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急降下のドル円「ペロシショック」からどう動く?今夜の米雇用統計で読む先行きと有効なトレード戦略=ゆきママ

ペロシ下院議長の台湾訪問!1ドル=130円からのおはぎゃあ!先週と今週だけでドル円相場は7円という記録的な値幅となりました。この背景、そして今晩の雇用統計の展望について解説していきます。(ゆきママ)

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FOMCでガイダンス示されず!

7月26〜27日の日程で行われたFOMC(米連邦公開市場委員会)では、予想通り0.75%の利上げが行われましたが、9月以降の利上げに関しては会合毎に決めるとし、ガイダンス(見通し)が全く示されなかったことがサプライズとなり、急激なドルの調整下落が始まりました。

米ドル/円 日足(SBI証券提供)

パウエル議長は大幅な利上げも厭わないが、今後は会合毎に判断、そして経済データに依存するとしました。確かに最近の米国指標は冴えません。

このFOMCの後に発表された米4-6月のGDP(国内総生産)は予想を下回って−0.9%(予想+1.2%)となり、2四半期連続のマイナス成長となったことで、一義的な景気後退局面、テクニカル・リセッション入りしたことが明らかとなりました。

パウエル議長も含めたFRBメンバーは、とりわけ雇用が強いためリセッションの状態にはないとしていましたから、今夜の雇用統計は非常に重要な意味を持つことになるでしょう。

仮に今回の雇用統計の数字が致命的なら、マーケットはリセッションを改めて意識することでしょう。

ちなみに正式なリセッションという意味では、NBER(全米経済分析局)の景気日付判定委員会で個人所得や雇用、生産、小売などの指標をトータルに勘案した上で判定されます。

個人所得、雇用は今のところ強めですが、生産と小売はかなり怪しくなってきましたからね。その上、雇用も悪化したとなると、いよいよリセッション入りという意識が強くなりそうです。

そして、先週から米短期金利(2年債利回り)は目先の利上げを意識して小高さを保っているものの、将来的な景気後退を意識して米長期金利(10年債利回り)は大きく低下しましたからね。

これによってドルも大幅な調整下落を迫られました。

それでは、先に発表されている雇用指標の数字を見ながら、今日の展望を考えていきたいと思います。

Next: 先行指標は雇用の堅調さを示すも結果はどうなる?今夜のドル円展望



先行指標も雇用の堅調さを示す

雇用指標の結果(青は改善・赤は悪化、数値はいずれも速報値)

新規失業保険申請件数の増加は気掛かりですが、ISM(全米供給管理協会)の発表している雇用指数は持ち直しの動きが見られます。最近はハイテク企業を中心に雇用計画の凍結やレイオフ(一時解雇)の動きが見られますが、その一方でサービス業などでは新たな採用が非常に困難との企業コメントも見られ、求人件数は依然として非常に多い状況です。

したがって、バブル状態だったハイテク企業の採用ブームは一巡したものの、トータルで見れば雇用市場は依然として堅調ということが言えると思われます。

新規失業保険申請件数の悪化や、ハイテク企業のレイオフを理由に雇用統計の悪化を懸念する声は根強いですが、そういった意味ではハードルも低く、また、予想並の数字は出やすいのではないかと考えています。

強ければ一段高だがレンジブレイクは難しそう?

よっぽど予想値から乖離した数字が出ない限り、レンジブレイクは難しそうですね。

ハードルはそれほど高くないので、基本的に下がれば押し目・ロングを狙う堅調な値動きは想定したいところです。やはり円の先高感はあまりないですし、ユーロも買えないですからね。

ドル円チャート(日足)

非農業部門雇用者数は+20万人以上(予想+25.0万人)であれば、ほぼ完全にコロナで失った雇用を取り戻せますし、雇用市場としては十分強いですからね。まずはこの数字を超えれば、132円台を割り込まない限りずっと押し目でしょう。

レンジを下抜け、130円台を割り込むためには、やはり雇用者数がマイナス圏に落ち込まない限りなかなか想定しにくいのかなと思います。

Next: 今夜のトレード戦略は?想定レートは1ドル=131.80〜136.00円



今夜の想定は1ドル=131.80〜136.00円

具体的なトレード戦略としては、発表前に132円台に差し込んでいれば買ってみて、132.30円割れか、131.80円で損切りでしょう。

あとは雇用者数が+20万人を超えかつ平均時給も予想の前月比+0.3%・前年比+4.9%を超えてきた場合、133円台前半レベルなら買ってみて様子見。134.50円レベルの上値抵抗を抜けて135円台まで伸びるならホールドでしょう。上値抵抗レベルで伸び悩むなら利食いです。

また、雇用者数が+10万人レベルを割り込んだ場合は一旦様子見です。もっとも、全体的に予想を大きく下回るような数字でもない限りは、基本的に下値を確認して押し目を狙いたいレベルまで米ドルは調整していますので、まずはそういったトレードを考えていきましょう。

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image by:lev radin / Shutterstock.com

本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2022年8月5日)
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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