ジム・ロジャーズほか海外著名投資家の間では、台湾有事は15年程度のうちに必ず起きるという見方です。日本人の多くは今回の中国軍のミサイル発射によって目が冷めたような感じがしますが、財産を安全な国に保管したり、有事の際に拠点を持つなどのリスク管理をしている人が少ないように感じます。(『花輪陽子のシンガポール富裕層の教え 海外投資&起業実践編』花輪陽子)
※有料メルマガ『花輪陽子のシンガポール富裕層の教え 海外投資&起業実践編』2022年8月12日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
外資系投資銀行を経てFPに。2015年からシンガポールに移住。ジム・ロジャーズ著『日本への警告 米中朝鮮半島の激変から人とお金の動きを見抜く』(講談社+α新書)をインタビュー監修。『シンガポールで見た日本の未来理想図』(講談社+α新書)『夫婦で貯める1億円!』(ダイヤモンド社)など著書多数。「ホンマでっか!?TV」「有吉ゼミ」などテレビ出演や講演経験も多数。
富裕層の生活圏に飛び込めば収入が上がる?
こんにちは。シンガポール在住、ファイナンシャル・プランナーの花輪陽子です。約2ヶ月の日本滞在を経てシンガポールに戻りました。
戻った後も子どもの学校が始まるまで2週間もあり、インター校に入れるのは費用がかかることに加えて、タイパ(タイムパフォーマンス)が非常に悪いと痛感しました。周りを見回しても授業参観日に家族全員で来るなど、金銭面だけではなく時間面でもかなりゆとりがある家庭が多いと感じます。
最新の研究調査によると、貧しい家の子でも、周りにお金持ちが多いと、お金持ちの親が情報の共有などをしてくれて貧しい家庭の子どもの収入も上昇するそうです。
※参考:貧しい家の子でも、金持ちの子と友達になれば、将来は稼げる大人になれる | 最新研究で「階級を越えた友情」の恩恵が示される – クーリエ・ジャポン(2022年8月9日配信)
生まれながらの資質に加えて環境も非常に重要になるということです。
シンガポールにいると世界中から富裕層が集まるために、その中では労働者階級にいても自然と上に引き上げられていくという仕組みが生まれます。
シンガポールに移住する富裕層が増えている
シンガポール人材開発省(MOM)が発表した2021年の賃金動向に関する報告書によると、民間企業の賃金上昇率は前年比3.9%でした。前年は新型コロナウイルス流行の影響で1.2%と低調だったが、経済回復に伴い19年(3.9%)と同水準まで戻しました。
シンガポールは現在、観光客に対しても国を開いています。PCRなし、隔離なしで健康報告だけで入国ができます。
これに対して日本では世界一の感染者数担っているにも関わらず、水際が厳しく、海外からは批判の声が聞こえます。
現在はシンガポールに移住をしてくる欧米やアジアの人が増えています。日本人でも富裕層を中心として移住をする人が増えているように感じます。しかし、円安とビザ難化の影響なのか、以前ほどは日系企業の駐在員が増えている感じは見られません。
子どもの学校がバロメーターとなるのですが、インター校では新しい生徒がたくさん来ているのに対して、日本人学校はそれほどでもないようです。
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ジム・ロジャーズ氏も警鐘。ペロシ氏訪台で台湾有事が現実に迫る
ペロシ下院議長の台湾訪台によって台湾の安全保障に脅威をもたらしました。それだけでなく、日本の排他的経済水域(EEZ)内に5発の弾道ミサイルが落下し、日本にも緊張感が高まっています。
ジム・ロジャーズ氏も、私がインタビュー・監修した書籍『大転換の時代: 世界的投資家が予言』(プレジデント社)の中で「10~15年後に米中戦争は免れない」と言っています。
「低迷している覇権国と活気に満ち溢れている覇権国が衝突する際には、戦争を免れなかったケースが歴史的に幾度となくあった」。
また、ジム・ロジャーズ氏の新著『世界大異変-現実を直視し、どう行動するか』(東洋経済新報社)の中では、「中国「封じ込め」ではなく、成長の糧とする政策をとるべき」と言っています。
「バイデン大統領のこれまでの対応で米中関係が改善される動きはまったく見られず、口先だけの社交辞令的な外交を続けているにすぎない」。
続いて日本の対応に関しては、冷静さを維持すべきだという意見です。
「日本は米中対立の争いに引きずりこまれているように思いますが、ジムさんは日本の対中戦略について、どう思われますか」。
「日本と中国に限らないが、他国との争いは行うべきではない。~略~。中国の成長は、中国に投資したアメリカや日本の経済も成長させた。言うならば、Win-Winの関係だった」。
7月22日に追加取材をした際には安倍さんの事件に対しても言及していました。
「この事件による日本経済への変化としては、日本政府が防衛費にもっとお金を使うようになるだろう。それが安倍氏の悲願の一つだったから。
日本人も自分たちのことは自分たちで守らなければいけないと考えるようになるかもしれない。政府が防衛に投資をする感情的な動機を持つようになるだろう」。
日本では国の借金が過去最大の1255兆円になったという報道があったばかりです。天文学的に負債が増え続けるのに防衛費負担が増えるのは苦しいところです。
※参考:国の借金、過去最大の1255兆円 1人当たり1000万円超―6月末 – 時事ドットコム(2022年8月10日配信)
また、実際に台湾有事が現実になった際には日本がポーランドのような立ち位置になるとも言われています。
大量の米軍や難民を受け入れたり、武器や食料などの物資を輸送する拠点となる可能性が高いとも言われています。
テレ東ワールドポリティクスの豊島晋作著『ウクライナ戦争は世界をどう変えたか 「独裁者の論理」と試される「日本の論理」』 では、台湾有事のシナリオについても詳しく書かれているので一読をおすすめします。
豊島晋作氏やジム・ロジャーズ氏、海外の人の間では台湾有事は15年程度の間のうちに必ず起きるという見方です。
Next: もう富裕層は動いている。リスクの高い日本から離れるのも一手
リスクの高い日本から離れるのも一手
日本人の多くは今回のミサイルによって目が冷めたような感じがしますが、財産を安全な国に保管したり、有事の際に拠点を持つなどのリスク管理をしている人が少ないように感じます。
シンガポール、ニュージーランド、スイスなどは地理的にも安全で金融も発達しており、資産を置く場所としては優れています(ニュージーランドは税制面でやや複雑です)。
また、物価は高いものの、オーストラリアやニュージーランドもよい大学も多く、治安もよいです(オーストラリアは地域にもよる)。
米中などの大国の中に行くのか、地理的にも離れているオセアニアやヨーロッパに住むのがよいのか悩ましいところですね。
ポルトガルビザと永住権に関してのアップデート
読者の方の多くからポルトガルのビザや永住権についてのお問い合わせを受けています。
ポルトガルでは不動産を購入する、不動産を賃貸する(D7ビザ)などのスキームでテンポラリーのビザが1~3年間取得でき、その後、永住権等を申請する、あるいはテンポラリービザをもう一度出し直すなどの流れになるようです。
不動産を購入するスキーム以外では基本的に1年のうちに数ヶ月など居住をするほうがビザの期限が切れそうになった時に、永住権などをアプライしやすいようです。
どのようなスキームでビザを取得するか、最初のビザ取得の際にどれくらいの期間のビザがもらえるか、などによって個別対応になります。また、渡航をする前に数ヶ月前から準備をし、最初の渡航の際にはビザの取得や銀行口座の開設や不動産賃貸契約などを現地でする必要があります。そのために1ヶ月前後の滞在が必要になります。
D7ビザを取得する場合、日本でやるべきこととしては――
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- 台湾有事で考えたい 海外移住と資産防衛術(8/12)
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『花輪陽子のシンガポール富裕層の教え 海外投資&起業実践編』(2022年8月12日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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