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日本ブランド神話が中国で完全失墜。無印良品・イトーヨーカ堂ほか中国進出成功企業を軒並み苦境に陥れる“脱日本化”というトレンド=牧野武文

イトーヨーカ堂、無印良品など、かつては中国で憧れのブランドだった企業の業績が近年、急激に落ちています。いまや中国では日本ブランド神話は崩壊し“脱日本化”が大きな流れとなっています。なぜこのようになったのか?具体的事例を見ながら、解説します。(『 知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード 知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード 』牧野武文)

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※本記事は有料メルマガ『知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード』2022年12月19日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:牧野武文(まきの たけふみ)
ITジャーナリスト、フリーライター。著書に『Googleの正体』『論語なう』『任天堂ノスタルジー横井軍平とその時代』など。中国のIT事情を解説するブログ「中華IT最新事情」の発行人を務める。

日本ブランドは中国でどう見られているか?

みなさん、こんにちは!ITジャーナリストの牧野武文です。

今回は、日本ブランドが中国でどう見られているか、その変化についてご紹介します。

日本では中国進出の成功例として報じられることの多い、四川省成都市のイトーヨーカー堂1号店が、今年いっぱいで閉店することが決まりました。理由は、地権者との契約更改交渉が不調に終わったということで、他の10店舗は営業を続けるそうです。しかし、業績面でも一時の勢いがなくなっていることは確かです。

また、無印良品の中国事業が2018年頃から、業績が伸び悩み、苦しい状況に追い込まれています。しかし、MUJIは中国の20代、30代の男女から圧倒的な支持を受け、人気ブランドのひとつなのです。それがなぜ業績不振に陥るのでしょうか。ものすごく残念というか、もったいない話です。

日本のイメージは、中国では非常に良好なもので、中国企業なのに日本企業であるかのような誤解を誘うプロモーションを行ったり、日本風の要素を商品に取り入れている企業も少なくありません。

しかし、ここにきて、そのような企業が、日本風要素を排除し、脱日本化に動いています。これはなぜなのでしょうか。

今回は、MUJIの中国事業が苦境に立たされている理由と、脱日本化が進む事例を通じて、日本のイメージがどのように変わったのかをご紹介します。

中国では過去のものとなった日本への憧れ

日本では中国進出の成功例として報じられることの多い、四川省成都市のイトーヨーカー堂1号店は、今年いっぱいで閉店することが決まりました。理由は、地権者との契約更改交渉が不調に終わったということで、他の10店舗は営業を続けるそうです。しかし、業績面でも一時の勢いがなくなっていることは確かです。

また、無印良品の中国事業が2018年頃から、業績が伸び悩み、苦しい状況に追い込まれています。しかし、MUJIは中国の20代、30代の男女から圧倒的な支持を受け、人気ブランドのひとつなのです。それがなぜ業績不振に陥るのでしょうか。ものすごく残念というか、もったいない話です。

日本のイメージは、中国では非常に良好なもので、中国企業なのに日本企業であるかのような誤解を誘うプロモーションを行ったり、日本風の要素を商品に取り入れている企業も少なくありません。

しかし、ここにきて、そのような企業が、日本風要素を排除し、脱日本化に動いています。これはなぜなのでしょうか。

人気商業施設のランキング外に落ちたイトーヨーカ堂

前述したように、中国で成功した日本企業の事例として有名なイトーヨーカ堂成都市春熙店は今年2022年いっぱいで閉店します。この春熙店は中国のイトーヨーカ堂1号店で、イトーヨーカ堂だけでなく日本企業小売チェーンの象徴的な店舗にもなっていました。

理由は業績不振ではなく、地権者との契約更改が不調に終わったためで、その他に展開する10店舗は営業を続けていきます。しかし、業績不振が理由ではないと言っても、近年のイトーヨーカ堂の業績が低迷をしていたのは紛れもない事実です。特に2019年からの落ち込みは顕著で、四川省チェーン商業協会が発表している成都市の商業施設のランキング50にも、イトーヨーカー堂双楠店が2020年に15位、2021年に18位にランキングされているだけで、その他の店舗はランキングされていません。

また、中国チェーンストア経営協会が発表している中国スーパーの100位ランキングでも、2019年のランキングの30位にイトーヨーカー堂がランキングされていますが、2020年以降はランキング外になっています。

理由は外的要因が強いようです。成都市でも次々と新しい商業施設がオープンをしてそちらに客流を取られてしまったようです。また、春熙店は成都市の中心部にあり、近年の都市計画により都市周辺が発展をし、中心部では人口が減少をし、オフィス街化が始まっています。いわば銀座にスーパーがあるような話で、この変化もイトーヨーカ堂にとっては逆風になりました。

いずれにしても、残念であり、寂しい話です。

Next: 中国の客層を見誤ったイトーヨーカ堂の失策

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