過去のマーケットから現状と似ているところを懸命に探している人たちがいますが、みなさん見当外れだなとは思います。今の状況を正しく理解していないので、現在と過去のマーケットの似通っているところを探しているのでしょう。今の状況というのは、景気が悪化しているのに株価は高いという状況です。ここを理解していないので、景気が良いのに株価が下落をしている場面を見つけだし、この状況と同じ、などと指摘しているわけです。(『 角野實のファンダメンタルズのススメ 角野實のファンダメンタルズのススメ 』)
※本記事は有料メルマガ『角野實のファンダメンタルズのススメ』2022年11月16日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:角野實(かどの みのる)
大学卒業後、金融機関に10年ほど勤務。独立して投資家の道へ。現在は企業経営者として活動、FX関連の執筆を多数行っている。
今の状況はコロナ・ショック前と同じ
ツイッターなどを観察していると、過去のマーケットから現状と似ているところを懸命に探している人たちがいます。今の状況を正しく理解していないので、現在と過去のマーケットの似通っているところを探しているのでしょう。それを見ていると、みなさん見当外れだなとは思います。
今の状況というのは、景気が悪化しているのに株価は高いという状況です。
ここを理解していないので、景気が良いのに株価が下落をしている場面を見つけだし、この状況と同じ、などと指摘しているわけです。
いつも言うように、私は景気が悪いのは認めます。しかし、景気が悪ければ株価が上昇するというのは関係ない、というのもいつも言っていることです。
株価は素直にドル安と金利安に反応をしているだけの話であり、この原因はドル高・金利高によって企業の決算は化粧直しをされている「だけ」の話。企業の決算はコストが減っているのですから(ドル安金利安によって)業績はよくなる、というだけの話です。
人員を削減すれば毎週・毎月のコストは減るのですから、さらに株価は上昇する、というだけの話です。ソフトバンクやイーロン・マスクはこの手法を多用しているのです。要は、資産という分母を増やしてコストがあがっても、それ以上の収入を得ることによって決算をよくしているだけの話です。
具体的には、ソフトバンクはLINEやZOZOなど定期的に確実に収入が上がる企業を買収して分母を大きくし、イーロン・マスクも同様でツイッターを買収して利益が上がる企業に衣替えしようとしているだけの話です。こんなことが永続するわけもなく、昨今の金利上昇によって彼らはアップアップなんだろうね、と思います。いくら人員削減やコストカットによって経費を削っても、借金が巨額すぎるので、この金利上昇には耐えられない状況になっているだけの話です。
反対にいつも私が言うキャッシュリッチな企業(GAFAなどがその典型)は、資産があるのですから、反対に収入になるというだけの話です。
金利収入があって利益が出るのと、借金で支出があるのでは大きな違いです。しかし、これらの企業でも金利上昇と景気悪化によって収益が鈍化することを恐れてレイオフを敢行するわけです。アマゾンの場合など近々で解雇をするとの報道です。感謝祭前の一番売り上げがあがるときに解雇をするのですから、もともと余剰人員を採用していた、ということなのだろうと思います。
要はキャッシュリッチ企業は余裕ですが、借金まみれの企業は無限の苦しみをこれから味わうでしょうね、というのが私の見解です。ここから格差が生まれるのでしょう。
肝心のコロナ・ショック前と、今が同じという証拠は以下のグラフで一発にて説明することができます。
上記はISM製造業と株価の関係になります。
コロナ・ショックは2020年2月で、その前の2018-2019の青棒線、ISM製造業をご覧ください。どんどん下がっています。わずかに2020年1-3月が上昇していますが、結局、景気が悪かったというのが証明され、崩落したのです。
Next: 現在はコロナ・ショック前と変わらぬ相場。では、ここからどうなる?
2018年〜2019年に何があったのか
この2018年〜2019年に何があったのかを解説します。
私がこの期間に印象的だった言葉をいつも思い出します。それはトランプが「金利やドルが高いとアメリカ経済はロクなことにならない」と言ったことです。
この時期に何があったかといえば、リーマン・ショックの傷も相当に癒え、当時のイエレン議長がゼロ金利を解除し、QTも進行させたのです。結果としてドルも金利も上昇した結果、株価の崩落が起きたのです。
その結果、金利があがるとロクなことがない、というトランプの発言につながるのです。そこから、トランプはFRBの姿勢は容認し、ドルと金利を下げることに必死になるのです。
つまりドルが高すぎる、金利が高すぎる、などと放言することによって、市場のドル高、金利高を抑え込んだのです。その結果、コロナで中国が失速し、米国経済もパンデミックになって株価が耐えられなくなって崩落したのです。
なぜコロナ・ショックは起きた?株価急落は「まだ先」か
コロナ・ショックが起こったきっかけは何だったかわかりますか?
このコロナ・ショックの直前に起こった重要な指標は日本のGDPです。日本も景気がよくないのに株価が上昇していたのです。私はこの間、ずっと株価は間違いなくリーマン級の下げになる、と2019年の10月くらいから騒いでいたのですが(←単なるアホ)、最終的にはそのようになっただけの話です。
ですから、今、株が売りだ、と騒いでいる方々の気持ちは痛いほどわかります。でも、人員削減によってコストが減っている段階、ドル安・金利安での状況では「まだ早い」というだけの話です。コスト低減効果がなくなったときに、崩落は現段階ではしないと思いますが、下げ始めると思います。
なぜ、崩落しないかといえば、2020年2月のコロナ・ショックの前は20%以上株価が買われていたからあれだけの崩落を起こしたのです。ドル円も崩落すると思っていますが、これは30%も根拠なく売られたのですから、暴騰するのは必然だと思っています。
今の状況はダウで年間7%安、ナスダックで27%安、日経に至っては6%安、高いわけではないのだから、予想以上に売られるわけがないでしょ、ということです。下がっても知れているよ、ということです。ナスダックが現在、一番、買われている理由はわかりましたね。
しかし、本当に一番割安なのは日経と中国株です。そのうち買われると思っています。
原因はわかった。では、どうなるのか?
原因をきちんと把握していれば、結果は自然とみえてくる、という因果の法則を私は常々言っていますが、当たりまえのことじゃないか、と考える人も多いと思います。
でも、見えていない人が多数いることは事実。だから、株が売りだのドル円が円安だのと言って現状、負けている人は「自分は原因がわかっていないのだな」と反省すべきだと思います。人間なんて誰でも間違えるのですから、さっさと間違いを認める方が早く次のステップに行けるのですが、なかなか認められないもの。私も昔そうでしたが、自分はバカだと認識したとたん、間違えたら「ごめんなさい」としょっちゅうパソコンに向かって謝罪しています(笑)。これを覚えると、ストレスがほとんどなくなります。
話が逸れましたが、要はどうなるのか?といえば、まずは人員削減やコスト削減が終わるまで業績は化粧直しをするわけです。
そして、春になるまで人員削減や資金調達をしないわけですから、そこまで株価が保つかの問題です。コロナ・ショックの場合、日本のGDPが想像以上に悪くて、世界で一斉に株価が売られたのです。
要はコロナ・ショックというのは、事件(日本GDP崩落)によって起こったのです。つまり事件をきっかけに、起こる可能性があるのです。前回も事故、事件だからだったからといって、今回もそうなるとは限りませんが、私はアンテナを張ってこのメルマガで情報を発信していきたいと思います。
Next: いつ株価は下落に転じる?3つの要素をウォッチすれば事前につかめる
いつ株価は下落に転じる?
要は、株価が下落に転じるときというのは、以下の3要素になるわけです。
1. ドル高
2. 金利高
3. 事件
これをウォッチすればいいだけの話です。
今の時点でわかっていることはドル安になるのだから、物価は上昇、金利は上昇という道筋は見えています。これがきっかけになるのか、それとも企業決算、コスト削減によって来年1月末の決算発表は維持するだろうという段階ですが、来期はわからんよ、ということ。米国GDPもきっかけになりそうですね。
こうやって原因がわかっていると、何があって基調が転換するかもなんとなくわかるものだと私は思います。
ドル円は、外国人の訪日がゼロで円需要が消えたわけです。それが10月18日に解除され、その統計がそろそろ出始めます。円安の原因はそれ以外には考えられないので、その統計が始まってくれば、たぶん、さらに円高になるだろうね、ということです。
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- 今の状況はコロナ・ショック前と同じ(11/16)
- PPIと鉄板銘柄について(11/15)
- どういう点に注意をしてマーケットにのぞめばいいのか?(11/14)
- 週末特別号 今のマーケットはきちんとロジカルに理解するべきだと思います(11/12)
- 今後の展開(11/11)
- マーケットは事実でしか動かない(11/10)
- 明日は消費者物価指数、インフレ指数(11/9)
- 数字のマジックに騙されるなΣ(・ω・ノ)ノ!(11/8)
- インフレの原因と結果 インフレの行方をみてみよう(11/7)
- 雇用統計の見通し 予定通りの予測(笑)(11/4)
- FOMC後のトレード戦略(11/3)
- 未来をみるための裏技の話(11/2)
- きょうはISM製造業(11/1)
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『
角野實のファンダメンタルズのススメ
角野實のファンダメンタルズのススメ
』(2022年11月16日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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