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今夜は下がれば強気で買い!米雇用統計の展望とドル円トレード戦略〜「雇用よりインフレ抑制」のバイデン政策を裏読み=ゆきママ

今年2022年の株式市場は大荒れスタート!ナスダック総合指数は1月として過去最悪の下落、S&P500指数も2009年以来の大幅な下落となっています。為替は安定していると言えば安定していますが、市場のセンチメントに影響されたりされなかったりで、チョッピー(不規則)で悩ましい値動きとなっています。そんな中、今日の雇用統計はどうなる?ということで解説していきます。(ゆきママ)

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BOE、ECBイベントを確認して円独歩安へ

昨日(3日)は、BOE(英中銀)とECB(欧州中銀)の金融政策イベントがあり、BOEは利上げを決定、ECBがEU圏のインフレ上昇に初めて懸念を示したことがタカ派と判断され、ポンド高、ユーロ高となる中でドルインデックス(主要通貨に対するドルの強さを指数化したもの)は急低下しましたが、ドル円はジワリ上昇するなど、円独歩安の展開となっています。

米ドル/円 日足(SBI証券提供)

結局のところ、すでにテーパリング(緩和縮小)を開始したFRB(米連邦準備制度理事会)はもちろんのこと、ECBやBOEも引き締め方向に動く中で、相変わらずインフレが停滞したままでハト派的な日銀というコントラストから、ひたすら円が弱い状況となっています。

雇用よりもインフレ抑制を明確にしたパウエル

そして、今日の雇用統計の焦点は、NFP(非農業部門雇用者数)よりも平均時給(賃金上昇率)ということになるでしょう。

1月11日に行われた指名承認公聴会でも、1月25-26日に行われたFOMC(米連邦公開市場委員会)後の記者会見でも、パウエルFRB議長は雇用よりもインフレ抑制に取り組む姿勢を明確に示しています。

テーパリングの加速や今後行われる利上げについて、「労働市場にマイナスの影響をもたらすことはない」「雇用を悪化させることなく利上げを行える余地はかなりある」とし、「賃金は過去数年で最も早いペースで上昇している」など、インフレ対策、賃金インフレへの懸念を繰り返し口にしていました。

これを受け、既に米短期金利(2年債利回り)は、1.2%台まで上昇しており、直近で少なくとも5回程度の利上げは想定していると思われます。今日の雇用統計における平均時給の数字によっては、さらに織り込みが進んで短期金利を中心に米金利が上昇、ドル高になると考えられます。

Next: 下がれば強気で買い!先行指標から読み取れること



NFPの下振れは織り込み済み、むしろ平均時給上昇に寄与か

先行して発表された雇用指標を見ていくと、全体的に数字が悪化していることが分かります。この辺はオミクロンの影響が重なっていると言えるでしょう。

雇用指標の結果(青は改善・赤は悪化、数値はいずれも速報値)

民間のADP社が発表する雇用報告では、前回分が大きく伸びたことによる反動もありますが、大きく減らしてマイナスとなっています。また、新規失業保険申請件数も一時的ですが増加しており、労働者が減少しているのはほぼ確実と言えるでしょう。

したがって、NFP(非農業部門雇用者数)の下振れ、弱い数字は想定済みでしょう。

むしろ、懸念しなければならならないのは、ADPによる労働者数の減少が示している通り、オミクロンの影響で労働市場が一段と逼迫化し、労働者確保のためにコスト増が加速している可能性、平均時給の上昇、賃金インフレです。

今回(1月分)は前月比で+0.5%の上昇がコンセンサス予想となっていますが、前回(12月分)の+0.6%を上回るようであれば、さらなる賃金インフレの加速が織り込まれ、ドルの上昇につながることでしょう。

下がれば強気で買い!

雇用統計はNFP(非農業部門雇用者数)の数字に影響されやすいですから、そういう意味では初動は下振れで下げる可能性が高いでしょう。

もっとも、オミクロンの感染拡大による労働者の一時的な減少に加え、今回のコロナによって労働市場からドロップアウトした人々も戻ってきそうにありませんから、これらの影響による賃金インフレは継続しそうで、平均時給が予想の前月比+0.5%・前年比+5.2%を上回るのであれば、利上げ加速、引き締め意識でドル高になるでしょう。

なので、仮にNFPがマイナス圏に沈んでドル円が瞬間的に下げたとしても、賃金が上回っていれば買いという判断で良いと思います。

Next: 想定レートは1ドル=114.50〜115.60円。今夜のトレード戦略は?



想定レートは1ドル=114.50〜115.60円

トレード的には、日足ベースで21日移動平均線のある114.50〜114.60円レベルは支えられやすいので、115円台を下回っている限りは、基本買いの意識でしょう。上値は115.50〜115.60円がメドとなり、この手前で伸び悩むのであればいったん手仕舞いといったトレードが考えられます。

ドル円チャート(日足)

ちなみに、平均時給が予想を下回った場合、特に前月比で+0.2~0.3%以下となった場合は、ややインフレが落ち着いたということで利上げペースの後退が意識され、ドル円の上値は重くなりそうですし、米金利低下からのドル安・株高からの円安になりそう。

その場合は、ユーロ円やポンド円のロングを狙ってみると良いでしょう。

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image by:BiksuTong / Shutterstock.com

本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2022年2月4日)
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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