トルコリラが急落しています。過去にも何度となくトルコリラ/円買いはリスク満載で、よほどの思い入れでもないかぎりは「やめたほうがいい」と進言してきました。しかし、もはや完全撤退すべき時が到来していることを強く感じさせられます。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)
※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2021年11月16日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。
トルコリラ急落
11月18日に、またしてもトルコ中銀の政策決定会合が開催されます。
市場の予測では10月消費者物価コア指数が、市場予想を下回ったことや、足もとで発表された経常収支が市場予想を上回ったことを背景にして、今回の11月会合で100bpの追加利下げが予想されはじめております。
すでにそれが対ドル・対円で、先週末あたりからしっかり織り込まれている状況です。
さらに、12月会合でも100bpの追加利下げを予想し始めています。
双方とも見送りで終われば、一定の買戻しが出るのでしょう。しかし、このまま実施となった場合には、トルコリラのさらなる下落が進むのは間違いなさそう。
かなり注意が必要になってきています。
海外投機筋はトルコリラを狙い撃ち
こうした状況を受けて、海外の投機筋は、完全にトルコリラの狙い撃ちに出ています。
9月からの推移だけみても、米ドル/トルコリラは、すでに10を超える勢いで完全にロケットの吹き上げのような相場展開になっています。
対円でも延々と下げ相場が展開されており、下手をすれば、年内にトルコリラ円も10円を割り込みかねないところまで下落が進んでいます。
こうなるとインカムゲインをキャピタルロスが上回るのは間違いない状況で、さすがにスワップ狙いの取引などありえない断末魔のところに差し掛かっていることがわかります。
Next: スワップ狙いなどありえない。“ゆでガエル”になる前に撤退を
トルコリラからは完全撤退すべき
このメルマガでは、過去にも何度となくトルコリラ/円買いはリスク満載で、トルコリラによほどの思い入れでもないかぎりは「やめたほうがいい」と進言してきました。
しかし、もはや完全撤退すべき時が到来していることを強く感じさせられます。
トルコのエルドアン大統領がひとり気を吐く利下げ思考については、もはや議論しても意味のないところに来ていますから、結果だけにフォーカスすべき状況です。
日本の個人投資家がこともあろうにナンピンでスワップ狙いするのを市場は周知
ここで、非常に困った問題として顕在化していることがあります。
それは、日本の個人投資家が延々とスワップ狙いで、実質実効レートの低さから考えれば本来は実質的なマイナス金利のトルコリラを、店頭業者との相対契約で延々と買い続けていること。
そして、このことを市場に周知されてしまっていることです。特に相場が下がると買い増すといった、とんでもないドルコスト法のような売買を多くの人がそれなりのレバレッジをかけてやっているのは、もはや有名な話となっています。
そのため、ストップロス、とくに業者設定の強制ロスカット一斉実施狙いの投機筋の仕掛け売買は確実に存在するようで、1回で2円以上も下げようものなら、とんでもないことが起きる可能性も十分に意識すべき時間帯に入っています。
足もとではクロス円全般に円高方向ですから、トルコリラ円はあまり目立った存在ではありません。
しかし、ドル/トルコリラと、ドル円の掛け合わせで生成されるトルコリラ円が大幅に下落するともなれば、ドル円への影響も気になるところです。
このタイミングで利下げがあるかどうかなどを精査してみても、ほとんど意味はありません。
皆さんがどのぐらいの含み損を抱えているのかはわかりませんが、すっぱり損切撤退を判断するべきなのではないでしょうか。
Next: すでにトルコリラはスワップ通貨の座から陥落してしまっている
トルコリラはもはやスワップ通貨として機能していない
実は海外のFX業者では、実質実効金利の低さから、カバー先の金融機関がスワップを出さなくなっています。
そのため、自社の手数料を入れるとすでにマイナス金利設定などというところも出始めており、トルコリラはスワップ通貨の座から陥落してしまっているという衝撃的な事態に陥っています。
それでも続けるかどうかは、まさに個人の自己責任の問題です。とはいえ、さすがに見切るべき時期がやってきているのではないでしょうか。
トルコリラに関わっているうちは、楽しい年末が到来することはまったくイメージできないのが正直なところです。
<初月無料購読ですぐ読める! 11月配信済みバックナンバー>
※2021年11月中に初月無料の定期購読手続きを完了すると、以下の号がすぐに届きます。
- よほどの思い入れでもない限りトルコリラ投資からは全面撤退すべき状況(11/16)
- 11月15日ロンドンタイムショートコメント(11/15)
- 11月第三週相場分析(11/15)
- 11月12日ロンドンタイムショートコメント(11/12)
- 10月CPIからみえてきた米国のインフレは一時的ではない状況(11/12)
- 11月11日ロンドンタイムショートコメント(11/11)
- 自動売買ソフトウエア詐欺などに合わないために予め知っておくべきこと(11/11)
- 11月10日ロンドンタイムショートコメント(11/10)
- ハロウィン買い米株以外は不調~入りなおしが得策か(11/10)
- 11月9日ロンドンタイムショートコメント(11/9)
- イーロンマスク人類前人未到の33兆円超長者にみるテスラ株の異常な高さ(11/9)
- 11月8日ロンドンタイムショートコメント(11/8)
- 11月第二週相場分析(11/8)
- 11月5日ロンドンタイムショートコメント(11/5)
- ドルブルは終わったわけじゃない~ドル円年末までにどこまで上昇できるかに注目(11/5)
- 11月3日ロンドンタイムショートコメント(11/4)
- クロス円は上昇したがドル円は不発のFOMC政策発表(11/4)
- 11月3日ロンドンタイムショートコメント(11/3)
- FOMCのテーパリングは織り込み済みだがパウエルは続投どーするわけ?(11/3)
- 11月2日ロンドンタイムショートコメント(11/2)
- またしても兆候の表れはじめた米債のイールドカーブフラット化(11/2)
- 11月1日ロンドンタイムショートコメント(11/1)
- 総選挙結果は為替には全く影響なしからスタート(11/1)
※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2021年11月16日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。
<こちらも必読! 月単位で購入できるバックナンバー>
※初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込880円)。
- 11月第一週相場分析前倒し編(10/30)
- 10月29日ロンドンタイムショートコメント(10/29)
- 原油、LNG価格高騰で年末に向けて貿易赤字拡大~悪い円安確定の相場(10/29)
- 10月28日ロンドンタイムショートコメント(10/28)
- 今年はハロウィンエフェクトのアノマリーに乗るべきか(10/28)
- 10月27日ロンドンタイムショートコメント(10/27)
- この冬とうとうグリーンフレーション到来か(10/27)
- 10月26日ロンドンタイムショートコメント(10/26)
- エルドアンに忖度して利下げのトルコ中銀も酷いが良くみりゃFRBも似たようなものという件について(10/26)
- 10月25日ロンドンタイムショートコメント(10/25)
- 10月最終週相場分析(10/25)
- 10月22日ロンドンタイムショートコメント(10/22)
- 号外・恒大集団辛くも9月23日分ドル建て利払い支払いでデフォルト回避(10/22)
- 週末に迫る恒大集団のデフォルト~回避の手立てはほとんどない状況に(10/22)
- 10月21日ロンドンタイムショートコメント(10/21)
- バイデン政権は果たしてドル高をどこまで容認するか(10/21)
- 10月20日ロンドンタイムショートコメント(10/20)
- スマホオンリーのFXトレーダーは必ずほかのデバイスで取引できるよう備えるべき(10/20)
- 10月19日ロンドンタイムショートコメント(10/19)
- パウエルお前もか?2020年FOMC前に自ら株売却の暴露記事で議長再任は絶望的(10/19)
- 10月17日ロンドンタイムショートコメント(10/18)
- 10月第四週相場分析(10/18)
- 10月15日ロンドンタイムショートコメント(10/15)
- 岸田首相今度は円安対策実施か?(10/15)
- 10月14日ロンドンタイムショートコメント(10/14)
- 本邦市場では全く関心のない韓国デフォルトリスク~韓国民個人負債破綻にも注意が必要(10/14)
- 10月13日ロンドンタイムショートコメント(10/13)
- ドル円は11月後半まで上昇継続か(10/13)
- 10月12日ロンドンタイムショートコメント(10/12)
- 出してはすぐに引っ込める前言撤回の岸田首相のチキン野郎ぶりに辟易(10/12)
- 10月11日ロンドンタイムショートコメント(10/11)
- 10月第三週相場分析(10/11)
- 10月8日ロンドンタイムショートコメント(10/8)
- いよいよ世界が直面するスタグフレーションに備えよう(10/8)
- 10月7日ロンドンタイムショートコメント(10/7)
- ドル円は戻り売り、売りあがり厳禁の時間帯に(10/7)
- 民主党左派エリザベスウォーレンのパウエル糾弾が凄まじい状況に突入(10/6)
- そろそろファンドの45日ルール到来(10/6)
- 10月5日ロンドンタイムショートコメント(10/5)
- 米債金利上昇の裏で示現するドル買い需要~これでは当分ドル安は訪れない(10/5)
- 10月4日ロンドンタイムショートコメント(10/4)
- 10月第二週相場分析(10/4)
- 10月1日ロンドンタイムショートコメント(10/1)
- 恒大集団より深刻?中国の電力不足が世界経済に及ぼす甚大な影響(10/1)
- 9月30日ロンドンタイムショートコメント(9/30)
- 10月為替相場は仕込みのタイミングをはかる時期(9/30)
- 9月29日ロンドンタイムショートコメント(9/29)
- 米債金利の上昇はやはり投機筋の売り浴びせ仕掛け~勝つのはファンドかFRBか(9/29)
- 9月28日ロンドンタイムショートコメント(9/28)
- FRBの輩の市場予測など全くあてにならないという厳しいお話(9/28)
- 9月27日ロンドンタイムショートコメント(9/27)
- 9月最終週相場分析(9/27)
- 9月24日ロンドンタイムショートコメント(9/24)
- AIとロボティクスイノベーションがもたらす本格デフレ社会の驚異(9/24)
- 上っツラの報道だけで無節操に下げたり上げたりする相場にうんざり(9/23)
- 9月22日ロンドンタイムショートコメント(9/22)
- 相場の大幅下落はリスク事象の事実の成否より参加者のセンチメントで決まるもの(9/22)
- 9月21日ロンドンタイムショートコメント(9/21)
- 中国恒大グループの影響で値を下げる豪ドル(9/21)
- 9月第四週相場分析(9/20)
- 9月17日ロンドンタイムショートコメント(9/17)
- いよいよ佳境の自民党総裁選~結果にドル円は影響を受けるのか(9/17)
- 9月16日ロンドンタイムショートコメント(9/16)
- シーズナルサイクルとリアルな相場に出るギャップをどう理解すべきか(9/16)
- 9月15日ロンドンタイムショートコメント(9/15)
- 静かに進む日銀の黒田バズーカ巻き戻し~株も為替も逆回転がやってくる?(9/15)
- 9月14日ロンドンタイムショートコメント(9/14)
- カプラン、ローゼングレンの私的株投資爆益露見で強まる利益相反の問題(9/14)
- 9月13日ロンドンタイムショートコメント(9/13)
- 9月第三週相場分析(9/13)
- 9月10日ロンドンタイムショートコメント(9/10)
- 伝統的政策手法を打ち出すECBに対してそれができないFRB ~一体違いはどこにあるのか(9/10)
- 9月9日ロンドンタイムショートコメント(9/9)
- エルサルバドルでついに始まったBTC法定通貨 ~しかしこれ本当にうまくいくのか?(9/9)
- 9月8日ロンドンタイムショートコメント(9/8)
- 恒大集団破綻は中国のリーマンショック級大問題 ~だがなぜか金融市場ではあまり話題にならない不思議(9/8)
- 9月8日ロンドンタイムショートコメント(9/7)
- 大坂なおみ様、折角テニスでお金持ちなんだから仮想通貨になど興味をもつのはおやめなさいというお話(9/7)
- 9月6日ロンドンタイムショートコメント(9/6)
- 9月第2週相場分析(9/6)
- 9月3日ロンドンタイムショートコメント(9/3)
- SECゲンスラー委員長が息巻くPFOF全面禁止でロビンフッダーはどうなるか(9/3)
- 9月2日ロンドンタイムショートコメント(9/2)
- 市場が殆どリスクを織り込まない中国・習近平の共同富裕宣言(9/2)
- 9月1日ロンドンタイムショートコメント(9/1)
- 菅首相9月中旬解散断行で株価は慣例どおり上昇するものなのか?(9/1)
『今市太郎の戦略的FX投資』(2021年11月16日号)より抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
初月無料お試し購読OK!有料メルマガ好評配信中
今市太郎の戦略的FX投資
[月額880円(税込) 毎週月・火・水・木・金曜日]
個人投資家がもっと得難いファンダメンタルズを徹底的に集めテクニカルで売買チャンスを探るFX投資家のためのメールマガジンです。土日を覗く平日毎日の配信となりますので、確実に日々の売買に役立てることが可能です。