2022年のマーケットを振り返ると「ドル高」と「金利高」の1年でした。今年はどうなるか。結論からいえば、2023年はドルも金利も高い状態になります。でも、狂喜乱舞して買っていいのか?という問題ですが、その適正水準が何かを考えることです。(『 角野實のファンダメンタルズのススメ 角野實のファンダメンタルズのススメ 』)
※本記事は有料メルマガ『角野實のファンダメンタルズのススメ』2023年01月04日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:角野實(かどの みのる)
大学卒業後、金融機関に10年ほど勤務。独立して投資家の道へ。現在は企業経営者として活動、FX関連の執筆を多数行っている。
ドル高と金利高の1年だった2022年相場、今年は…?
2022年のマーケットを振り返ると「ドル高」と「金利高」の1年でした。
これに左右された“年”と言っても過言ではないでしょう。年初からドルが上昇し、付随して金利も上昇、年末はドル安のままで終了しましたが、金利は反転上昇し始めています。
これが原因で動けば、2023年の動きはドルと金利の動きをきちんと読まなければいけない…ということになります。しかも、去年は例年以上にドルと金利が動いたのですから、「去年と比較して」いくら変動をしているのか、ということを見なければいけないということです。
例えば、ドルは好調である雇用のことだ、と何度も言っています。その雇用は過去最高というまではいかないまでも、好調を維持しています。短期的には季節性によって減少をしていますが、総雇用は過去最高水準といっても過言ではない状況です。
つまり目先、雇用が多少減ろうが、大幅に季節性を無視して雇用が下がらない限り、ドルは強いということです。
しかし、年末はそれに反してドルは反落状態が続いているだけです。これ、間違いか?合ってるか?というレベルの問題なのです。
金利は財政・物価・政策金利に連動をするわけです。
財政はそれほど大きな問題にはならないでしょう。物価や政策金利はどうなるのか、コンセンサスは分かれています。しかし、インフレ率が7%、政策金利も4%、この水準が高いか、安いかの問題です。
大きい流れでは金利も高い水準です。要するに金利も高い傾向になる、ということです。
2023年もドル高・金利高が継続。しかし…
結論からいえば、2023年はドルも金利も高い状態になります。
でも、狂喜乱舞して買っていいのか?という問題ですが、その適正水準が何かを考えることです。去年のように150円のドル円で、160円だ、170円だと騒いでいても仕方がないというのは皆さん理解したと思います。
高すぎる範囲というのは、去年と比較していくら高くなっているかを冷静に見るべきです。
ドル円は去年よりも30%の円安です。30%以上の円安というのは統計上もあり得ない数字ですので、そこで反転しただけの話なのです。今の円は、年間で11%安の状態です。ただ、3か月前よりは10%高、これをどのように考えるか、という問題です。
この問題は日々のメルマガの解説で、また話をさせていただければと思いますが、要は、今のマーケットは3か月・6か月前の状態と比較してどうか?ということに着目されている、と思います。月日がたてば、1年前に着目が移行していくだけの話です。
3か月で10%も高くなってしまった円が適正なのか?私は適正だとは思いません。つまり、円は正念場でしょうね。ということは、ドルもユーロもということです。
株価は金利とドルを加味した計算で、ダウで現在、基準値よりも0.8%高い状態です。日経は、0.61%安い状態です。去年、ダウが常に10%↑を買っていたことを考えると、この水準でも「安い」ということがわかりますし、日経は安くなったので当然の帰結になります。
Next: 2023年の株価は上方向?なぜ年末年始に円高に行き、円安になったのか
2023年の株価は上方向か
そして、これがどちらに行くかによって、つまりどのようなコンセンサスが形成されるかによって、株価の上下が決まる、ということになります。
コンセンサスはISMなどの数字もあって下方向のような気がしますが、私は米国のリセッションなど信用をしていません。カネがあまり、金利もインフレ率7%で政策金利が4%、給料も下がらない状態で凹むというのはにわかに信じられません。
やり過ぎたら、急落はするでしょうが、現在は、近年では昨年比変わらずでも、大きく売られている状態と一緒だと考えています。ここから下がるとリーマンとかコロナショックになるわけですが、そこまで弱い材料は見渡してもないので、たぶん、上方向だろうね、と思っています。
要は今年もドルと金利をしっかりと見て、そして去年や半年前、3か月前との比較に注意をしていれば大丈夫かな、と思います。
去年、大きくマーケットが盛り上がったのは2月24日のウクライナ侵攻と、10月のドル円だと思います。この時期に去年と比較していくら違うのかを分析するのが大事なことです。
2月24日、去年の株価は下がっていますが、これはドルの価格と金利の価格次第です。去年より安くなることはドルの場合、ありえますが、金利はないでしょう。となるとドル安が異常に進行をした場合、株価は急落ではなく、急騰する可能性もあるということです。この辺は、難しいので日々の解説で解説していこうと思います。
ともかく今年も、ドルと金利をいて、今年は過去と比較していくらの騰落があるかを見ればよい、というだけの話です。
なぜ年末年始に円高に行き、円安になったのか
これは去年も解説をしているのですが、これが年末年始の薄商いによって余計に増幅されただけの話です。
年末に、日銀が物価見通しを引き上げたというニュースがありました。
※参考:日銀、物価見通し引き上げへ 緩和修正圧力も: 日本経済新聞(2022年12月31日配信)
これは世界各国が物価目標を2%としている理由を、以前に説明をしたと思います。この理由は、たとえばアメリカが目標5%、日本が2%の場合、どちらにお金を預けるかの問題です。
皆さん当然、アメリカを選ぶと思います。そうなるとドル円は去年の150円のことになるような可能性があります。これを防ぐために各国一律に2%にしているのです。
日銀は世界各国で統一されている2%を、引き上げようとしているのが報道内容です。アメリカ2%、日本が5%になった場合、みなさんがどちらにお金を預けるかの問題です。
日本ですよね。これを行うと、円高に行く可能性があるということです。それで年末年始に円高になったのです。
しかし、冷静に考えてください。日本は物価目標2%を10年以上やってきました。ほとんど円安でくらいしか達成していない状況です。2%も達成できないのに、目標を上げるの?バカバカしくて聞いていられませんよね(笑)。それだけの話です。
だから、急速に戻ったのです。しかも薄商いに増幅されながら。
Next: 日本の特例を世界が許した?今年の為替は大きく動く
今年の為替は大きく動く
ここのニュースで着目すべきは、物価目標2%というのは全世界共通の目標だったのです。
その目標の裏には、こういう意図があります。為替相場を安定的に推移をさせるため、という目的があるのです。
日銀が、この世界協調の目標を単独で変えることは通常に考えてありえないことですので、日本の特例を世界(というよりもG7)が認めたということです。
となると、G7がリーマンショック前後の為替のボラティリティーを認めた、ということが重要なメッセージなのです。認めたくはないでしょうが、日本の30%の円安をみれば、それを認めてくれ!という要求は通るでしょう。この成果は鈴木さんなのか、神田さんなのか。ま、たぶん後者の方の成果なのでしょうね、と思います。
今年の為替は動くよ、と言いたいのです。
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- 金利が再び上昇(12/28)
- インフレは続くと思います(12/27)
- ドルは強いと思います(12/26)
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- 来週の見通し(12/4)
- さて問題の雇用統計(12/2)
- ISM製造業指数の間違いやすい解釈を説明させてください(12/1)
『
角野實のファンダメンタルズのススメ
角野實のファンダメンタルズのススメ
』(2023年01月04日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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