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「小池首相」誕生シナリオは消滅へ。五輪延期で狂った与党の選挙戦略、国民が選んでいない菅政権に審判が下る?=江守哲

東京五輪は成功裏に終わったかのように報じられているが、果たしてそうだろうか。秋には総選挙が控えている。1年の延期を経て、与党のシナリオにも狂いが生じている。改めて、今回の東京五輪を総括し、今後の政治動向を考えてみたい。(『江守哲の「ニュースの哲人」~日本で報道されない本当の国際情勢と次のシナリオ』江守哲)

本記事は『江守哲の「ニュースの哲人」~日本で報道されない本当の国際情勢と次のシナリオ』2021年8月13日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:江守哲(えもり てつ)
エモリファンドマネジメント株式会社代表取締役。慶應義塾大学商学部卒業。住友商事、英国住友商事(ロンドン駐在)、外資系企業、三井物産子会社、投資顧問などを経て会社設立。「日本で最初のコモディティ・ストラテジスト」。商社・外資系企業時代は30カ国を訪問し、ビジネスを展開。投資顧問でヘッジファンド運用を行ったあと、会社設立。現在は株式・為替・コモディティにて資金運用を行う一方、メルマガを通じた投資情報・運用戦略の発信、セミナー講師、テレビ出演、各種寄稿などを行っている。

無観客でも史上最多の金メダル獲得

8月8日、無観客の国立競技場で東京五輪の閉会式が行われた。新型コロナウイルス禍での17日間にわたる熱戦に幕を下ろした。

日本選手団は空手男子形金メダリストの喜友名諒さんが旗手を務めた。1964年東京五輪の行進曲「オリンピック・マーチ」に合わせ、日の丸を掲げ堂々と行進した。

回顧主義も悪くないが、新しさがない。時代は変わっている。非常に残念である。

日本は今大会、史上最多の27個の金メダルを獲得。14個の銀、17個の銅を合わせたメダル総数58個も前回リオデジャネイロ大会の41個を上回って最多だった。金メダル数は米国、中国に次いで3位、総数は5位だった。がんばった選手たちに拍手を送りたい。

今回の五輪を終えて、日本が夏季五輪で獲得した累計メダル数(1936年ベルリン大会芸術の銅2個を含む)は499個となったようである。

さて、選手たちの中には、実力を出せなかったひともいるだろう。しかし、暑い中、本当によくがんばったといえるだろう。無観客でもあり、本来はホームでの開催でたくさんの声援を受ける日本選手が圧倒的に有利だったはずが、その目論見も外れてしまった。

それもこれもコロナのせいだが、その前に政策ミスがある。これには参った人も多いだろう。

五輪開催プロセスの問題は最後まで曖昧、検証もされない可能性

多くの日本人にとって、本来は五輪を生で見る人生最初で最後の機会となったはずである。しかし、それもかなわなった。

チケットを入手するのに苦労したものの、結局は見ることができなかった人も多いだろう。私自身はすべて外れたので問題はなかったのだが、それでも無観客で競技が行われたことについては、残念な気持ちには変わりない。

今回の五輪開催には賛否両論があったことはご承知のとおりである。五輪が終わり、成功裏に終わったかのように報じられているが、果たしてそうだろうか。

私自身は、開催決定のプロセスと体制には完全に反対であった。結局、この問題は最後まで曖昧にされ、将来も検証されないだろう。

なぜなら、五輪そのものが政治で動いているからである。国民を馬鹿にしたような開催プロセスには、あきれるばかりである。

そして、最後はIOCのバッハ会長の「銀座徘徊」である。さらに、この行動を菅政権は認知したというのである。国民には「外出するな」「規制は控えろ」「会食はダメ」と言いながら、海外から来たバッハ会長はおとがめなし。

これで日本の政治が何で動いているかは、誰もが容易に想像がつくだろう。

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国民に選ばれたわけではない菅政権

これまでの失態の積み重ねで起きていることは、菅政権の不支持率の急騰である。

さすがに国民も気づき始めたといえるだろう。秋の衆院選が楽しみである。どのような結果になるのか、早く見てみたいところである。結果を見れば、いまの国民の考えが正しいのかどうかもわかるだろう。

現政権を容認するような、残念な国にならないことを祈るばかりである。

ちなみに、菅首相は国民に選ばれていないことを忘れてはならない。選挙をクリアしていないのである。

安倍氏が首相を降りたからそのまま横滑りとなっただけであり、菅氏が首相になることを前提とした選挙をクリアしていない。この点は実はきわめて重要である。

つまり、次の衆議院選挙は、菅氏および菅政権を容認するかどうかの選挙になる。どのような結果が出るのか、本当に楽しみである。

野党の存在感はゼロ。自民党の勝利は確実か

しかし、さらに残念なことがある。それは、野党の存在感がゼロであることである。これでは「政権選択選挙」にはならない。

その結果、自民党が勝利する可能性はかなり高いといえる。

自民党のすごいところは、ピンチになると必死に選挙活動を行い、死に物狂いで議席を確保するところである。これはすごいことである。このすごさは、残念ながら野党にはない。

したがって、結果は見えているともいえる。その意味では、やはり面白みがない選挙になるだろう。国民に選択の余地がないというのは、きわめて残念であり、不健全である。

優秀な人が政治家を目指さない時代である。これは官僚も同じであろう。劣悪な職場環境で身を粉にして働いても、何も残らない。尊敬もされない。そもそも、国民のために働いているという意識も薄いだろう。

これは政治家も同じである。同じ人間が長くやることで、新鮮味はなくなり、日本は活性化しなくなる。

一部の長老は今回の衆院選に出馬せず、引退するとしている。大いに結構なことである。どんどん辞めるべきである。

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「小池首相」誕生シナリオは消滅、まさかの安倍再々登板もありえる?

衆院選がいつになるのか、まだスケジュールははっきりしない。ただし、いつ選挙になっ
ても大丈夫なように、与野党は準備をしているだろう。

本来であれば、小池都知事が話題の中心になるはずだったが、これもコロナと東京五輪の1年延期ですべての計画が狂ってしまった。

残念ながら、小池氏の首相就任の野望が実現する可能性は、限りなくゼロになったといって差し支えないだろう。

この場合、このシナリオの実行役だった二階氏の立場にも影響が出る可能性がある。

いっそのこと、首脳陣の総入れ替えもいいだろう。まさか安倍氏の再々登板はないと思うが、いまの菅氏の体たらくぶりを見ると、その可能性は完全には否定できないところが、安倍氏のすごいところでもある。頭の片隅に置いておこう。

ちなみに、小泉進次郎氏が台頭するようであれば、それこそ日本は沈没するだろう。

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江守哲の「ニュースの哲人」~日本で報道されない本当の国際情勢と次のシナリオ』(2021年8月13日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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