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黒田総裁「円安ではなくドル独歩高」の詭弁。主要中銀で“日銀だけ”金融緩和を続けるとどうなるのか?=斎藤満

為替をターゲットに金融政策を行わない

また円安については、日ごろから、為替をターゲットに金融政策を行っていないと言い、円安を止めるための金融政策は取らないと言っています。しかし、記者から「YCC(イールドカーブ・コントロール)を止めたらどうなるか?」と問われて、真っ先に「為替に影響が出る」と言いました。ターゲットにするか否かは別に、金融政策が為替に影響していることは自ら認めたことになり、大規模緩和が円安をもたらしていることを認めたことになります。

そもそも、日銀はかつて円高が続いたときに日銀のせいだと言われ、アベノミクスにおいても「円高デフレ」からの脱却を大きな目的に据えています。

つまり、円高を修正し、円安にするために、確信犯的に金融の大規模緩和を行ったことになり、これは為替を事実上のターゲットにしていたことになります。

そもそも、日銀法第1条第1項に「日銀は我が国の中央銀行として銀行券を発行するとともに、通貨並びに金融の調節を行うことを目的とする」と記されています。通貨の調節は日銀に与えられた基本的な目的であり、円の価値が下落すれば、これを調節する義務があります。

為替をターゲットにしないというのは「方便」に過ぎません。

物価目標を超えても賃金上昇インフレになるまで緩和を続ける

そして日本の消費者物価上昇率も2%を超えてきました。

日銀が指標としている「生鮮食品を除く」コアは、4月から2%を超え、6月は前年比2.2%の上昇となっています。全体では2.4%、実態的なインフレ率「帰属家賃を除く総合」は2.8%の上昇と、いずれも目標の2%を超えています。日銀の予想では、今年度のコアは2.3%の上昇となっています。

日銀は現実のインフレ率が安定的に2%を超えるまで、今の金融緩和を続けるとしていますが、1年を通じて2.3%の物価上昇を予想しています。日銀自身が安定的に2%以上のインフレを予想していることになります。

それでも黒田総裁は、輸入資源高による物価上昇で、これは景気を圧迫するので、企業が価格転嫁できるようになり、さらに賃金上昇に至るまで緩和を続けて支援すると言っています。

しかし、30年間賃金を上げずにむしろ引き下げてきた日本で、金融緩和を続ければ賃金上昇が起こると考えることが非現実です。恐らく、緩和を続けて円安が続き、輸入インフレで企業、労働者が負担を余儀なくされ、賃上げも追いつかずに実質賃金の低下が続くのが関の山です。

今や世界中で同じような輸入インフレで苦しみ、景気悪化で賃金が上げられないユーロ圏でも、インフレ自体が経済圧迫要因として、問答無用の利上げに入りました。日本でも物価高が消費者の購買力を奪い、生活を圧迫しています。賃金コストプッシュのインフレになるまでインフレを放置する国は、日本以外にありません。

この日銀本位の考えこそ、唯我独尊の批判を免れません。

Next: 「物価目標を超えてインフレになれば対応策はいくらでもある」は本当か

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