2023年3月23日に米連邦議会でTikTok問題に関する公聴会が開催されました。なぜ、そこまで米国はTikTokを恐れるのでしょうか?TikTokの歴史を振り返ることで、今回の公聴会の公平性にあるのかについても解説します。(『 知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード 知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード 』牧野武文)
※本記事は有料メルマガ『知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード』2023年4月3日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
ITジャーナリスト、フリーライター。著書に『Googleの正体』『論語なう』『任天堂ノスタルジー横井軍平とその時代』など。中国のIT事情を解説するブログ「中華IT最新事情」の発行人を務める。
米国はなぜTikTokを問題視したのか?
みなさん、こんにちは!ITジャーナリストの牧野武文です。
今回は、TikTokの問題についてご紹介します。
3月23日に、米連邦議会でTikTok問題に関する公聴会が開かれました。日本の報道では、「TikTokが違法に米国人の個人情報を収集している疑惑」に焦点があたっていますが、公聴会ではその問題ともに、不適切コンテンツが青少年に与える悪影響も大きな論点となりました。
実際、TikTokのコンテンツに影響された未成年の死亡事故も起きているため、決して無視できない問題になっています。
このような不適切コンテンツの問題は、UGC(User Generated Content)を共有するSNSに共通した問題です。不適切なコンテンツは公開をしないフィルタリングを行うしかありませんが、ポルノや暴力など、多くの人が不適切だと認めるものであればともかく、なんでもかんでも排除をしていたら、今度は言論の自由と衝突をすることになります。
バイトダンスは、過去、このような不適切コンテンツにどのように対応してきたのでしょうか。
今回は、公聴会で議論されたTikTokの問題をおさらいし、バイトダンス創業者、張一鳴の軌跡をたどりながら、バイトダンスが不適切コンテンツにどのような対応をしてきたのかをご紹介します。
TikTokの問題点
3月23日に、米連邦議会で、TikTokに関する公聴会が開かれ、TikTokの周受資(ショウ・チュウ)CEOが証言をしたことは、さまざまな報道でご承知だと思います。出席した議員たちは「TikTokを禁止すべきだ」という前提であるため、非常に厳しい質問がチュウCEOに浴びせかけられました。
TikTokの何が問題になっているのでしょうか。問題とされるのは次の5つです。
1)違法な情報収集をしているのではないかという疑惑
2)合法的な収集情報の扱い
3)未成年に与える悪影響
4)報道に与える悪影響
5)米国による中国つぶし
このうち、公聴会では1)から3)までが具体的に質問をされ、4)については米国のSNSやメディアで話題になっているものです。また、5)については、米国の専門家、評論家が背景にある事情として、ファーウェイへのチップ供給停止問題なども絡めて語っています。面白いことに、この論点は、中国メディアでの報道はほとんどありません。理由を数人の中国人に尋ねてみると、「あたりまえのことすぎて、もはや報道するまでもない」という意見が圧倒的でした。さらに、「ファーウェイやバイトダンスは、こういった抵抗が起きることは、リスクとして織り込み済みで海外展開をしている」という意見もありました。
私は国際政治学者ではないので、このような国家間の戦略については、きちんと理解をしているとは言えません。そこで、5)は省略をして、1)から4)までの問題についてご説明をしたいと思います。
TikTokは違法な情報収集をしていない
1)のTikTokが違法な情報収集をしているのではないかという論点については、チョウCEOは明確に否定をしましたし、CNNなどもさまざまな研究が、違法な情報収集の証拠は発見できていないと報道しています。
これは客観的に見てもうなづける報道です。例えば、iPhoneの内部に保存されている連絡先データなどは、アプリが勝手にアクセスできないように設計されています。アプリの動作はいわゆるサンドボックス(砂場)化されていて、アプリがデバイス内部のデータに勝手にアクセスできないようになっています。もし、TikTokがこのサンドボックスを超えて、内部データにアクセスしているのだとしたら、iOSやAndroidに重大な脆弱性があるという話になり、アップルとグーグルは大騒ぎになり、セキュリティーアップデートの配布を始めることになります。
出席した議員たちは、チョウCEOの説明にまったく納得をしていない様子でしたが、客観的に見れば「明確に否定をされた」と言ってかまわないと思います。
Next: 合法的な情報収集かどうかはグレーゾーン
合法的な情報収集かどうかはグレーゾーン
2)の合法的な情報収集の扱いがTikTokの最大の問題になる点です。アプリは勝手にデバイス内部の情報にアクセスできないようになっていますが、利用をしているユーザーが許可を与えるのであれば、話は別です。みなさんもスマホを使っていて、「○○(アプリ名)に位置情報の利用を許可しますか?」というダイアログを見かけたことがあるかと思います。ここで許可をすれば、利用者の承諾を得たことになり、デバイスの内部情報にアクセスすることは何ら問題はありません。
チョウCEOは「テクノロジー業界に属する他の多くの米国企業が収集している内容と同等のものにすぎない」と主張をしました。
しかし、ここにTikTokの問題があります。2020年以前、米国人利用者から収集された個人情報は、中国のバイトダンスが自由に閲覧をできる状態になっていました。これは米国企業であるツイッターが、日本人利用者の情報を閲覧できるのと同じことで、普通のことです。しかし、米国は多くのネットサービスを生み出している国であるため、他国の利用者の情報をあたりまえのように閲覧していましたが、中国生まれのTikTokで初めて、自分たちの大規模な利用者情報が他国企業に閲覧される事態となりました。
これにより、2020年にトランプ政権下で「TikTok米国事業を米国企業に売却する命令」という事態が起こります。この時は、何となく話が立ち消えになってしまいましたが、問題になったのは、中国の国家情報法第7条です。すべての組織と個人は、国家の情報活動に対して支援と協力をしなければならないと定められているため、いかに合法的であったとしても、TikTokが米国で収集した米国人の個人情報が、中国バイトダンスの手に渡れば、中国政府はバイトダンスに情報提供を合法的に求めることが可能になってしまいます。
TikTokでは、この点を解消するために、米国で収集した個人情報は、米国内で管理をし、国外には出さない体制を構築しました。
しかし、これに漏れがあったのです。中国のバイトダンスの社員が、米国のデータを閲覧していることを窺わせるやり取りが流出をしました。このやり取りの真偽は不明ですが、他にも中国のバイトダンスが、米国のTikTokデータを閲覧していることを窺わせる証拠がいくつも露わになっています。バイトダンスが中国政府のために、米国人の個人情報を収集していると考えるのはナンセンスなことで、マーケティングや開発などの業務のために閲覧をしたのだと思いますが、バイトダンスとTikTokはここに甘さがあったと言わざるを得ません。
チョウCEOは「米国人の個人情報が中国政府に渡ったことは一度もない」と言うに留まり、中国バイトダンスが米国データにアクセスしているかどうかについては言明をしませんでした。そして、「対策を強化する」と答えるに留まりました。
この個人情報の国外輸出禁止は、私たちにも関わってくる問題です。2021年には、LINEの個人情報が韓国サーバーに保管されていることが発覚して問題になりました。LINEは「ユーザー感覚、気持ち悪いとかそういうことへの配慮が足りなかった」として、国内サーバーに閉じる施策を進めることを約束しました。
日本の場合は、「気持ち悪いなどのユーザー感覚」などの問題かもしれませんが、欧州はGDPR(一般データ保護規則)を制定して、個人情報の欧州外への持ち出しを明確に禁じています(厳密には、GDPRと同等のセキュリティー、運用がなされている場合は、許可制で国外に保存可)。中国も大手ネットサービス運営企業に対し、中国外への持ち出しをしない交渉を進めており、アップルは2017年に貴州省に大規模なiCloudデータセンターを建築して、中国人専用のiCloudとして運用を始めています。
米国はこれまで米国人のデータが国外に持ち出されるという事例が少なかったため、TikTokの問題により、国外持ち出し禁止の法制化などが検討されていくことになるかもしれません。世界は、自国の個人データを海外に持ち出すことを禁止する流れになっています。
SNSでは未成年への悪影響を完全には防止できない
公聴会では、3)の未成年に与える悪影響についても質問が集中をしました。自殺や自傷行為、摂食障害を肯定的に取り上げる動画が拡散をしており、未成年に与える悪影響が深刻だというものです。また、ブラックアウトチャレンジについても指摘がありました。故意に窒息をして失神をすることに挑戦する動画です。ペンシルバニア州の10歳の少女がこのブラックアウトチャレンジを行い、死亡する事故が起きています。
これもTikTokにとっては、突かれると答えに窮する問題のひとつです。不適切動画の主なものはポルノと暴力で、これはAIによりフィルタリングをすることが可能で、すでに抖音やTikTokでは取り入れています。ポルノの場合は肌の露出割合を測定し、暴力の場合は人の動きを判別することで、ほぼすべてを抽出することができます。このようなAIが抽出した動画を人が見て判定して、公開するかどうかを決定しています。
しかし、公聴会で問題になったような動画は、このような画像解析ではなかなか抽出することができません。しかも自殺を扱う動画であれば、自殺を防止するための動画なのか、自殺を奨励する動画なのかは、人でも簡単には判別できません。自殺を防止するという建前で、実は自殺を煽っている動画というものもたくさんあるからです。このような高度な判断を投稿されたすべての動画に対して行えというのは無理な話で、どのように解決できるのかがまったく見えません。さらには、言論の自由との兼ね合いも出てきます。
チョウCEOも「18歳未満の利用者に対して、1日60分などの利用時間の制限を設けるなどの対策をしている」と答えるに留まりました。
このような問題に対して、こういう疑問を持つ方もいらっしゃるでしょう。「このような未成年に対する悪影響は他のSNSでも同じことであり、TikTokだけの問題ではないのではないか?」というものです。まさしく、その通りです。日本の小中学校でもSNSの危険性を教え(メリットについても教えている)、SNSの利用には慎重になるように指導をしています。
しかし、ショートムービーはインパクトが強く、このような影響力が他のSNSに比べて強く出るという問題があります。
パニックを煽るSNS
4)の報道に与える悪影響が、まさにこの問題です。公聴会では議論にのぼりませんでしたが、米国のネットでは盛んに議論をされている問題です。その典型例が、2月3日に、オハイオ州で起きた貨物列車の脱線事故です。この貨物列車には塩化ビニールなどの有害な化学物質が積載されていて、鉄道会社は貨物列車が爆発する恐れがあるとして、環境中への制御放出を行いました。さらに意図的に着火をし、燃焼させることで処理をしようと試みました。この燃焼により、ホスゲンなどの猛毒物質が発生することが懸念されるため、半径3kmの住民に避難指示が出されました。
かなり深刻な事態ですが、幸いなことに被害範囲は狭く、人的被害もありませんでした。
しかし、TikTokでは、居合わせた人が撮影した、燃焼させている映像が拡散をしました。それはまるでキノコ雲のような映像で、「#オハイオチェルノブイリ」というハッシュタグがつけられていました。このキノコ雲は、鉄道会社が環境へのインパクトを最小限に抑えるために制御下で意図的に燃焼させたものですが、動画を見ただけの人は、爆発が起きたかのように受け止め、しかもオハイオチェルノブイリというハッシュタグを見て、不安になったりパニックになった人もいたということです。
このような重大事故が起きた場合、メディアであれば、いらずらに不安を煽るのではなく、正確な情報とともに報道をしますが、TikTokの場合、最もインパクトのある部分だけが瞬時に拡散をしてしまいます。
報道機関は真実であるからと言って、なんでも報道していいわけではありません。社会的な責任があるために、社会への悪影響が考えられる内容については報道を控えるという判断が必要な場合もあります。例えば、誘拐事件については人質の安全を優先して、事件そのものを報道しないということもあります。しかし、このような報道規制は常に言論の自由と衝突をするため、法制化をするのは自由社会では難しく、政府や当局による「報道自粛のお願い」というお願いベースで行われることになります。
TikTokは報道メディアではありませんが、このような報道自粛の抜け道になってしまう可能性があります。そのため、TikTokを米国企業に売却をして、米国のルールに従わせる必要があるという意見です。
チョウCEOは、「TikTokはシンガポールとサンフランシスコに本社を置く企業で、当然米国のルールに従って運営をしている」と反論をしました。しかし、TikTokがこのような不適切な報道映像を排除することは、先ほどの未成年に対する悪影響と同じく難しいことで、簡単なことではありません。
米国議会のTikTokに対する攻撃には理不尽な面もあり、元が中国企業であるということが攻撃を許す要素になっていることは確かですが、TikTokが大きな影響を持つようになり、社会的な責任を果たすように求められ始めていることも事実です。
Next: TikTokを起業した張一鳴はどんな人物か
TikTokを起業した張一鳴はどんな人物か
では、中国の抖音は、このような不適切コンテンツの対応はどのようにしているのでしょうか。実はバイトダンスは創業当初に不適切コンテンツにより、アプリの配信停止処分を受けるという事態を起こしています。これにより、バイトダンスはUGC(User Generated Contents)を扱うことの難しさを理解し、ニュースというPGC(Professional Generated Contents)を扱うニュースキュレーションサービス「今日頭条」がヒットをして急成長をします。
今回は、バイトダンスの創業者、張一鳴(ジャン・イーミン)の軌跡をたどりながら、このUGCとPGC、そして不適切コンテンツの問題についてご紹介します。
何度聞いても信じられない気持ちになるのが、TikTokを開発したバイトダンスの創業は2012年3月で、まだ創業11年の若い会社であるということです。それでいて、バイトダンス生態圏のアクティブユーザー数は世界で20億人を超え、中国ではもちろん、海外でも大きな影響力をもつメディアに成長をしました。
しかも、創業者の張一鳴は40歳という若さであり、すでに昨年引退をしてしまいました。バイトダンス世界では、40歳はすでに老害になっているからという理由です。
張一鳴は、検索アリゴリズムに取り憑かれた人でした。人は何かを決定する時に、実は瞬時に結論を下している。しかし、その結論を受け入れる勇気がないために、迷っているふりをするだけで、本当は結論がわかっている。だとしたら、迷っている時間というのは無駄ではないのか。合理的な決断アルゴリズムをもてば、人生の多くの時間を有効に使うことができる。そういう考え方をする人です。
張一鳴という人は、感情に起伏があることも好きではないようです。誰でも嫌なことがあって落ち込んで、くよくよしてしまうことはあります。張一鳴はそれが好きではないようです。落ち込まないためにはどうするかというと、嬉しいことがあった時にも、喜びを先送りして喜びすぎないことだと言います。自分の感情の起伏を一定範囲に抑え、常に平常心でいられる状態が理想なのだと言います。張一鳴は言います。「私は機械の心を持ちたい」。
大学もアルゴリズムで選択した
張一鳴は、1983年4月1日に、福建省龍岩市で生まれました。後で登場しますが、フードデリバリー企業「美団」(メイトワン)の創業者の王興(ワン・シン)も同じ龍岩市の出身で、張一鳴は「兄貴」と呼び、慕っている存在です。
母は看護師をしており、父は龍岩市の科学技術委員会のメンバーで、その後、東莞市に電子製品の工場を設立しました。裕福というまでではないにしても、経済的には余裕のある家庭に生まれました。父親を通じてテクノロジーに親しみ、小中学校では読書が好きな少年だったと言います。
成績は上位の方でしたが、トップクラスというわけではありませんでした。大学の進学時期を迎えて、漠然と生物工学を学び、生物の教師にでもなろうと考えたそうです。では、どこの大学に進学をするのか。普通は自分が学びたい分野で面白い研究をしている大学を選んだり、就職先を考えて有利になる大学を選びます。
張一鳴は大学選びをアルゴリズムに任せました。まず、自分が行きたい大学の4つの条件を書き出しました。
1)実家から遠く、親と離れて暮らせる大学
2)海に近く、海鮮料理がおいしい場所
3)冬には雪が降るロマンチックな場所
4)ガールフレンドをつくりたいので、女子学生比率が平均以上の大学
この条件に従って、自分の成績で進学可能な211の大学をスコア化しました。そして、天津市の南開大学が浮かび上がってきたのです。
理系を目指すのであれば、中国では清華大学や北京大学、上海交通大学、南京大学あたりがトップクラスであり、南開大学はその下のポジションの大学です。しかし、張一鳴は躊躇をしませんでした。アルゴリズムにより選ばれたのだから、絶対に正解のはずだからです。
しかし、共通試験である高考を受けてみると、生物系に進学するのは成績的に難しく、次に好きだったソフトウェア工学を専攻することにしました。
張一鳴が南開大学に入って最初にやったことは、特技を活かして恋人を見つけることでした。ソフトウェア工学系にも女子学生はたくさんいましたが、彼女たちはプログラミングに関しては男子学生と変わらない能力を発揮しましたが、ソフトウェアの設定がおかしくなったり、ハードウェア的な故障が起きると途方に暮れてしまう人が多いのです。
そこで、張一鳴はコンピューターの修理が得意だと主張して、女子学生のソフトウェアやパソコンを修理して回りました。そうして、女子学生と親しくなり、現在の妻と出会いました。
さらに、もう一人大きな出会いがありました。学生寮でルームメイトの梁汝波です。一緒にプログラミングをするだけでなく、卓球やバドミントンの娯楽も楽しみました。この梁汝波は後にバイトダンスの共同創業者となります。
Next: マイクロソフトで組織作りを学ぶ
スタートアップ入社「なんでもやる」男
2005年に大学を卒業した張一鳴はあるスタートアップ企業に入社をします。企業向けの人事管理ソフトを開発している企業でした。大学の先輩から誘われて、面白そうだと思ったからだという理由です。しかし、このスタートアップは失敗をしました。
そこで、2006年2月に、オンライン旅行サービス「酷訊」(クーシュン)に入社をし、旅行商品の検索機能の開発チームに加わりました。この酷訊には、優れたエンジニアが集まっていました。清華大学、北京大学、スタンフォード大学などの出身者が同僚にいたのです。
張一鳴はここで「なんでもやる」という働き方をしました。入社してすぐ、勝手に居残りをして、過去のソースコードをすべて読んでしまったと言います。なぜなら、ソースコードを読むのは面白く、プロダクトをつくるのに必要だからという理由です。さらに、エンジニアとは関係のない企画会議、営業会議にも首を突っ込みました。営業職について顧客営業に同行をしたこともあります。プロダクトをつくるのに必要だからという理由でです。つまり、この頃から、開発者視点ではなく、利用者視点で開発をしていたことがわかります。
このような姿勢が評価され、入社1年後には約40名のチームを率いるリーダーに選ばれることになります。
張一鳴が目指したのは、アルゴリズムによる自動化でした。例えば、仕事とは関係がありませんが、自動化スクリプトを昼休みの間につくってしまったという伝説があります。
当時、列車のチケットはオンラインで買う仕組みは整ってなく、駅に行って買うしかありませんでした。しかし、駅では長い行列に並ばなければなりません。そこで、賢い人たちが裏技として利用していたのが、旅行社や個人が淘宝網(タオバオ)で転売をするチケットでした。都合により使わなくなったチケットをタオバオで転売をしていたのです。これであれば、宅配をしてもらえるので、行列に並ばなくて済みます。
しかし、問題は、いつ出品されるのかわからないということでした。しかも、出品されればすぐに売れてしまいます。そのため、タオバオを開いて、何度も検索して、出品されていないかどうかをチェックし続けなければならないのです。そこで、張一鳴は昼休みの1時間を使って、簡単なスクリプトを書き、タオバオを検索して、チケットの出品を見つけたらすぐに携帯電話にプッシュ通知を送るようにしました。
仕組みとしては難しいものではないものの、張一鳴は酷訊時代に自分がやりたいことは何なのかを見つけたようです。
マイクロソフトで組織作りを学ぶ
酷訊のようなテクノロジー志向の企業の最大の弱点は組織体制です。さまざまな動きがあり、創業者が辞職する事態になり、酷訊は一気に崩壊する方向に進んでいきます。2008年、張一鳴は酷訊を離職し、マイクロソフトに入社をします。張一鳴としては初めての大企業での経験になります。
給料も申し分がなく、残業もありません。福利厚生もしっかりしていて、社員食堂では無料でそこらの食堂よりも美味しいものが食べられます。経済的にも余裕ができた張一鳴はこの時、北京にマンションを買います。住む目的もありますが、投資をして、創業資金を稼ぐためです。
マイクロソフトの待遇には満足をしていたものの、仕事は暇で面白くなかったと言います。さらに大企業の特徴として、社内政治に時間を割かなければならないのも張一鳴を困らせました。
酷訊時代に、エンジニアとは関係のない仕事まで、プロダクトに関係があると思えばやることにして、リーダーとなりプロダクトを開発できるようになりました。張一鳴は、プロダクトが開発できるのだから、同じように何でもやるというやり方で会社も開発できるのでないかと考えるようになりました。マイクロソフト時代に、創業をする意思を固めたようです。
北京で買ったマンションも、主目的は転売をして創業資金を捻出することが目的ですから、アルゴリズムで選びました。将来の鉄道計画、地域の発展速度などを変数として、自動的に値上がりしそうな物件を抽出する検索アルゴリズムを書き、それで選んだのです。実際、購入したマンションはわずか1年で2倍の価格になり、バイトダンスを創業する時は、このマンションを売却して創業資金を捻出しました。
しかし、すぐに起業するという機会は巡ってきません。その時、張一鳴が兄貴と呼ぶ同郷の王興が、SNS「飯否」(ファンフォウ)を起業していました。張一鳴はマイクロソフトを離職して、この飯否に合流することになります。しかし、軌道に乗ったところで、ライバルのSNSに勝つことは難しいと判断され、サービスは閉鎖されてしまいます。
不動産サービスを創業
張一鳴は、仕事がなくなってしまいました。そこに声をかけたのが、投資会社「サスケハナ」(SIG)の投資部長、王瓊でした。王瓊は、酷訊の投資担当で、その頃から、張一鳴のエンジニアとしてだけでなく、プロダクトマネージャーとしての力量に目をつけていました。一方で、酷訊は旅行サービスだけでなく、不動産紹介サービスにも進出すべきだと考えていましたが、その不動産検索システムを開発できる人間がいません。
そこで、仕事がなくて暇をしていた張一鳴に声をかけ、北京でマンションを買った時にアルゴリズムを使った話を聞くとうってつけの人材だと感じたのです。こうして、酷訊からの委託を受けて、2009年に不動産サービスを提供する「九九房」(ジウジウファン)が創業します。これが張一鳴の最初の創業ということになります。
九九房はすぐに150万人の利用者を獲得し、不動産サービスランキングの1位となります。大成功でした。
張一鳴は、ビジネスとしては九九房に満足をしていましたが、プロダクトとしては満足をしていませんでした。それは九九房で不動産を賃貸、購入した人は、次に九九房を利用するのは早くても1年後、普通はもう使わなくなってしまうのです。リピーターというものが生まれづらい分野でした。
これは張一鳴にとって、面白くないことでした。商品側のデータから検索アルゴリズムを考えるだけでなく、ユーザーの購入履歴などの行動データも使って、検索精度をあげる挑戦をしたいのですが、九九房ではそれが難しい。みんなが毎日使ってくれる情報とは何だろうか。そのような領域で検索アルゴリズムを使えば、情報側と利用者側のデータの両方から検索精度を高めていける。
Next: エンターテイメントで成功する!バイトダンスの誕生
ショートムービーが流行ることを予測した先見の明
張一鳴は、エンターテイメントの領域であれば、高い検索精度を示すアルゴリズムが開発できるのではないかと考えました。張一鳴は九九房を離れ、新たな会社を起業することを考えます。サスケハナの王瓊も賛成でした。そして、2012年3月に、張一鳴のマンションを売った資金とサスケハナの投資資金で、バイトダンスが創業されます。サスケハナは、バイトダンスへの投資で大儲けをすることになります。
このバイトダンス創業にあたって、張一鳴は大きなテーマを設定していました。スマートフォンの登場による変化に伴うものです。スマートフォンはいつでもどこでもインターネットにアクセスができるデバイスです。しかし、張一鳴はその「いつでもどこでも」ということよりも、意識の断片化が始まるということに注目をしました。
いつでもどこでもネットにアクセスできるようになると、電車の中で2時間の映画を見るようになるかというとそうはなりません。電車の中で、1分間で飛行機のチケットを買い、1分間でニュースを見て、1分間でSNSに返事を書いて、1分間でゲームを楽しんでと、時間と意識が断片化をしていくことに注目をしました。そうすると、もはや2時間の映画などというのは見られなくなり、30分のドラマでも苦痛となり、映像は1分程度の断片が好まれるようになっていく。音楽も2時間もある組曲や交響曲、1時間もあるアルバムは聞かれなくなり、3分間のポップスとなり、それすら15秒のサビだけ聞かれるようになる。
コンテンツは断片化をしていく。それに伴って、コンテンツの数は爆発的に増えます。そうなると、多くの人がどのコンテンツを選べばいいか必ず迷うことになります。つまり、張一鳴が長い間注目してきた検索アルゴリズムが重要になってくるのです。
お笑い面白画像を共有する「敲笑ジョン図」というアプリがバイトダンス最初のプロダクトでした。1ヶ月で100万人の利用者を獲得したので、無名のスタートアップとしてはまずまずの成功です。当初はこのような面白アプリを10種類ほど開発しました。バイトダンスはそういうヘンなアプリを開発する企業として知られるようになりました。
しかし、ここがUGC(User Generated Contents、ユーザー生成コンテンツ)の難しさで、「内涵段子」という、くだらない小話や動画を投稿するアプリは、内容があまりに低俗であり、コンテンツの管理運営も杜撰だとして国家広播電視総局から運営停止命令を受けてしまいました(中国ではあらゆるテレビ番組、映画、雑誌、アプリが許可制です)。
つまり、今日、米国議会が問題にしていることと共通する難しさを、バイトダンスはこの時体験しているわけです。
そこで、UGCの管理の難しさを知ったバイトダンスは、PGC(Professional Generated Contents)に注目をします。これが、ニュースキュレーションアプリ「今日頭条」(ジンリートウティアオ)で、大成功をしました。1年後には1,000万人の日間アクティブユーザーを獲得し、後に抖音、TikTokが生まれる基礎となりました。
この時、バイトダンスのエンジニアたちが学んだのがAIと機械学習でした。当時の中国にはAIに関するまともな入門書などありません。そこで、張一鳴たちは、英語情報を調べて、それを自分たちで中国語に翻訳をし、教科書をつくるところから始めました。しかし、面白いことに、教科書ができあがった頃には、エンジニアたちはもはや教科書など必要がないAIのエキスパートになっていました。この伝説の教科書は、改訂と追加が行われ、現在でも新入社員の教材として使われています。
良記事を生み出すTikTokのリコメンド機能
今日頭条が成功したのは、従来とは発想がまったく違ったリコメンドアルゴリズムが開発できたからです。一般的なリコメンドの方法は、ユーザーを属性により分類をします。どのようなコンテンツを好むかで分類をし、Aさんは犬と車のコンテンツが好きだとします。よく似たユーザーを探すと、犬と車とキャンプのコンテンツが好きなユーザーグループが見つかります。Aさんはこのグループに属してもよさそうですが、 キャンプのコンテンツはこれまであまり見ていません。ということは、Aさんにキャンプのコンテンツをリコメンドすると喜ばれる確率が高いということになります。アマゾンなどの「この商品を買った人は、こちらの商品も買っています」というリコメンド方式で、協調フィルタリングと呼ばれる手法です。
しかし、欠点は、ユーザーがどのようなコンテンツを好むかのデータが蓄積するまでリコメンドの精度があがらないというコールドスタート問題があります。
バイトダンスが今日頭条で行ったのは愚直な方法でした。ニュース記事を既存のニュースサイトから転載をしてきて、まず数百人という小さなユーザーにランダムに配信をします。そして、その購読行動を測定します。見出しだけ見て飛ばしたのか、最後まで読んだか、何度もスクロールして何度も読み直したか、読むのにどのくらいの時間をかけたかなどです。
この中で、高い評価(じっくり読んだ)というユーザーの特徴を分析し、似ているユーザーを数千人選びます。そして、配信を行い、再び購読行動を測定して、今度は数万人に配信をします。同じことを繰り返しながら、その記事を好むユーザーを探りながら配信する人数を増やしていくのです。
この手法の利点は、誰からも評判のよくない記事は、早々と数百人の段階で淘汰されてしまうということです。これにより、よく読まれる良記事のみが、しかも個人の好みに従って配信されてくることになります。
抖音、TikTokに搭載されているリコメンドエンジンも基本的な考え方は、今日頭条と共通をしています。というより、バイトダンスの中核技術はリコメンドエンジンであり、それをニュースに適用したのが今日頭条であり、ショートムービーに適用したのが抖音、TikTokなのです。
Next: 不適切映像が流れるのは不適切な映像が好きだから
不適切映像が流れるのは不適切な映像が好きだから
ところで、抖音は中国国内専用サービスというだけで、基本的な仕組みはTikTokと同じであり、なぜ米国議会が問題にするような不適切コンテンツの拡散が問題にならないのでしょうか。それは中国と米国の社会のあり方の違いによる部分が大きいかと思います。
米国議会で問題にされたような自殺や自傷行為、ブラックチャレンジのような投稿は、中国では明確に違法行為になります。社会不安を煽るようなアジテーションを行うことは重い罪になるのです。それは中国市民はよくわかっているため、そもそもそういう動画を投稿する人はごく稀ですし、投稿されたとしても、多くの人がすぐに運営に通報するため、拡散が小さなうちに発見されて削除されることになります。同様に、情報が不足をしていたり、誤った情報が載せられ、社会に誤った印象を与える報道も重い罪となります。そのような動画もすぐにユーザーから通報され、削除されることになります。
中国は大量の人が高密度で暮らしている社会であるため、社会不安を煽る行為は非常に重く見られます。もちろん、裏を返せば、言論の自由が制限されているということなのですが、結果的に抖音に関しては大きな問題を起こさずに済んできています。
面白いことに、今日頭条にプロの編集者は一人もいません。普通は、ニュースキュレーションアプリであれば、新聞社などからプロの編集者を招聘して、編集方針を決めて配信をすることになります。しかし、張一鳴の考え方では、「何が良記事であるかは、運営側が決めてはならない」のです。何が良記事であるかを決めるのは、一人一人の利用者であり、今日頭条は、私という人間の嗜好性を理解し、私にとっての良記事を配信するというのが理想の状態です。ですので、同じ、今日頭条でも、使っている人によって、配信される記事はまったく違っています。
これは抖音、TikTokも同じで、配信されてくるムービーは人によってまったく違います。ある人が「TikTokって、ろくでもない低俗な動画しか流れてこないじゃん」と怒っていたとしたら、それはTikTokが低俗なのではなく、その人が低俗な動画が好きなのです。動画に対する反応が計測され、まるで自分の内面を映し出したかのようなリコメンドが行われます。ですから、今日頭条、抖音、TikTokでは、自分が読みたい見たいと思っているコンテンツばかりが配信されてきて、非常に魅力的なメディアに感じられるようになるのです。
この「人が介在しないリコメンド」というのは極めてクールな考え方で、張一鳴ならではの発想です。しかし、中国には一定程度の社会フィルターが備わっているために成立をする考え方で、自由社会ではこの社会フィルターの役割をどこかが受け持たなければなりません。
バイトダンスは、UGCを使った内涵段子で痛い目を見て、そのような問題を起こす可能性のないPGCを使って今日頭条で成功しました。PCGはプロが制作しているため、あらかじめ社会フィルターがかけられているからです。そして、再びUGCを抖音で扱いましたが、たまたま中国社会のあり方が特殊であったために問題を避けることができました。利用者たちが社会フィルターの役割を果たしてくれたからです。
しかし、これをTikTokとして自由社会に展開した途端、不適切コンテンツの問題が生じたのです。これは私の個人的な意見ですが、バイトダンスはこの問題は盲点になっていたのではないでしょうか。
米国議員の中には、何でもいいからとにかくTikTokと中国系企業をつぶしたいという攻撃的な方もいて、今後もこの問題は長引きそうですが、公聴会の内容を聞く限り、個人情報の流出に関しては問題があるとは思えません。問題は、中国のバイトダンス社員が米国の個人情報にアクセスしていたという疑惑一点のみです。
しかし、不適切コンテンツの制限については、TikTokにとって重たい難問になります。TikTokだけでなく、他のSNSでも共通した問題ですが、UGC主体のSNSで、不適切なコンテンツを排除することの難しさを考えさせられます。というより、SNSはネット上の「ダベリ場」ですから、不適切発言を完全に除去することは不可能で、みんなでスルーをするという免疫的リテラシーを身につけていくしかありません。しかし、未成年にそこまで求めるのは難しく、自由社会ではSNSの年齢制限や年齢レーティングを考えていかざるを得なくなるかもしれません。
創業して11年、バイトダンスは後に伝説となるような勢いで急成長し、TikTokを世界中に広げてきましたが、大きな難問につきあたりました。ツイッターでも、不適切な発言を削除すべき/削除せずにおくべきの議論が続いています。SNSが成長をし、メディアとしての影響力を持つようになり、私たちは言論の自由にあり方に立ち止まって考えなければならない段階に差し掛かっています。TikTokが今後、どのような対策をとってくるのか、注目する必要があります。
・小米物語その89
・今週の中華IT最新事情
・Q&Aコーナー
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- vol.169:赤字転落をしたアリババ。事業の展望はどこにあるのか。アリババ四半期報告書を読む(3/27)
- vol.168:弱いつながりの強さ。アリババ、ピンドードー、バイトダンス、シャオミの創業者は弱いつながりをどう活かしたのか(3/20)
- vol.167:マトリクスアカウントとは何か。店舗アカウントからの発信で、集客力を向上させる(3/13)
- vol.166:vivo、オナー、アップル、OPPOが横並び。飽和した中国スマホ市場で起きている変化とは?(3/6)
- vol.165:規模はローソンの6倍。中国のメガコンビニはなぜ大きくなれるのか?(2/27)
- vol.164:お客さんは集めるのではなく育てる。米中で起きている私域流量とそのコミュニティーの育て方(2/20)
- vol.163:止まらない少子化により不安視される中国経済の行末。少子化をくいとめることは可能なのか(2/13)
- vol.162:中国の津々浦々に出店するケンタッキー・フライド・チキン。地方市場進出に必要なこととは?(2/6)
- vol.161:ジャック・マー氏の身に何が起きているのか。静かに進むアリペイとデジタル人民元の合作(1/30)
- vol.160:美団のドローン配送が本格化。なぜ、大都市でドローン配送が可能なのか、そのテクノロジー(1/23)
- vol.159:2023年、スマホはどう進化をするか。今年話題になるかもしれないスマホテクノロジー(1/16)
- vol.158:アップルが進める脱中国化。最大の課題は熟練工の不足(1/9)
- vol.157:中国のユニコーン企業の現状。第1世代ユニコーンはどれだけ生き残っているか(1/2)
- vol.156:あらゆる商品が1時間で届けられる時代。デリバリー経済がさらに進化する中国社会(12/26)
- vol.155:変わりつつある日本製品に対するイメージ。浸透する日系風格とは何か(12/19)
- vol.154:中国に本気を出すスターバックス。3000店の新規出店。地方都市の下沈市場で、スタバは受け入れられるのか(12/12)
- vol.153:SHEINは、なぜ中国市場ではなく、米国市場で成功したのか。持続的イノベーションのお手本にすべき企業(12/5)
- vol.152:アリババがいち早く脱GMV化。GMVではなく、CLVにもとづくEC運営へ(11/28)
- vol.151:原神の売上は東京ディズニーランドとほぼ同じ。90后企業miHoYoの新しいビジネスのつくり方(11/21)
- vol.150:勢いのある種草ECに対抗するタオバオ。電子透かしを活用したユニークな独自手法を確立(11/14)
- vol.149:中国スマホゲームの進む2つの方向。海外進出とミニプログラムゲーム(11/7)
- vol.148:内巻と躺平とは何か。日本社会も無関係ではない成長した社会に起きる長期疾患(10/31)
- vol.147:中高生の消費、10の意外。意外にお金を持っている05后のお金事情(付録)(10/24)
- vol.147:中高生の消費、10の意外。意外にお金を持っている05后のお金事情(10/24)
- vol.146:WeChat以前の中国SNSの興亡史。WeChatはなぜここまで強いのか?(10/17)
- vol.145:Tmallがわずか15ヶ月で香港から撤退。アリババも通用しなかった香港の買い物天国ぶり(付録)(10/10)
- vol.145:Tmallがわずか15ヶ月で香港から撤退。アリババも通用しなかった香港の買い物天国ぶり(10/10)
- vol.144:クーポン設計のロジックと、ウーラマの行動経済学を活かしたユニークなキャンペーン(10/3)
- vol.143:「抖音」「快手」「WeChatチャネルズ」三国志。ライブコマースとソーシャルグラフの関係(9/26)
- vol.142:ライブコマースはなぜ中国だけで人気なのか。その背後にあるECの成長の限界(9/19)
- vol.141:Z世代お気に入りのスマホはOPPO。コモディティ化が進む中国スマホ状況(9/12)
- vol.140:始まった中国義務教育の情報教育。どのような授業が行われることになるのか(付録)(9/5)
- vol.140:始まった中国義務教育の情報教育。どのような授業が行われることになるのか(9/5)
- vol.139:網紅式旅行で成功した重慶市。インバウンド旅行客再獲得のためにやっておくべきことを重慶に学ぶ(8/29)
- vol.138:Copy to China or Copy from China。新たなビジネスを発想するバイカルチャラル人材とは何か?(8/22)
- vol.137:私域流量の獲得に成功しているワイン、果物、眼鏡の小売3社の事例。成功の鍵はそれ以前の基盤づくりにあり(8/15)
- vol.136:株価低迷の生鮮EC。問題は前置倉モデルの黒字化の可能性。財務報告書からの試算で検証する(8/8)
- vol.135:急速に変化する東南アジア消費者の意識。アジアの食品市場で起きている6つの変化(8/1)
- vol.134:中国で始まっているメイカーの時代。中国ITの強さの秘密はアジャイル感覚(7/25)
- vol.133:データ駆動経営の成長と限界。人とAIは協調できるのか。AIコンビニ「便利蜂」の挑戦(7/18)
- vol.132:流量から留量へ。UGCからPGCへ。変わり始めたECのビジネスモデル。タオバオの変化(7/11)
- vol.131:ショッピングモールは消滅する。体験消費が物質消費に取って代わる。モールが生き残る4つの方法(7/4)
- vol.130:中国のメタバース状況。教育、トレーニングの分野で産業化。スタートアップ企業も続々登場(6/27)
- vol.129:SNS「小紅書」から生まれた「種草」とKOC。種草経済、種草マーケティングとは何か(6/20)
- vol.128:社会運動とビジネスと事業の継続。スタートアップに必要なものとは。シェアリング自転車競争史(6/13)
- vol.127:WeChatマーケティング。私域流量の獲得と拡散が効率的に行えるWeChatの仕組み(6/6)
- vol.126:SoCとは何か。中国と台湾の半導体産業。メディアテックとTSMCを追いかける中国(5/30)
- vol.125:5分でバッテリー交換。急速充電の次の方式として注目をされ始めたバッテリー交換方式EV(付録)(5/23)
- vol.125:5分でバッテリー交換。急速充電の次の方式として注目をされ始めたバッテリー交換方式EV(5/23)
- vol.124:追い詰められるアリババ。ピンドードー、小紅書、抖音、快手がつくるアリババ包囲網(5/16)
- vol.123:利用者層を一般化して拡大を目指すビリビリと小紅書。個性を捨ててでも収益化を図る理由(5/9)
- vol.122:ハーモニーOSで巻き返しを図るファーウェイ。ファーウェイのスマホは復活できるのか(5/2)
- vol.121:ライブコマース時代の商品品質とは。配送・サポートはもはや重要な品質の要素(4/25)
- vol.120:ディープフェイク技術の産業応用が始まっている。GANの活用で成長したバイトダンス(4/18)
- vol.119:付録部分(4/11)
- vol.119:主要テック企業はリストラの冬。安定成長へのシフトと香港上場問題(4/11)
- vol.118:北京冬季五輪で使われたテクノロジー。デジタル人民元から駐車違反まで(4/4)
- vol.117:アリババに起きた変化。プラットフォーマーから自営へ。大きな変化の始まりとなるのか(3/28)
- vol.106:盲盒のヒットで生まれた大人玩具市場。香港上場を果たしたポップマートと追いかける52TOYS(3/21)
- vol.115:ネット広告大手の広告収入が軒並み失速。ネット広告不要論まで。広がるDIY広告(号外)(3/14)
- vol.115:ネット広告大手の広告収入が軒並み失速。ネット広告不要論まで。広がるDIY広告(3/14)
- vol.114:スターバックス中心のカフェ業界に激震。テーマは下沈市場。郵便局や蜜雪氷城も参戦(3/7)
- vol.113:中国ビジネスに不可欠のWeChat。なぜWeChatは消費者ビジネスに使われるのか(2/28)
- vol.112:アリババ新小売へのスーパーの逆襲が始まった。YHDOSと大潤発2.0(2/21)
- vol.111:夜間経済とほろ酔い文化。「酒+X」店舗体験で変貌するバー業界(2/14)
- vol.110:二軸マトリクスで整理をするECの進化。小売業のポジション取りの考え方(2/7)
- vol.109:中国メディアによる2022年10大予測。暗い1年に次の飛躍の種を見つけることができるか(1/31)
- vol.108:主要バーチャルキャラクター大集合。実用用途に使われ始めたバーチャルキャラクター(1/24)
- vol.107:(付録)トラブル事例から見た中国ECの消費者保護。クーリングオフと覇王条款(1/17)
- vol.107:トラブル事例から見た中国ECの消費者保護。クーリングオフと覇王条款(1/17)
- vol.106:電動自転車がいちばん便利な乗り物。コンパクト化が進む中国の都市(1/10)
- vol.105:店舗の未来は「体験」をつくること。これからの主力商品は「店舗体験」(1/3)
- vol.104:2021年中国テック業界10大ニュース。1位はやはりテック企業への規制強化(12/27)
- vol.103:商品はショートムービーで紹介するのが主流。タオバオを起点にショートムービーで展開する興味ECの仕組み(12/20)
- vol.102:TikTokに使われるAIテクノロジー。最先端テックを惜しげもなく注ぎ込むバイトダンスの戦略(12/13)
- vol.101:交通渋滞を交通信号を制御することで解消。都市の頭脳となる城市大脳が進めるスマートシティー構想(12/6)
- vol.100:コロナ後に急増したネット詐欺。ねらわれる若い世代。被害者の6割以上が20代(11/29)
- vol.099:アフターコロナ後の消費者心理はどう変化したか。「健康」「環境」「デジタル」「新消費スタイル」の4つ(11/22)
- vol.098:なぜ中国政府はテック企業の締め付けを強化するのか。公正な競争とVIEスキーム(11/15)
- vol.097:始まった中国の本格EVシフト。キーワードは「小型」「地方」「女性」(11/8)
- vol.096:国潮と新国貨と国風元素。中国の若い世代はなぜ国産品を好むようになったのか?(11/1)
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知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード
知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード
』(2023年4月3日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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