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黒田総裁「円安ではなくドル独歩高」の詭弁。主要中銀で“日銀だけ”金融緩和を続けるとどうなるのか?=斎藤満

FRBに続き、ECB(欧州中央銀行)も0.5%の利上げを決定しました。一方、日銀は物価見通しを引き上げながらも、金融緩和政策を続けると主張しています。現在のインフレの状況は、当初、日銀が目標としていた2%を達成しています。何があっても金融緩和政策を続けようとする黒田日銀総裁の発言は詭弁だらけで、トランプ大統領の「フェイク・アンサー」を思い起こさせます。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)

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※有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2022年7月25日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

世界の主要中銀で「日銀だけ」金融緩和を継続へ

先週21日には、日銀の決定会合とECBの理事会が行われました。

ECBは、事前予想の0.25%ではなく、いきなり0.5%の利上げに出て、物価目標の2%達成まで利上げを続ける姿勢を見せました。

一方、日銀は、物価見通しを引き上げながらも、現状維持を決め、黒田総裁は金利を上げる気持ちはまったくないと言い張りました。この会見の間にドル円は約0.3円、円安に振れました。

世界の主要中銀の中で、利上げをせずにいまだにマイナス金利を維持しているのは、日銀だけとなりました。

そして何があっても金利は上げないとする日銀総裁の言葉には、これまでにない「唯我独尊」の感が否めません。しかも、総裁答弁には、かつてのトランプ前大統領並みの「フェイク・アンサー」も見られました。

日銀の姿勢には政財界からも批判の声が上がっています。

黒田総裁がフェイク・アンサー?「ドル独歩高で円安ではない」

米国ではかつて、トランプ前大統領の発言に対して、真偽をチェックせざるを得ませんでした。21日の黒田総裁発言にも、この真偽チェックが必要です。

例えば、為替の円安について問われた際、総裁は円安ではなく、ドル独歩高だと言い、暗に日銀の金融緩和のせいで円安になっているわけではない、と言いたかったようです。

その際、韓国を例にあげ、何度も利上げをしているのにウォン安が続いている、と説明しました。つまり金融政策とは別に、ドル独歩高になる要素があると言わんばかりでした。そして円だけが安いわけではないとしました。しかし、そのウォンに対しても、円は安くなっています。ロシア・ルーブルにも負けています。ドルは確かに強いのですが、円も独歩安にあり、日銀はその責任から逃れられません。

つまり、為替と金融政策との基本的な関係について、総裁はフェイク発言を行ったことになります。

残念ながら日銀記者クラブのメンバーから、これを指摘する声は上がりませんでした。日銀の独りよがりを許している記者にも責任があります。

Next: 「為替をターゲットに金融政策を行わない」どこまで円安を放置する?

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