マネーボイス メニュー

FOMCプレイ?/当面NYダウは売り、ドル円・日経も戻り売りがベスト=田嶋智太郎

本メールマガジンでは数ある投資先=選択肢のなかから、この金曜に考える “マイ・ベスト”(複数となることもあります)を極力簡潔にご披露させていただくこととしています。はてさて、今週は一体何が飛び出しますやら…。気楽にお付き合いいただければ幸いです。(『田嶋智太郎の「金曜に考える!当面の投資ストラテジー」』田嶋智太郎)

※『田嶋智太郎の「金曜に考える!当面の投資ストラテジー」』は、毎週金曜日発行です。興味のある方はぜひこの機会に定期購読を。

ドル円、日経、NYダウ~金曜に考える!当面の投資ストラテジー

FOMCプレイ?

ここのところは「日銀プレイ」や「SQプレイ」など、とかく「○○プレイ」といったワードが市場を賑わすことが多くなっています。

【関連】「◯◯記者、許さん!」投資家がアナリストや記者に責任転嫁することの損失

そこには、目の前の市場の動きを冷笑するような意味合いが込められており、少なくとも「その動きは足下の経済実態を正しく反映したものとは言い難い」ということだけは、きちんと理解したうえで相場と向き合うことが重要であると思われます。

ここ数日の動きで言えば、さしずめ「FOMCプレイ」ということになるでしょうか。18日に公表された前回のFOMC議事録の内容を受け、俄かに6月の米追加利上げ説が有力になりつつあるようなムードですが…これは果たして、市場が手練手管なFRBの操縦に操られているということなのか、むしろ操られたフリをして目先的な鞘取りのためにあえて仕掛けているのか…。

いずれにしても、どこかで突然梯子を外されて、無駄に痛手を負うことなどないように十分警戒しておきたいところです。筆者は個人的に6月の利上げはないと考えていますが、もちろん目先の思惑的な動きにも短期で対応して行く算段では臨みたいと考えています。

相場の概況&感想

5月に入ってからというもの、日々発表される米経済指標の多くが強めの結果を示していることもあり、一頃に比べれば市場における6月の米利上げ観測が強まってきている模様です。

結果、足下ではドルを買い戻す動きが少々強まっており、ドル円が110円台を回復する一方で、ユーロ/ドルは一時1.1200ドルをも割り込む水準まで売り込まれる場面がありました。

周知のとおり、6月の米利上げ観測と言っても、いまだFEDウォッチの織り込み度は30%+αといったところ。それでも市場はやけに興奮して、せっせとドルを買ったり、米株を売ったりしています。

前回と前々回の「マイ・ベスト」は「NYダウ平均の売り」でしたが、実際に昨日(19日)は一時17331ドルまで売り込まれる展開が見られており、基本的に弱気モードとなってきました。

もちろん、米株価の低調な展開は、今年も昨年と同様に「セル・イン・メイ」を地で行くことになるのではないか…というムード的なものも作用しているものと思われます。米株価の下げが日経平均株価の上値を押さえる形で作用するケースも少なくないということは、一応頭の片隅に置いておく必要があるでしょう。

もっとも、目下は明日(21日)まで仙台で開催されているG7財務相・中央銀行総裁会議や来週に控える伊勢志摩サミットの結果を見定めたいとする向きも多いようで、様子見ムードが色濃いことも事実です。

日本政府による大胆な政策発動期待が根強くあることも事実であり、当面は「どうせ期待外れに終わるだろう」などと斜に構えてばかりもいられません。正直、目先の読みはなかなか難しい状況にあると言えるでしょう。

Next: 要注目の重要指標・要人発言等/当面、ドル円は戻り売りで



要注目の重要指標・イベント・要人発言等

4月の全米活動指数(NAI):3カ月ぶりプラス圏

シカゴ地区連銀が19日に発表した4月のNAIは+0.10と、3月のマイナス0.55から大きく上昇し、3カ月ぶりのプラス圏に浮上しました。

NAIは異なる85の経済指標をまとめて平均化し、景気動向の速度を指数化したもので、数値がゼロよりも高ければ平均を上回る成長を示し、ゼロ未満ならば成長が平均に満たないことを示します。

ただ、3カ月の移動平均はいまだマイナス圏にあり、早期の追加利上げにはまだ厳しい状況であると思われます。

4月開催分のFOMC議事録:「大半のメンバーが、経済状況が保証されれば6月の利上げは適切になる」との見解

これは、単にFRBが「6月の可能性も封印はしたくない」との意図を込めている文言であると思われますが、足下で手掛かり材料難に陥っている市場では、これに少々過剰に反応したようなところがあります。

足下ではドルを買い戻す動きも強まってはいますが…いたずらにドル高傾向が強まれば、米政府・当局から再びそれをけん制する動きが出てくる可能性は高いと見られます。

今週のマイ・ベスト

【戦略1】ドル/円の戻り売り

今年の秋口以降には、ドル/円が本来の強気トレンドに戻ると筆者も考えてはいますが、今はまだ「その時期」ではないと思います。

110円台前半には一目均衡表の日足「雲」下限が位置しており、ここはどうしても上げ渋りやすいところです。

米ドル/円 日足(SBI証券提供)

4/28高値から5/3安値までの下げに対する76.4%戻しも110.38円のところにあり、このあたりで強く上値が押さえられると、一旦は失望売りが出るのではないかと考えます。

Next: 【戦略2】日経平均株価も戻り売りで/「NYダウの売り」は継続



【戦略2】日経平均株価の戻り売り(吹き値売り?)

これから一週間でG7財務相・中央銀行総裁会議の結果も伊勢志摩サミットの結果も明らかとなってきます。

目下は政策期待もあって下値は堅めですし、実際に政策が出てくれば一旦は噴き上げる場面があるかもしれません。ただ、それが新たな強気トレンドを生み出すわけではないと考え、とりあえず吹いたところがあれば、そこは売りと考えておきたいところです。

日経平均株価 日足(SBI証券提供)

【補足】「NYダウ平均の売り」は継続

なお、前回更新分で取り上げました「NYダウ平均の売り」は継続とします。前回も述べたように、NYダウ平均が17500ドルを明確に割り込むと、そこからは一段安になりやすいものと考えます。

目先は75日線に支えられる可能性もありますが、同線をも下抜けると17000ドル、少し長い目では16500ドルあたりまでの調整もあり得ると考えます。

NYダウ 日足(SBI証券提供)

※ちなみに、小生は2016年の後半以降、米国経済の成長が加速し、あらためてドルの価値が見直される時も訪れるものと考えています。つまり、ここ数カ月はドル/円や日経平均株価がいったん「大底」を付けに行く“少々ガマンを要する時間帯”ということになるものと思われます。

※上記内容はあくまで、執筆者の個人的な見解です。常にストップロスの設定を忘れずに、ポジション管理は厳密に行うように心掛けていただきたいと思います。最後までお読みいただきまして、誠にありがとうございました。


※本記事は『田嶋智太郎の「金曜に考える!当面の投資ストラテジー」』2016年5月20日号を抜粋・再構成したものです。興味を持たれた方はぜひこの機会に定期購読をお願いいたします。

【関連】日経平均は二番底をつけたのか/麻生財務相よ、米国債を売れ=山崎和邦

田嶋智太郎の「金曜に考える!当面の投資ストラテジー」』(2016年5月20日号)より
※太字はMONEY VOICE編集部による

有料メルマガ好評配信中

田嶋智太郎の「金曜に考える!当面の投資ストラテジー」

[月額972円(税込) 毎週金曜日(年末年始を除く)]
これまで20年余り、経済アナリスト・投資ストラテジストとしての活動を続けてきました。自身も一人の投資家であり、株式現物・信用、指数先物、投信(含むETF)、FX、商品現物・先物、CFDまで幅広くカバーしています。そんな自身の経験をもとにファンダメンタルズ、テクニカルの両面から広く金融相場を分析し、その時々に最も有望と思われる投資対象、選定理由、具体的なストラテジーなどを考えて毎週金曜日に公開させていただきます。「果たして、今週は何が飛び出すか?」 楽しみにしていただければ幸いです。

シェアランキング

編集部のオススメ記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MONEY VOICEの最新情報をお届けします。