消費についてです。全体的な傾向としては、以下といった形で消費の意思決定もわかれます。

・少額の消費は、お母さん(例、子育て用品、スキンケア、消費税等)
・多額の消費は、お父さん(例、自動車、不動産、教育等)
・その他は、お父さん・お母さんが共同(例、旅行、家電、金融・保険等)

上記に関しては、何人目の子どもか、という点も影響してきます。2人目の子どもであればあるほど、お母さんの意思決定権が多くの項目において強くなります。

地域によっても、お母さんの関心毎が異なる様相を見せています。Tier1都市(北京、上海、深センなど)では、早期教育や娯楽、大物商品やベビー用品に対して、お母さんがより多くの決定権を持っており、Tier2都市では、ケア・健康・おもちゃ・食品への支出を重視。Tier3以降の都市では、ベビー服を着ることに関心が高いようです。

子どもに費やす費用としては、世帯収入の20%~30%が最も多く、その中でも、1990年代以降生まれ、かつTier1都市に居住するお母さんは、「豊かな子育て」を志向しており、子どもに費やす費用は比較的高水準にあります。

コロナはどう影響?お母さん・赤ちゃん市場の変化

<(1)外出自粛>

赤ちゃんを外に連れて行き、自身も赤ちゃんも含めて気分転換したい、というニーズを持つお母さんは多いと思われますが、コロナの流行により、外出回数、時間、また外出先(特に遠方)は制限されることとなりました。

<(2)オンラインへの傾斜>

また、外出が制限されることにより、オンラインによる消費傾向が益々加速することとなりました。特にベビー用品やアパレル、次いでベビーフードや玩具・教育用品などにその傾向が見られます。

お母さんの消費行動・チャネル

お母さんの年齢が1995年以降生まれなど、若ければ若いほど、オンラインでのショッピングを好む傾向が見られます。

一方で、お母さんの年齢が1980年代以降であれば、従来のように大型のショッピングモール等のオフラインで買い物することを好む傾向が見られます。

お母さんが赤ちゃん用品を購入する際、重視するものを食品・用品・服・おもちゃでみると、そのどのカテゴリーにおいても「品質」と答える割合がもっとも高く、その次にブランド、成分、機能性、安全性、価格等という順序になっています。

今回は、中国のお母さん・赤ちゃん市場に焦点を当て、さまざまなデータを見てきました。また、お母さんの年代や家族構成によって異なる消費の傾向も見えてきました。

日本の商品・製品も引き続き、中国では人気がありますが、販売・マーケティング・ブランディング戦略を考案する際に、事前に調査また参考にすべき内容が多くあったと思います。

これは、お母さん・赤ちゃん市場に限らず、どの市場においても言えることだと思いますが、消費財関連の業務やマーケティングに携わっている皆様にとりまして、もし何かお役に立てる情報でしたら幸いです。このテーマについては、7月前半のメルマガでも後編としてさらに詳しく解説していきます。

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※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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